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カモミールミルクティーと風になる

私はある時、風の中にいた。

大きな木の下で皆で昼食をとっていたときだ。

この風を浴びるために生まれたのかも。って思えるほど心地よい物だった。

むしろ、風を遮り、
コンクリートの建物に長い間居たことが罪なこととさえ思った。

そういえば私のなかにも風があった。
それは声とともに出てくるものだ。

だから風と共にいるのはとても自然なことだった。

だから、忘れてただけだったね。

なんとなく、ごめんね。と誰かに思った。

そんなことを考えていたら、
いつの間にか夢の中に落ちていた。

雲の隙間からの光が少しだけ差し込んだ

気持ちいい日だから
とても当たり前のことだった。

いつの間にか莓の香りがただよい、

目が覚める。

ジャムの匂いだ。
薔薇の花と


レモン汁をいれて

色止めをする。
綺麗なピンク色になるのだ。

その甘くて薫り高いさっぱりとした後味の
ジャムをソーダ水に入れてのみほす。

このソーダ水は飛んで消えはしない。
光と風の味だった。
やっとみつけた気がした。


その後、
畑の中で黄色にきらきらとチカチカと咲く花をみつけた。

もうすぐ枯れてしまうというこの花を摘んでるとき
初めての感覚に

心がしっとりする。心が潤うってこういうことか。

私は急いで帰って

新鮮なうちに綺麗なもの煮詰めていたら、

たちまち幸せな薫りに包まれた。


その瞬間、
ありとあらゆるものが私から
消え去り、

ミルクとカモミールの甘い味に
ふわりと浮いていた。

まるでガーゼのような雲につつまれてるな感覚で


私は地への戻り方を忘れてしまったのだった。

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