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キナリ杯感想1

こんにちは、岸田奈美です。

毎週金曜18時って言ってましたが、現時点で感想申請数が200件を越えているので、早め早めにやっていきます。少なくとも毎週金曜には更新されますが、余裕がある週はそれより前の日にも追加で更新されますので、そのへんは、まあ、ゆるく見守ってください。

↑誰かが大好きなものについて全力で語っている、という記事は「近所の小学校の入学式」を見てるような安心感があります。「はあ~~~~~かわいい~~~~~~~!!!!!!!!世界一かわいい!!!!!!!!!!」のところで感情が爆発する感じがいいですね!せっかくの偏愛っぷりなので、今度はもっと「細かすぎるポイント」に絞って読んでみたいなと思いました。


↑書き出しがとても良いですね。「誰でも共感できるハラハラ感」がシンプルに伝わって、読み進めやすい。読みやすい改行、行間が素晴らしいなと思う一方、なぜか登場人物のセリフがゴリゴリの方言で、ごていねいに訳もついてる芸の細かさに笑いました。これも臨場感の演出で良い。〆の「年内には、橋の上から飛ぶことになるだろうと思う。」も、余韻あるし、めっちゃ上手なエッセイやなと思いました。


↑縦スクロールとも横開きとも違う、1コマずつの掲載で、線の綺麗なシンプルな絵柄とも合っていて世界観がいいなと思いました。なにより、トップ画像の使い方+手書き文字がすごく素敵で、SNSでシェアされたらタップしちゃいますこれは。ずっと1コマで続くかなと思ったら、途中で普通のコマ割りになって、プロローグの演出だったのか!と納得しました。美しい!この病名、架空なんですね!あまりにもリアルだったので、本当にあるのかと思って、調べちゃいました。ネーミングが良き。


↑リーダーになりたい人(これ時事問題も入ってていいですね)に、SFを薦めるという変化球に見えて、読み進めていくとしっくりくるのが面白いです。一見して関係ないことを、上手く誘導して結びつけて新しい世界観を表せる人って面白いんですよね。革命を起こす=普段の仕事でも役立つ、政治的(political)な人間関係を築き方のお手本、というところが肝だと思うのですが、わかりやすいだけじゃなく、太字になっててここだけ読めばなんとなく概要がわかる、という工夫になっているのも素晴らしいです。


↑書き出しの情景描写、ゴーッやプシューッなど、児童文学っぽいワクワク感があって素晴らしいです。しかもクリーニング屋さんだったんだ、という伏線回収もすぐに入ってきて、シーンが想像しやすく、読者が没入しやすい。本当はおばさんだったのかもしれない、というシンプルなパワーワードもオチとしてめっちゃ良いなと思いました。


↑これSEKAI NO OWARIのライブの話か!!!!なんの話だろうなと思いながら読み進めていたら「Welcome to the “STARLIGHT PARADE”」が出てきて、ウワーッとなりました。ライブが始まるまでのあの高揚感がめちゃくちゃ出ています。すごくエモいライブレポートだと思います。ただ!SEKAI NO OWARIであることと、ライブの話であることが、かなり後に出てくるので、これもう少し先に持ってきてほしかった!そしたらもっと多くの人に読まれると思います!アドバイスしないと言っておきながら、ごめんなさい、すごく内容がよくて、いろんな人にこの魅力が伝わればいいなと思ったので。何文字足りる、のタイトルも伏線回収になってていいですね。


↑うるせーだまれーファイナルファンタジーって履歴書のあれか。(笑) 久しぶりに思い出してフフッとなりました、ありがとうございます。小学生で自傷行為、今もなお続く憎しみなど、わたしがどれも経験してこなかった痛みなので、誰かの文章を通して、知ることができるのは良いなと思いました。きっとまだ苦しみと戦っている最中なのだろうなと文章から伝わってきたのだけど、あなたの似た境遇、似た戦いの中にいる人にとって、こういう言葉が救いになるんだろうなと。


↑おお!自分史!なにげに年齢+年代+サブタイトルの目次づくりの芸が細かくて、こういう読み手への配慮はめちゃくちゃ大切だと思います。優しい人なんだなっていうのが伝わってくるし、なにより、それだけで読もうと思うので。笑っちゃだめなんだろうけど、ネット炎上と留年の話が一番疾走感とハラハラ感があっておもしろかったです。いや笑い事じゃないんやろうけど、淡々とした書きっぷりが笑いを誘ってしまう。コラ画像のくだりとか。


↑ガニとカニの妄想のところ、こういうパニックっぷりが伝わってくるどうでも良い頭の中身みたいな話、個人的に大好きなんですよね。誰にでもありそうな、青春の淡くて苦い話を「初潮」というインパクトのある言葉とエピソードで綴っていて、新しい世界観ができていて、良いなと思いました。切なくなっちゃうね。


↑ハルジオンの花が一瞬で綿毛になること、知らなかった。この問いかけものすごく美しいですね。センスがある……。地上80cmの彼女の目線のところも、単に低い目線とか子どもの目線というのではなく、想像できる数字を出してくれたので、彼女が見える世界がブワッと眼の前に広がるし、それだけで愛しくなっちゃうなと思いました。比喩表現がすごく綺麗です。

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