今まで愛していた作品と推しが純粋に愛せなくなった話

いきなりだが私はFFXが好きだ。
いや、好きだったという表現の方が正しいかもしれない。

何故好きだったと過去形になってしまったのか、拙い文章ではあるが、それを書き出していきたいと思う。
前置きが長くなるが、FFXの世界、スピラに入ったのは続編のFFX-2のHDリマスターからだ。

初めて遊んだFFであり、世界観とキャラクター、設定に惹かれた、心奪われたのだ。
なので、FFX-2に対する思い入れは人一倍強いと自負していた。
冒頭でも言ったように、FFXにも相応の思い入れがあった。

だが、やり込み部分に該当する隠しボス等は全て倒せた事はない。
やり込み、昨今の言葉で表すとエンドコンテンツだろうか。
エンドコンテンツである訓練場のすべてを超えしもの、主人公の武器最終強化。
FFX-2のインターナショナル版から追加された魔物や主役3人以外の人物を仲間にできるクリーチャークリエイト。
それらを最後までやり込む事はできなかったが、それでもFFXシリーズは大好きだった。

ファイナルファンタジー以外にも

レコードキーパー
いただきストリート
キングダムハーツ
ディシディアファイナルファンタジーシリーズ

それらに手を出す程度には作品と推しが好きだったのだ。

そう、あの動画が登場するまでは。

様々な件でファイナルファンタジーシリーズに対する熱意が覚めてきた2022年5月、突如としてその動画は空前のブームとなった。

見ていないので内容は割愛するが、その二次創作動画が人気を博し、新たなネットミームまで生まれ、FFX/X-2HDリマスターの売上が伸びた。

売上が伸びるのなら本来は喜ばしい事なのだろう、事実、あの動画を切っ掛けにFFXに触れた人は存在する。

だが私は何一つ喜べなかった。

何故ならネットのあちこちで好きだった作品とキャラが玩具にされているからである。

なら見なければいいと思われるかもしれない、私自身も見ないようにしようと心掛けていた、他の事で一時でもそれを忘れようと努力した。

だがネットミームにまでなってしまった以上、それは無理な話なのだった。

動画発祥のニコニコ動画は勿論、あらゆるまとめサイトやゲームスタートからゲームクリアまでの時間を競うRTA動画、果ては何かと話題の尽きない壱百満天原サロメと呼ばれるにじさんじ期待のお嬢様に憧れている新人のコメント欄とおチャ会(フリーチャットスペース)でもそのネタを見かけるからだ。

それだけならまだ我慢はできたが、悲しい事に人間とは、新しい玩具を手にすると壊れるまで遊ぶ生き物なのである。

Twitterでは毎日誰かしらFFXをネタにし、ゲーム攻略情報を調べようと開いたGoogleでは、ホームの1番上にこのネットミームに関する記事が表示されていたのだ。

『FFX』に吹く、3つの"予期せぬ追い風"再評価の号砲となるか?(原文ママ)

とこんな記事が表示され続けていた。

全ファイナルファンタジーシリーズ大投票で見事1位を獲得したFFXが再評価の追い風?私が作品に触れるずっと前から名作だと評価されていたのに?

ふざけるんじゃない

と気付けば私の心は怒りに満ちていた、賛否両論であるFFX-2の再評価なら言いたい事はあるが、まだ理解できていた。

作中に登場する競技、ブリッツボールがオビワンを主人公とした『STAR WARS』シリーズの小説に登場したのは複雑だが、確かに知名度向上に繋がるだろう。

一方で、作品とキャラを作中にありもしない不愉快なネタで玩具にしている事で注目されても嬉しくもないのだ。

視界に映る度に私は不快な気持ちに悩まされていた、Twitterでも度々不快な思いを暴露している。

この記事にも、嫌なら見なければいいじゃん等の頓珍漢な引用やリプが飛んでくるであろう事は想像に難くない。

関連ワードや推しの名前をミュートワードに入れようが、Twitterのトレンドシステムがそれを貫通してくる以上は嫌でもその話題が視界に映るのだ。

ネット断ちするしかないのだが、上にも挙げた壱百満天原サロメ嬢やRTA動画で百満天の笑顔を貰っているサイクルを崩すと、ストレス過多で倒れかねない、詰みである。

ここまで誤解されているかもしれないが、私の推しはFFXのヒロイン兼FFX-2の主人公のユウナである。

ユウナ推しの私がこのザマなのだから、当時から主人公や例の人物を推している人は胃に穴が開く思いなのだろう。

だからこれ以上は推せないし、ファイナルファンタジーシリーズに対する興味も完全に失われてしまった。

これが未履修の作品なら、気分は悪くなるが受け流せていたのかもしれない。しかも残念な事に、勝手にだが今まで信頼を寄せていた人すらあのネタを擦っていたのだ、何も信頼できなくなりそうで目眩が起きた。

私以外にも、現状に苦言を呈している人は存在するが、それらを老害と吐き捨てているあの動画のファンもいる。この記事も老害と吐き捨てられることだろう。

FFX-2で女性と結婚して子供を授かったキャラクターを穢して各種SMS等で所構わずそれらのネタを擦る事がFFXシリーズのファンと呼ぶのなら、私は老害で構わない。時代に取り残されていくしかないのだ。

今は元の動画はスクエニから削除申請を受けて削除されたが、中には動画削除の件を、動画が売上に貢献したのにスクエニは旨い汁だけを吸うのかという声も上がっていた。ここまで来ると自惚れも天晴れである、思い上がりも甚だしい。

これでは二次創作で有名にしてやった、界隈を盛り上げたんだと主張しているようなものである。確かにFFのみならずニコニコ動画も色んな界隈が盛り上がった、無論悪い意味で。

最後にもう1度言うが、人間とは、新しい玩具を手にすると壊れるまで遊ぶ生き物なのである。


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