お父さんってどんな顔をしていたらいいのでしょうか。成人式前撮り考

次女の成人式の前撮りに行く…いや、行かされる。化粧したり着付けをしたり、その間、どんな顔をして待っていたらいいのか悩んでしまう。
次女と私は、普段から会話がない。
反目しあっているわけでもないし、いがみ合っているわけでもない。
ただ、話すことがないのである。
そんな間柄の娘に
「いいんじゃないか、似合ってるよ」
なんて言うのは白々しい。
かといって、知らん顔をしているのもおかしい。
ほら、よくこういう場面で、しかめっ面のお父さんっているやないですか。
ああいうお父さんは何となく感じが悪くていやだ。
やはり、ニコニコして娘の着付けを待つのが王道である。
そうすると、着付けの店員さんに
「お父さん、嬉しそうですね。やっぱり娘さんがかわいいんですね」
なんて言われるんだろうな。
そりゃ娘はかわいい。
かわいいけれど、そんな目に入れても痛くないとか、溺愛とか、
そういうのやない。
娘として当たり前にかわいいのだ。
ほら、パパが世界で一番好き、なんていい年こいても言っている女性がいるやないですか。
パパと腕を組んで出かけちゃう・・・僕は、そういう親父ではない。
一緒に買い物に行ったこともないし、食事に行ったこともない。
話をしもしないし、おねだりされたこともない。
そんな娘の着付けを待つ。
この時間の長い事、長い事。
ファミリーレストランで品物が出てくるのが遅い、
そんなレベルの話ではない。
僕は待つのが苦手なのである・・・
まあ、そんなこんなで、娘の着付けは終わり、ご対面。
親バカかもしれないが、これがなかなかかわいい。
が、
「お!かわいいやん」
なんて言うのは柄でもない。
何で、ごほんと咳ばらいをして娘を眺める。
「どうですか、お父さん?」
店員さんに聞かれる。
「あ、いいんじゃない」
つっけんどんに答える。
ダメだ、こんな対応では、頑固おやじに思われてしまう。
いや、まてよ、頑固おやじでもいいのではないか。
なんで頑固おやじじゃいけないんだ・・・
娘の前撮りだけで、僕の脳内はグルグル回る。
そうしているうちに、お父さんも横に立って下さい、
と言われて、妻と二人で娘をはさむ。
「はい、皆さん、笑顔をください」
脳がグルグル回っているせいか、最高の笑顔を見せてしまった。
「お父さん、いいですね、最高の笑顔です、もう一枚いきますよ」
ニコッ。
また、笑顔を見せてしまった。
「お父さん、ノリいいですね」
とカメラマンに言われる。
カメラマンの助手の女性からは、
「お父さんかわいいですね」
と言われる。
お、なんかくすぐったいけど嬉しい。
でへへへ、僕、かわいいっすか、
と頭をかいてしまう52歳。
妻と次女の冷たい視線を感じました。
しまった、威厳がない、威厳をどこかへ忘れてきてしまった・・・
いや、ほんと、こういう娘の成人式の前撮りって、親父はどんな顔をしていたらいいのでしょうか。
世のお父さんは、どんな顔をして娘といるのだろうか…
ってか、頭の中はどうなっているのだろうか。
娘を持つお父さんに教えて欲しい。
令和5年12月2日土曜日

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