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「正夢」を終えて

お疲れ様です。星歌です。
ついに「正夢」が終わってしまいました。
本当に夢から覚めたような感覚です。
去年の2月くらいから企画を考え初めて、どうしたら実現できるのか、初めてのことだらけの中、手探り手探りで何とか今年の3月に無事に公演を行うことが出来ました。
まずは観に来てくれたお客様、関わってくれた方々、スタッフさん、作家様、本当にありがとうございました。
総動員数は199人だったみたいです。あとひとりで200人か〜!惜しい〜!!😭😭
結局全公演満席にはならなかったけれど、無名の役者の1人芝居でこの動員数は凄いことだよ、と大人から言われたのでもう良しとします。(もちろん作家さんの力もあってのこの数字だと思ってます、ほんとに)
公演を終えてみて、、としては達成感もありますが、後悔、反省点もめちゃくちゃありました。
トラブルも沢山ありました。
特に自分の芝居の面では「もっと出来るはずなのに〜!!」とか「自分の芝居、ほんとにヘッタクソだな〜!!」とかもう常に思ってました。常に自分に腹を立ててました。悔しくて悔しくて毎日しんどかったです。そこは。(もっと上手い人がやればこの台本を活かすことができたのかもしれない…もっと面白くできたのかもしれない…とかも考えてしまいましたが、それはもう考えても仕方の無いことなので置いておきます。)

多分プロの人や演劇を沢山見てる人からしたら、私の芝居面についてはすごく思うところがあったと思います。人によっては、「なんだコイツ芝居下手くそだな〜」と思ったかもしれないです。
芝居面では100%自信満々にできた日なんてありませんでした。正直。
でも、「絶対に作家さんの思いをお客さんに伝えなきゃ」とは思っていました。
「作家さんが私のために綴ってくれた言葉を絶対に無駄にしたくない、絶対にお客さんに届けたい」とは常に思って演じていました。
下手でも、不器用でもいいから、私の中にある、この公演に対する熱量、この台本に対する思い、作家さんが込めてくれた思い、を絶対に届けたいとは思っていました。
届いたんでしょうか。下手くそながら、届けられたのなら私は嬉しいです。

芝居面に対しては、そういうネガティブな感想に塗れてしまいましたが、
小屋入りしてからは「えっ1人芝居を2時間もやってるの??」「オムニバスで5本もやってるの??」「イカレすぎてないか??」って急に賢者タイムになる瞬間が何回もあって、その度に「自分すげーーーじゃん」と思ってました。安直。
「え、マジなんでも出来るんじゃね?」とすら思ってました。そんなことは無いんだけど。😭

1人芝居というのは本当に孤独でした。
びっくりしたのは、稽古より本番の方が、スタッフ・お客さんなど沢山人がいるはずなのに、圧倒的に孤独感を感じました。
もう、何を言っても何をやってもお客さんが無反応の日とかあって、その時は完全に心の中で(ボキボキッ)って折れる音がしました。
なので笑い声や真剣に見てくれてるお客さんの姿が見えるとかなり安心しました。
(笑い声やお客さんのリアクションがある日の方が明らかに芝居的にもノッていて、私も次から演劇見る時はちゃんとリアクションしようと思いました。)

そんな初歩的な発見をしました。というか本当に集団で創作をする、ということの難しさ、そもそもの「しばい」の難しさ、をダイレクトに感じました。
本当にもっともっと修行を積まなくては……と思いました。思い返しただけでも悔しくなる。

でも個人的に嬉しかったのは、今回普段演劇を観ない層(芸人仲間や知り合いなど)が沢山見に来てくれたのですが、その人たちがとても楽しんでくれていたこと。「演劇見ない人でも楽しめるものにしたい」とはこの企画を考えた時からずっとテーマとしてあったので、これは上手くいったと思いました。やはり脚本の力ってすごい。
正直、ほぼ素人のやる2時間の1人芝居なので、私の力不足から途中で寝ちゃったりする人が出るんじゃないかとヒヤヒヤしてましたが、みんなちゃんと真剣に見てくれていた。し、ちゃんとこちらからのメッセージも受け取ってくれていた。嬉しい。
私はやっぱり芸人なのでエンタメっぽいものが好きなんです。だからこんな感じで「普通の一人芝居じゃない、誰もやったことがないことをしよう!」と思ってこういう企画を立てたのです。5本短編オムニバス。
もし楽しんでいただけたならとても嬉しい。

各お話ごとの裏話や感想ちょっとだけ書きますね。
ネタバレありです……!!
(実は今回の公演は配信を考えているので、もしみたい方いたら飛ばした方がいいかも…!!)

「きょうのハガキは」

【あらすじ】
今日もあたしのハガキは読まれない。 だってポストに入れてないから。 ラジオからは笑い声が響いている。 面白いことが思いつかない。 読まれたら貰えるステッカーがほしいのに! もう時間がない。 世界はそろそろ終わりそうだし お母さんは溶けてきた。 ああ、神さま 面白いことを思いつかせてください。 ゾンビはそのままでいいから。

1作目。きょうのハガキは。保坂さんには多分この企画を考えて一番最初にオファーした方です。
保坂さんの団体のムシラセは、ずっとファンだったので過去作品を何本か見ていたのですが、あまりぶっ飛んだファンタジーな設定をやるイメージがなかったので依頼してからすぐ「血塗れにしてもいい?」って連絡が来た時はびっくりしました。笑
保坂さんいわく、「星歌ちゃんでどんな話を書こう」と考えた時「まあとりあえず血塗れだな」と思ったみたいです。どんな風に見られてたんだ。笑
アフタートークで「星歌ちゃんならゾンビだらけの世界でも生き延びてそうだと思った」という話を聞いてめっちゃ笑いました。絶対そんなことない…!!笑
この話、あらすじ読んでワクワクが止まりませんでした。すごい。この作品は本当にやればやるほど深みが出てくるというか、稽古すればする程この主人公の背景が見えてきて、毎回切なくなってました。セリフから読み取れるカナコちゃんとお母さん、そしてもう居ないお父さんとの若干複雑そうな家庭環境。きっとカナコちゃんにとってはこの世界がゾンビになる前でもそんなに変わらなかったんじゃないかと思ってます。きっとゾンビだらけになる前もずっと孤独で、寂しくて、カナコちゃんにとってつまらない世界だったんだと思います。
そんな中でやっと見つけた、ほぼ現実逃避に近い「DJらっきゃ」という謎の大学生のラジオを聞いてネタハガキを書きまくる、という行為。唯一の生きがい。
ゾンビになってほぼ死んでる状態のお母さんと「誰か迎えに来て欲しい」と訴えるDJらっきゃを天秤にかけなければいけないあのシーン、ほんとに胸痛くなりますよね。
でもあれってらっきゃが呼びかけたからお母さんを捨てる、って判断したのではなくて、きっとずっと「お母さんを捨てる」っていう選択肢は待ち構えていたんですよね。その引き金になったのがらっきゃだっただけで。でも私はそもそもお母さんがゾンビになってもならなくても「お母さんを捨てて自分のやりたいことをやる」という選択肢は待ち構えていたのでは無いかな、と思ってます。毒親?からの離脱?的な?
ラストの「何言ってるかわかんねーよ!」というセリフ。すごい。まじでよく出来てる。何言ってたんか分かってなかったんかい!と。
そうなってくるとあのセリフ前のお母さんと会話してたやつは全部……となると余計切ない。カナコちゃんの中で何とかお母さんとして成立させようとしてたんだな、と。
面白いことを思いつきたい、でも思いつかない、でもやらなきゃいけないことは沢山あって……とあの狭い団地の一室で追い詰められてるカナコちゃん。切なかったです。あと普通に役者としてはらっきゃがものすごい喋ってくれたので、めちゃくちゃやりやすかったし、お母さんとの掛け合いのところもやってて楽しかったです。ヴァー。
あとこの脚本のおかげでちょっとバイオハザードと京王線とマキマムに詳しくなりました。✌️

「jet'aime★jet'aime」

【あらすじ】
大好きだったあなた、きちんと悲惨な時間を過ごしていますか? 魔が差して、あいつが不幸である事を確認しないと眠れなくなった夜。 電気代がかかる割に足しか暖まらないヒーターをそそのかしながら、叶わない夢なんて見たくないので結果的に呪詛を撒き散らしてしまう私の手にあるロリポップキャンディーが溶けるまでのお話。

2作目。jet'aime★jet'aime。
このタイトルとあらすじからして、なかなか胸がザワザワする予感がしてました。てかあらすじ読んだ時「私のことやんけ!!」とひっくり返りそうになりました。恐ろしい…櫻井さん。
櫻井さんとはzoomで40分お話しただけなのですが、あの40分で全て見抜かれた気がしてめっちゃ恥ずかしかったです。笑
これもなんでこの話を書こうと思ったのか聞いたら、「こんな企画を思いつく人なんだから、きっと深夜に「何かしなくてはいけない」という強迫観念に駆られてたんだろう、」と思ったから書いたと。その通りだし、実際にこの企画は深夜に考えました。てへ。
台本届いた時、なんで櫻井さんはこんなにメンヘラの女の気持ちがわかるんだ…!?と驚きました。
「静かなのが、うるさすぎる」というセリフ。素晴らしい、素晴らしすぎる。そういう夜、あるよね。こういう、プライドとの戦いの夜、ある。
何故か私はこの作品の稽古をやるにつれてあんなに見ていた元カレのSNSを見なくなりました。一切。
ですが、すごくこの作品の稽古で煮詰まってた時に、もう1回見てみようと思い、SNSを覗き、結局くらってしまい、深夜に号泣しました。まさにあの状態でした。
でもその時はひたすらに煮詰まっていて何か一つでもつかみたかったので「今今今今!!」と思いながら泣きながら台本を広げ、セリフを読みました。「今!この感情!この感情を本番でも出すんや!」と思いながら読みました。なんちゅー荒療治。もういっそこの台本通り元彼に電話したろか!とすら思いましたがそれはさすがに辞めました。やめて良かった。
この台本が1番苦戦しました。まあまず1番セリフが覚えづらかったのと、ギリギリまで「星歌」としてやるべきか、「全く別の人間」としてやるべきかで悩んだからです。てか小屋入り前日まで後者で演じていました。少し大人な女性を意識して。でも、なんか、本当に見てて面白くなかったんです。だから、これはもう「星歌」として演じるべきなんじゃないか。と思ってかなり自分色を強くして演じてみました。そしたら「あれこっちの方がおもろいじゃん」ってなって演技プランを大きく変えました。これ小屋入り前日の話。気づくのが遅かった。まあでも本番何とかなった。よくやったよ。
結果的に元カレに翻弄され、Siri相手にあたふたしまくる、かなりポップな感じになったと思います。
絶対しっとり演じる方にしなくてよかった。笑
櫻井さん、アフタートークで初めて会いましたが、すんごく櫻井さんでした。これだけ聞いても意味わからないと思うのでこれは配信で確認してみてください。笑

「19才」

【あらすじ】
19才になった。ハタチはまだきてない。家の契約も携帯電話の契約も一人でできるけど、酒もタバコもやってはいけない。パチンコはできるけど競馬はできない。夜のお店で働いてもいい。結婚もしてもいいらしい。だけどまだ大人と言われるには抵抗がありすぎる。

3作品目。19才。
この作品については色々言いたいことありまして……まずこれは私の「実体験」です。
このお話の男女逆ver.が私の実体験です。
まず、オノマさんが脚本を執筆するにあたって「どんなテーマで書きますか?」と投げかけてくれたんですが、私は「【性】とか【セックス】をテーマに書いて欲しい」という依頼をしました。オノマさんの過去の台本を何本か読んだことあるのですが、この要素に共感したところが多々あったのでぜひこのテーマで書いてもらおうと。(あと私はオノマさんの「男子校にはいじめが少ない?」という脚本の大ファンなのです…)
そしてzoomで、私の初体験の話になり、そこでこの話をしました。まあ簡単に言えば、お笑いの作家(養成所の講師的なの)をやっているんだけど、演劇の団体の主宰もやってる、みたいな人がいて、養成所卒業後に「一緒に演劇をしよう」って声をかけられて、「演劇の話をしよう」と言うので着いて行ったら酒を飲まされホテルに連れ込まれ「俺と一緒に演劇したいよね?だったらこのこと誰にも言わないでね」と言いくるめられ、その後も演劇の話がしたいと呼び出されるが一向に演劇の話はされずセックスするばかりで、ほぼその人のセフレみたいになって…最終的には「仕事が忙しくなった」という理由で捨てられ演劇の企画にも出して貰えず…
なんかもうシンプルに1年間を無駄にした、という話です。これがまさに19才と20才の間の時に起きた出来事です。踏んだり蹴ったり。
そしてこれが私の初体験です。ロストバージン!
(そしてこの出来事こそが、当パンにも書いた、「死にたい」と思ってしまった元凶です。「自分は何をやっていたんだ、」と悔しくて毎晩泣きました。)
(その人は今でもピンピンしており、お笑いの作家も演劇の方もバリバリやっているのですが、それもまたしんどくて毎日辛かったです。ていうか今も辛い。笑)
その話をした後、オノマさんと、「19才」くらいの子をオトナ扱いして酒飲ませたりセックスを覚えさせたりして支配する大人が1番やべぇよなって結論に至り、この作品を書いてもらうことになりました。
というか、もうオノマさんが私のこの⬆️の実体験を聞いて「もうこの話演劇にしましょうよ!」と言ってくれたのが発端だったかもしれません笑
(ちなみにこういうことをする人はどこの業界にもいるらしく、演劇界にも沢山いるという話をされました。辛いな。)
あまりにもそのまんまやるのは見る人もやる私も苦しいと思うので、男女逆ver.でやろう。となりました。
ほかの作家さんのは全員、貰った初稿をそのまんまやっているのですが、オノマさんのこの台本だけは結構2人でやり取りして作りました。本当に私の実体験すぎるので、「事情を知ってる人」「知らない人」がちゃんと楽しめるものになるのか、自分の中でとても不安があり、「もっとこうして欲しい」みたいな注文を出しまくってしまいました。それに全部答えてくれたオノマさん本当にすごいと思います。私の要望を全部いい感じに取り入れてくれてました。「劇中に歌を歌いたいです…」みたいな、もはや内容関係ない我儘まで取り入れてくれました。優しすぎる。
この作品、稽古していて本当にずっとしっくり来なかったです。しっくりこないというか、「これで大丈夫かな…」みたいな不安が常にあって。
いや、台本は素晴らしい!絶対おもろい!って分かってるんですが…なにせ私の実体験なので。
確実に【笑えない】実体験なので。
それを当事者が演じる、ということにとても不安はありました。
自分なりにかなりポップな、ファニーな感じになるように演出、芝居してみましたが、それが逆に痛々しく写ったらどうしよう…とか本当に色々頭の中で渦巻いてしまって。
でも幕が開いたら、この作品、本当に沢山の人から褒めて貰えて、事情を知ってる芸人仲間からも「めっちゃ笑ったわ〜」「よくあの話をエンタメに出来たね〜」って言って貰えて私はそれが本当に嬉しかったです。
自分の中のどデカくて生々しい傷と向き合ってよかった、と心の底から思いました。
そして私の生々しい傷をひとつの作品にしてくれたオノマさんにも感謝しかありません。本当に。
ちなみに序盤のクチナシくんの台詞「女は男役できないから組めない」とか「女と組むのはコントをやる上で得がない」的なのは私がガチで過去に言われた言葉です。笑
養成所時代にコンビ組んで欲しいってお願いした男の子に言われました。その子の言い分的には「男同士の方が圧倒的にコントの幅が広がる。女が必要な設定の時はどちらかを女装させたらいいだけだから。でも男女コンビだとそれが出来ない。基本的に「男女」という括りでコントをやらないといけないから設定の幅が狭まる」というもので。
モヤモヤはしたのですが、私的には謎が残って「男性がリアルな女性を演じる」のはお笑いになるのに(例えばレインボーの池田さんやシソンヌじろうさんかもめんたる槙尾さんなど)、「女性がリアルな男性を演じる」のは全く面白にならないのは何故なんだろう、とは確かに思いました。(友近さんのピザ屋のおっさんくらいまで行けばもうさすがにおもろいのですが…笑)
その話をオノマさんにしたら「よし、それなら女がリアルな男をやったら本当に面白にならないのかやってみよう!」という話になり、限りなくリアルな「19才の男子」像を生み出してくれました。スゴすぎる〜
でもこれだけ評判が良かったので女が男やってもおもんない、という説は覆されたかもしれないですね。笑

「私は、恋をした。」

【あらすじ】
女子が自室で神と対話している。神は実際的な相談相手であり、かつ全能の存在らしい。深夜。翌日が勝負なのだ。神がおりてくる人形を相手に七転八倒。なのに、無言の神。返事がないとは何事だ。行動計画は壮大で、人が聞いたら警察に連絡したくなる代物だ。この勢いで彼女はもっと黒いなにか大切なものに到達するのかもしれない。

4作品目。私は、恋をした。
なんとなんとあの鈴江俊郎さんの新作です。
私、高校時代に演劇部で鈴江さんの作品をやってからもう大ファンでして…なのでこうやって鈴江さん作品と出会って5年が経った今、鈴江さんに新作を書き下ろして貰えたなんて夢みたいです。
実は去年も私は1人芝居公演を行っていたのですが、それは鈴江さんの既成台本「天にのぼりたいとふとおもい」でした。それをやる上で鈴江さんとは何度かメールでやり取りしていて。
今回この企画をやる、となった時に「鈴江さんには絶対に声をかけよう」と思ってオファーをしました。
作品を書く上で参考にしてもらうため、鈴江さんにも直接お会いして私のいろいろな身の上話を聞いてもらいました。
私は小学生の頃から…いや、なんなら生まれた時から周りの人が頭を抱える超問題児でして。私、行動力はあるみたいなんですが、それが悪い方に向かうこともあるのです。そういうお話をしました。私の数多の愚行録を、鈴江さんは、「こんな変なやつ初めて見たわ!」と言いながら笑って聞いてくれました。なんて優しいんだ。
鈴江さんには「自分は色恋が全ての人間である」「恋愛をすると周りが一切何も見えなくなる」という話をしました。私は、恋愛で人を好きになりすぎると、その人の似顔絵を描く癖があるのです。ずーっと描いていられます。
高校時代、好きな男の子がいたのですが、好きすぎて取り憑かれたように、その子の似顔絵を夜な夜な描きまくって、そしてそれをみんなに見て欲しくなって(なぜ?)、教室中に貼りまくって担任に呼び出されてこっぴどく叱られた話もしました。
おそらく「私は、恋をした。」の主人公の絵を描いてしまう癖はここから着想を得られたのだと思います。多分。
この作品、実は長編ver.もあり「やる上で参考にしてください」とそちらも読ませてもらったのですが「うわーー、なんで私の気持ちわかるの?」「私の21年間ずっとどこかで見てたの?」と言いたくなるようなセリフが沢山ありました。⬆️に書いた「癖」についても「なぜ描いてしまうのか分からない」と鈴江さんに話していたのですが、鈴江さんなりのアンサーが長編には書かれていました。
うーん、みんなに読んで欲しいなぁ。ってか長編ver.もいつか上演したい。
今回のはその長編ver.をかなり圧縮して15分に縮めてもらったものなので、長編ver.を見ると、途中途中であった言動の意味がよりわかるかもしれません。うん。いつかやろう。近いうちにでも。
鈴江さんと私は多分5人の作家さんの中で1番歳が離れていたのですが、感性や感覚に1番近いものを感じました。(年齢で人をみるのは良くないことだとは分かっているのですが、初めて台本を読んだ時に、こんなに歳が離れているのに、ましてや性別まで違うのに、こんなに細部まで通じ合える部分があったんだ!すごい!と素直にびっくりしたんです。さすが鈴江さんだと思いました。)
前々から鈴江さんの戯曲は共感出来るところがすごい多くて好きだったのですが、私への当て書きとなるとこんなに共感度MAXなのか!と。なんかもう日本語おかしいかも。あと失礼かもなのでちょっと黙る。
そしてこの作品、5作品の中でダントツで「わたし」すぎたので唯一、演出が無い作品でした。ほかの4つは演出助手が観てくれていて細かいダメだし、指示があったのですが、これは
「多分星歌ちゃんのやることが正解だし、この戯曲をいちばん理解してるのは星歌ちゃんだから、もうとにかく好きにやっていいよ」
と言われて稽古をしていました。
なのでこれが一番伸び伸びできたし、いっちばん自分との戦いの演目でした。笑
オノマさん、保坂さんがアフタートークでも話していましたが「マンボウ」なのはト書に書かれていました。何故マンボウなんでしょう。笑
ちなみにあのマンボウは夜なべして作りました。褒めて。

「ほしのうたはとどかない」

【あらすじ】
夜。その人間はひとり部屋の中にいた。アンテナを真っ暗な宇宙に向け、遠くの波を掴もうとしていた。ノイズ混じりに聞こえるかすかな音。その音は遥か遠く、星の間を旅してきた。その人間は一枚の手紙に言葉をしるした。言葉は光に変化して、彼方の相方に向けて飛び立った。点々と光る星たちだけがそれを見ていた。

5作品目。ほしのうたはとどかない。
もう、これタイトル届いた時に「うわ!」と声が出ちゃいました。星の歌ですよ。ほしのうた。笑
こんな、「the・私のため」みたいなタイトル。嬉しいに決まってる。とりあえず親にはとてもとても感謝。私の名前から派生して、「ほしの」という地球人と「UTA」という宇宙人の漫才コンビが誕生したのだと思うと感慨深い…
実はオファーしたあと、柴さんは何度か私たちのお笑いライブを見に来てくれていて…なので「漫才師」のお話を書いてくれたのがすごく嬉しかったです。
私は高校演劇部時代に、柴さんの「わたしの星」という作品を演じたことがあったので、柴さんがまた「星」や「宇宙」をテーマに当て書きしてくれたのが個人的には激アツでした。
柴さんは稽古場にも見学に来てくれて、そこでは、光(UTA)との掛け合いがいかに会話っぽく見えるか、を大事にして欲しい、という話をして頂き…
そこからかなりその「会話」っぽさのディティールをこだわりました。いかに漫才っぽく見えるのか。
UTAさんを操作する担当の人、と稽古中も小屋入りしてからも、何度も「ネタ合わせ」をする時間がありました。笑
1人芝居なのにネタ合わせやってるの、なんか不思議な感覚でした。自分が「芸人」であることを再確認させられる。
台本が届いて読んだ時、正直ボロッボロ泣きました。何故でしょう。私は、ほしのと同じように基本的にネタを書く側では無いのですが、「面白いことが書けない」「自分は才能がない」と傷だらけになって苦しむほしのの姿は、ネタ書きの相方や周りの芸人仲間と重なる部分があって…だから泣いてしまったのかもしれないです。ネタを書かないほしのだけれど、悩みはどちらかと言うとネタ書き側の悩みで…漫才がやりたすぎて宇宙にまで言ってしまうような子なんですもん。地球にいた時は相当苦しかったに決まっている。
なのでこの作品は1番「芸人仲間」に見て欲しい演目でした。届いたかな。
そして光る箱と漫才をして、客席が光ったりと色々【体験型】な演目でしたね。もうほんとに発想がすごくて、柴さんさすがだなぁとおもいました。
UTAさんを乗せる台やセンターマイクなど全てほしのが作ったのだと思うと(ミクロ発光生命体は目が見えないので絶対意味ないのに…)、さらに面白いと思います。


5作品に対する思い、裏話などはこんな感じでした。もっともっと語りたいですが、とりあえずここまでで。5作品とも「私らしさ」がかなり全面にでた作品だったと思います。改めて作家さんに感謝です。

終わったあと「またこういうことやってよ」と言って貰えたので、またやるかもしれないですね…
今回よりは規模を抑えて…になるかもしれないですが。
いや〜〜〜でも、さすがに【企画・製作・演出・出演】はやりすぎた!!!!笑
たいっっへんすぎた!!!笑

え…私まだ21歳なの…?えっ同級生みんな大学生してる中、100ウン万かけて1人芝居やってるの…??もしかして…狂ってる…??
と何度も自問自答しました。小屋入りしてから。笑
なんで逆に小屋入りまで気づかなかったんだろうか…そんなこと自問自答してる暇がなかったのかもしれないです…
色んな役職の大変さ、芝居の難しさ、集団で創作することの難しさ、とダイレクトに向き合えた1年間でした。
でも確実に私の人生において必要な思い出になりました。素晴らしい一年だった。

去年もひとり芝居をやって、今年もひとり芝居をやってるのでなんかとんでもなく尖ってるんじゃないかと思われがちなんですが、そんなことないです。団体で何かすることにもめちゃくちゃ興味あるしめちゃくちゃオーディション受けてめちゃくちゃ落ちまくってます。笑
なのでもし、役者としての私を見て、いいな、と思われた方いたらいつでも声をかけてください。
本業はお笑いなので全てに応えられるかわかりませんが…この1人芝居を経て、もっと演劇を学びたい!関わりたい!と言う気持ちが強くなったので…!

最後に、本当に見に来てくれた方々、関わってくれた皆様、ありがとうございました。
星歌という人間が、狂った企画をやって、舞台上でもがいて生きていた、ということを、心のどこかで覚えておいてくれたら私は死ぬほど嬉しいです。

じゃあ、また、どこかで。
さようなら。

星歌


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