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なぜ鳴くの

久しぶりに、雨になった。
ずっと降らなくてパリパリに乾燥していたから、張りつめた空気がゆるんだ感じがして、少しほっとする。

でも、外猫にとって、雨は厄介だ。
いつも草のベッドに丸くなっている地域猫のシロ子は、どうしているだろう。
心配していたら、ちゃんと屋根のあるところで雨宿りしていた。
目が合うと、ニャーニャーいう。
かといって、近づいてくるわけでもない。
エサをくれない人として認識されているのか。猫にも期待されない自分。ちょっと悲しい。

帰り道でもシロ子は同じ場所にいて、やっぱり近くを通るとニャーニャーいう。
シロ子は顔に似合わず、野太い声だ。
先日引き取られた姉のブチ子は、巨体に似合わず、高くてかわいい声だった。
猫同士は鳴いて会話はしない、と前に何かで読んだけれど、ブチ子とシロ子は、よく鳴いて話をしていた。

ブチ子、元気かな。
いつも一緒にいたのに、急に一人になって、シロ子はどう思っているのだろう。
なんでブチ子はいないの、と鳴いているのだろうか。

かーらーす、なぜなくの、と、昔よく歌っていた。カラスが鳴くのは、七つの子がいるからだっけ。
シロ子は、なんで鳴くんだろう。

そんなことを思った、雨の夜だった。

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