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時折最高 004:Albert Ayler - Summertime (1963録音)

1963年にストックホルムで他のメンバーを集め録音されたアルバム「My Name Is Albert Ayler」から。Ayler自身が自己紹介を語ることで始まるこのアルバム、アメリカで活動の場が得られずにヨーロッパに行き、自己紹介を吹き込みながら、まったく目指す音楽の方向性が違うメンバーをバックにアルバムを作らなければならなかった。

一般に言われているのは、バックのメンバーは普通のジャズをやり、アイラーは一人で自分の世界を表現しているアンバランスなアルバム、といったところか。

しかしこの「サマータイム」、いつ聴いても背筋に寒気が走る。これほどいびつで、エモーショナルで、美しい演奏が他にあるだろうか!?、という気にさせられてしまうのだ。また自由奔放に吹いているようでいて、途轍もなく精密なブレスコントロールを行っている。そのピアニッシモ部分にも濃密な感情のうねりが渦巻いているような気がする。

アイラーは、同時に複数の音が演奏できることを目指していた、という話を聞いたことがある。あらゆる感情を同時に表現できたとすれば、それは宇宙空間に鳴り響いている何かの音なのかも知れない。後期のアルバムタイトルに、「Music Is The Healing Force Of The Universe 」というものがあるが、大きな意味でのスピリチュアル音楽を実現しようとしていたのかも知れない。

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