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第108回 地理総合実践報告(地理総合研究チーム)

 第108回は地理総合の実践を“反転授業”のような形で報告していただきました。報告者の先生は1人1台端末をもたせているのに授業で活用できていない状況を何とかしようと、教員の負担もなく、生徒にもある程度効果的な方法はないかと模索してこられたそうです。利用したのはYouTubeとpadletというウェブサイトです。
 まずはYouTubeにアップされた内容を事前にチェックします。次に、先生がpadletに授業の発問やネタなど様々な項目をずらっと並べておいて、授業ではそこに書き込まれた質問に答えていきます。変化する社会に対応できる人になるためには、知識ではなく“学び方”を教えるべき、とこの方法にたどり着きました。この方法だと、生徒同士でもやりとりでき、自分たちで知識を深めることができるそうです。さらに、授業中に何をしてもいい休憩(5分程度)を挟んでメリハリをもたせ、集中できる環境をつくります。
 生徒の反応は様々で、自分で調べながら学習できるからよいという声やもう少し先生にしゃべってほしいという声、デジタルの方が電車で勉強できる、データではなく紙で勉強したい、など。テキストデータをアップロードしているのでそれをプリントアウトするかは個人に任せているそうです。
 授業でパソコンを使って作業している分、誘惑は多いですが、講義をしているわけではないので机間巡視でき、何をしてもよい休憩を与えているために指導しやすくなっていることに驚きました。テキストを読んでインプット→休憩→問題などでアウトプットの方法は自分のペースで進めていけるので学力差があっても問題ないし、欠席しても自宅で学習できるというメリットもあるそうです。この授業方法を始めて最も変わったのは生徒の声を拾いやすくなったことと言っていたのが印象的でした。

ー 質疑応答など ー
・オリジナルのテキストデータを使っているとのことだったが、授業における教科書や地図帳の位置づけはどうなっているのか。→受験勉強は教科書ベース。自分で読み進めるよう促している。授業の導入で教科書や資料集の図に言及したり、padletの中で資料集のデータを見るように指示するなどで利用している。
・従来の地理ABとどう違うのか。地理総合ならではの問いとしてどういうものを生徒に投げかけているのか→教材研究を進めていく中で地理総合に変化していったので違いを意識できているわけではないが、GISに実際に触れさせるためにpadlet上にリンクを置くなどして触れられるようにしている。単元を貫く問いに関しては、最初に生徒のイメージを揺さぶるような問いをなげるようにしている。例えば農業の単元では、自然環境のイメージに対して輸送や利益拡大など人間の意図を指摘してみるなど他の見方ができるようにする。
・計画的に進めていく印象だが、計画通りにすすんだのか、途中で調整が必要だったのか。→だいたい計画通りに進めることができた。インフルエンザで休校になったりすると調整が必要になった。補足が必要になったら自作の動画をclassroomにアップするなどで対応。
・中学とのつながりはあるのか。→中学はどちらかというと知識中心の学習。高1になってガラッと変わる。学力差があっても特に問題なく授業をすすめることができている。
・他の科目と連携することはあるのか。→今のところない。特に3年生は受験を意識するので高目、他教科との連携授業は敬遠されがち。
・各自で進められる学習スタイルであるのはわかったが、体面授業ならではというものはあるのか→たまに大きめのグループワークに取り組んだりもする。JISに関してジグソー法を用いてみたり、生徒に問題の解説をさせてみたりしている。
・padletは順番が変わらないので見やすい。
・padletは無料で使えるのか→無料版は作れるボードに制限がある可能性がある。年額9000円。月額より割安。
・5分の休憩について、授業の後半はスムーズにスタートできるのか→今のところできている。
・授業では発言できないが、オンライン上で意見を書ける子はいるので意見が出やすい。

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