モペットちゃんのこと

子どものころ、ピーターラビットの絵本が好きだった。三分冊の小さなセットを、毎年1セットずつ、誕生日に買ってもらっていた。
なぜか、6巻までしかない。
シリーズの後半、文字が多くなって、お話も複雑になってきたので、やめてしまったのか。

私は1、2巻がとくに好きだった。
一番好きなのは、「モペットちゃんのおはなし」。
子猫なので、とても頭が大きくてかわいい。
そして、表情がいい。
モペットちゃんが、ネズミを捕まえそこなって戸棚に頭をぶつけるところ、捕まえたネズミを布切れに包んで放り投げて遊ぶところ、包んでいたはずのネズミを逃がしてしまって茫然とするところ、どれもかわいい。

ピーターラビットの話は、時に残酷である。
ピーターのお父さんは、マグレガーさんのおくさんに、にくのパイにされてしまうし、「こわいわるいうさぎ」は鉄砲で撃たれて、立派なひげと尻尾を失う。
掛け売りをしすぎて破綻し、店主が夜逃げしたら、ライバル店(モペットちゃんの母経営)が即座に全品値上げするという、世知辛い話もある。
子ども向けの本だからといって、容赦はしないのだ。だからこそ、大人になっても楽しめるのかもしれない。

やっぱり、7巻も買おうかな。

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