バイクツーリング

 昨日、レンタルバイクを借りて、初めて公道を走ってきた。その経緯について、書いていくことにする。

 装備について色々と準備してきたのは書いてきた通りである。最終的にワークマンで買ったウェアと、実家で発掘したダウンジャケット、どちらを使うかを検討し、ダウンジャケットを選択した。そちらを着ているライダーをよくみるからである。結論から言うと、このチョイスは失敗だった。

 バイクのレンタルについてだが、事前にショップで予約を取り、当日免許を提示した後、諸注意を受けてバイクを借り受ける、というレンタカーと同様の流れを想定していた。そのつもりで調べると、オンラインで完結するバイクレンタル店があるのである。駅など、特定の場所限定であるが、予約すると指定した駅近辺の駐輪場にバイクを準備してくれる。メール記載の情報から、ついているキーボックスを外し、中からキーを出してバイクを動かすという訳である。返却も指定した駐輪場に置いておけば良い。免許は写真を撮って送る。つまり、店員との対面でのやり取りが一切ない。便利な時代になったものだ。

 丁度指定できる駅に私の最寄駅が含まれていたので、その手軽さを良しとして、その店でバイクレンタルの予約を入れた。しかし、これも裏を返すと店員に事前に聞きたいことを聞けないということである。後程これで苦労することになる。以上が数日前のことである。

 迎えた当日、キーボックスの位置を読み落としてバイクの周りをうろうろしたり、ヘルメットやらグローブやらをつけるのに手間取ったりと、モタモタしながらも、発進して駐輪場を出発した。周囲の人からはバイクを盗もうとしている不審者に見えていただろう。駐輪場を出る際に駐車料金を支払う必要があり、レンタル料だけじゃないじゃないかと代金を支払ったら、キーボックスの中にその分の小銭が入っていて申し訳なくなった。代わりに返却時に、癖で発行ボタンを押した領収書を入れておいた。職業病である。

 さて発進した訳だが、まず教習所のバイクと感覚が違う。教習所ではクラッチの操作だけで発進できたが、こちらのレンタルはクラッチ操作をしつつアクセルを回さなければエンストする。こちらのレンタルバイクの操作の方が一般的なのだろうが、教習所の方に慣れていたせいで、中々走り出せなかった。走り出したらどことなくフラフラしているし、一度信号待ちで止まったら再度発進するのにまたエンストするんじゃないかとハラハラしたり、結構ヒヤヒヤしていた。

 しかし、なんだかんだで走っていれば慣れてくるものである。運転も意識せずとも身体が勝手に動いてくれる。気がつくと発進もスムーズになり、走行のふらつきもなくなっていた。

 ただ、途中で一度だけ坂道でエンストした。しかも、急いで発進しようとしてもすぐにまたエンストしてしまう。しょうがないので路肩まで頑張って押し、後ろの車両を通した。坂道発進ってこんなに難しかったかと思っていたが、結局ギアが3に入った状態で発進しようとしていただけで、1に戻すとあっという間に発進した。そりゃエンストする訳である。今回はすぐに路肩に避けられたが、もし立ちゴケして道を塞いでいたらと思うと非常に怖い。

 と言っても運転には大事なかったので、道中ではむしろルート案内の方が厄介だった。高速道路を走るのはまだ怖いので、下道のルートを検索して走っていたのだが、早く着くからと勝手にリルートしてしまう。しかも、走行中に勝手にやるものだから、中止もできずに戻すこともできない。結局、コンビニの駐車場に頭からバイクを突っ込んで止め、コーラを買って休憩がてらネットでリルートしない設定を調べた。走ってる途中に道順をいきなり変えるのは本当にやめて欲しい。

 途中「これ高速向かってね?」と思うようなこともありつつ、最終的には高速を使わず目的地に着いた。周囲を走る車の影響か、高速横の道等を走っている最中にメーターを見ると平気で60kmや70kmが出ていた。教習所で40kmを出して「わー早い」などと思っていたのに、それ以上のスピードを出しながら体感では他の車と比べると遅いななどと思うのだから不思議である。合わせて、ここで転倒したら漫画『ヘルシング』のゾーリンよろしく、アスファルトでもみじおろしにされるんだろうな、などと物騒なことを考えていた。将来的にそうならないことを願う。

 今回設定した目的地は海である。正確には海近辺の施設である。ざっくりと1時間くらいで着くと予想が出ていたので、最初には丁度良いだろうと思い選んだ。だが、誤算として、あくまで海の近くの施設を目標に設定しただけで、駐輪場までを調べていなかった。つまり、どこにバイクを停めれば良いかわからない。スマホで調べようにも、走行中は操作できないし、信号待ちでも調べるくらいの猶予はない。近場でないかとぐるぐる回ってみたが、最終的に入ってはいけないような場所に侵入してしまう有様である。

 結局、再度路肩に止めて、駐輪場を検索した。そこへ行くのにも、近すぎてマップが歩行者としてのルート案内になってしまい、一方通行を無視したルートを提示されてまたぐるぐるする羽目になったが、なんとか駐車できた。後ほど調べたが、四輪の自動車の駐車場に止めても問題ないらしい。それ以前に、行き先の駐輪場くらい調べておけというツッコミと合わせて教訓とする。

 すったんもんだでたどり着いた海は、快晴だったこともあって、非常に綺麗だった。苦労した分、喜びもひとしおである。以前書いた通り、こういう時のためのカメラを持参したので、それで写真を撮っているとあっという間に1時間くらいは過ぎてしまった。単純に迷っていた時間が長かったのかもしれないが。

 近くで撮った写真を見返しつつ、昼でも食べようかと店を探したのだが、どこも混んでいる上に、観光地価格で足元を見ていたため、そのままバイクに戻る形となった。チェーン店ですら混んでいるあたり、さすが日曜の昼の観光地といったところだろうか。

 帰りは行きよりも慣れてきたからか、大きな失敗もなく走行した。途中、日差しの関係で信号が見えにくい場所があり、信号下段の矢印の表示がわからず進んで良いのかわからず困ったが、しばらくすると青になったのでことなきを得た。後ろからの圧が怖かったが、こういう時は待ち一択だろう。公道初乗りで信号無視はファンキーが過ぎる。

 さて、走っている途中で、行きの時は気にならなかったことが気になり始めた。行きは色々と緊張していたからだろうか、そちらに意識を割く余裕がなかったのだと思う。寒い。車と同等の速度で走り、その風をもろに受けているのだから当然であるが、認識が甘かった。日差しが傾いて気温が落ちてきたのもある。日陰で停車する時など、歯がガチガチ言っていた。ワークマンの方にすればよかったとはこういうことである。ワークマンのウェアにはポケットも多かったので、今回収納スペースが少なくて困っていたという点から見ても、ダウンジャケットを選んだのは失敗だったと言える。

 それでも駅近辺まで来たが、最後の関門が待っていた。給油である。レンタカー同様、最後は満タンにして返すように指示があった。だが、バイクの給油など、『ジョジョの奇妙な冒険』で仗助がハイウェイスターから逃げる途中に車からパクっていた時くらいしか見たことがない。ただ、なんとなくはわかるので、ガソリンスタンドに止めて、給油しようとした。

 この時に初めてタンクを開けるのにキーがいるということを知ったが、中々良い仕掛けだと思った。タンクを開けるのにキーがいるということは、バイク自体は確実にエンジンストップしている。そして、キーを使わなければ開けられないなら、ガソリンを窃盗されることも少なくなる。良い仕組みである。バイク単体をパクられたり、タンクに穴を開けれたら別だが。最初にタンクを開けた時、鍵穴が出てきて「タンクの鍵なんて持ってないぞ!?」と内心テンパったのは伏せる。

 ここで問題になったのが、このバイク、レギュラーとハイオクどちら?ということである。軽油はないだろうと思って切り捨てても、どっちなのかは説明にはなかった。調べて見ると、レギュラーを使うバイク、ハイオクを使うバイク、どちらもあるという。ではこのバイクはどちらなのか。下手に間違えた方を入れる訳にもいかず、どこかに記載がないものかとメールを見返したり車体を調べたり、およそ10分くらいをあたふたしていた。店員に聞くタイミングがあれば、その場で聞いていただろうが、オンライン完結のレンタルにそんな機会などない。盲点だった。

 結局、メールからバイクの車種名を調べ、それにガソリンと追加して検索をかけることで判断した。特に連絡がきていないので、おそらく大丈夫だったのだろうとは思う。だが、間違えたガソリンを入れると何が起こるのか、違うガソリンが混ざるとどうなるのかもわからない。故障などしていないことを祈る。

 そして、出発した駐輪場まで戻ってきて、元通りに駐車して終了である。最後に駐輪場を出る時、感謝の意味を込めて車体を軽くポンポンしようと思い、踵を返したところ、自前の充電コードが刺さったままだったことに気づき、慌てて回収した。気づいてよかった。

 そんな訳で初ツーリングを終えたのだが、反省としては、
・ルート案内はしっかりと固定してリルートしないようにする
・ルート案内のゴールは目的地近辺の駐輪場にしておく
・寒さを舐めるな
といったところだろう。これから本格的に寒くなるので、またバイクに乗るのはしばらく先かもしれないが、近いうちに再度挑戦したいものである。次は高速道路を走って、もっと遠くへ行ってみようか。

良い天気だった

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