引っ越して、生まれて初めて、階段のある家に住んでいる。
これまで、平屋かアパートでしか暮らしたことがなかったから、もの珍しくて、無駄に上り下りしてみる。

数日暮らしてみて、階段って結構汚れやすいということを知った。よく使うから目につくのかもしれないけれど、ほこりや髪の毛が、やたら気になる。
前に雑誌で、朝、階段を掃除しながら下りてくる、という掃除技が紹介されていた。
朝に弱い私にはとてもそんな余裕はないのだけれど、夜に真似して、下りながら掃除をしてみる。
クイックルワイパーもいいけれど、クイックルハンディのふわふわで拭いていくと、細かい汚れもよくとれて、面白い。

きれいになった階段の中程に座って下を眺めると、なんだかしみじみする。
ずいぶん遠くまでやってきて、そして、先にはまだ段々がある。
なんだか人生みたいだな。
人生折返しの年齢だから、そんな風に思うのだろうか。

四十代は、人生のU字カーブの、ちょうど下の部分だと、何かで読んだ。
人生の木曜日くらいだろうか。
週で一番木曜日がつらい私は、きっと四十代もつらいんだろうなあ、と、階段に座りながら考える。

でも、ここまで上ってきたんだし。
一段一段、上がるだけだ。