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「景品表示法」の「不当表示」についてわかりやすく解説します!~違反事例から考える優良誤認表示~

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■はじめに

こんにちは、株式会社LIFULL 情報審査グループです。
 
突然ですが、皆さん2022年9月6日のニュースをご存じですか?

日本大手清涼飲料水メーカー:キリンビバレッジより販売されている商品パッケージ表示について、消費者庁より措置命令を受けた内容です。

景品表示法に基づく措置命令について
https://www.caa.go.jp/notice/assets/representation_220906_1.pdf

消費者庁 令和4年9月6日ニュースリリース


消費者庁からの発表内容を抜粋すると、同メーカーが販売する「トロピカーナ100% まるごと果実感 メロンテイスト」という表示において、
景品表示法違反があったとしています。
 
今回のNoteでは、当初予定していた「おとり広告」についてではなく、「景品表示法」について、初心者の方にも分かりやすく伝えていきたいと思います!

■「景品表示法」ってどんなイメージ?


 
皆さんは「景品表示法」と聞くとどんなイメージが持ちますか?
 
「購入者のうち抽選500名様に〇〇をプレゼント!」のように
商品を購入した時などに貰えるオマケや賞品について、
定められているのかな、、という印象を持たれていれば、それは正解です!

たしかに、景品表示法は不当な景品類の提供を規制する為の法律でもあります。  しかし、今回処分となった内容は、オマケや賞品を提供したわけではありません。

もう少し、景品表示法について、深堀りしていきましょう!

■景品表示法はどんな法律?不当表示とは?


「景品表示法」とは実は略称であり、
正式名称は「不当景品類及び不当表示防止法」といいます。

 つまりどういうことかと言うと、
「景品表示法」とは「景品 ”の“ 表示」に関する法律ではなく、
「景品 ”と“ 表示」に関する法律である事を表しています。

よって、「景品(オマケや賞品)」についてに留まらず、「表示」についても規制がある、という事です。
 
今回、消費者庁は「ジュースの商品パッケージに不当表示があった」として措置命令を行いました。
つまり景品表示法の「表示」の部分において違反(不当表示)があったということなのです。
 
 不当表示とは、消費者に商品・サービスを
「実際より著しく優良または有利である」と誤認させる表示を指します。
 
具体的には下記の表示です。

①    優良誤認表示・・・実際よりも“良い物”と誤解させる表示
例)実際にはコシヒカリは20%しか含まれないブレンド米を「コシヒカリ100%」として表示
 
②    有利誤認表示…実際よりも“有利に取引できる”と誤解させる表示
例)本来は初回契約料が1万円必要にもかかわらず、月額料金のみを表示
 
 
この度の「トロピカーナ100% まるごと果実感 メロンテイスト」は複数のフルーツ果汁を組み合わせた100%ミックスジュースです。

メロンテイストを謳ったこの商品は、2%のメロン果汁が含まれていますが、パッケージはメロンを全面に押し出すようなデザインとなっており、「100% MELON TASTE」等といった表記がされていました。
 
消費者庁は、この点を「”100%メロン果汁”であると消費者に優良誤認させる表示である」と指摘したのです。

【参考】

■不動産広告業界における「不当表示」とは?

 

このような不当表示は不動産広告においても存在します。

引っ越しで新居を探したことがある方なら分かる通り、不動産広告には賃貸物件なら賃料・敷礼金・ハウスクリーニング代、売買物件なら価格といった金銭面の取引条件はもちろん、専有面積、間取り、設備面といった部屋自体の仕様等、たくさんの情報が記載されていますね。
 
その全てを正確に、消費者を誤認させる事なく広告しなければなりません。
 
例えば、
・入居時に鍵交換代金1万円がかかる事を表記せずに広告
⇒実際より安いと誤認させる(有利誤認表示)

・駅から徒歩10分の物件を9分と広告
⇒実際より駅に近いと誤認させる(優良誤認表示)
 
これらは全て不当表示の例となります。

■「おとり広告」「おとり物件」も不当表示の一つ!

 また、SNS上でもしばしば話題になる「おとり広告」「おとり物件」については、「不動産のおとり広告に関する表示」と個別のルールが設けられるなど、景品表示法において「不当表示」の一つとして明確に定義されています。
 
情報審査グループでは、管理会社の持つ物件情報や、同一物件を掲載している不動産会社の登録情報の比較などを通し、こうした不当表示がないか日々調査・是正を行っています。
 
一方で、不動産会社からの「不当表示とならない掲載方法を教えて!」という相談に対応するのも情報審査グループの大切な仕事の一つです。
 
不動産広告の情報精度を維持する事はつまり、不当表示との戦いを指しているんですね。
 
 
さて、今回の内容はいかがだったでしょうか?
景品表示法について、「理解が深まった💡」という方がいたら、嬉しいです。

■※2023年1月18日追記※課徴金命令について

上記でご紹介した措置命令についてですが、2023年1月18日付けで課徴金1,915万円の納付命令が出たようです。

景表法に違反した場合、上記のように課徴金の納付命令が出る場合(※1)があり、その課徴金額の算定は、不当表示期間中の対象商品の売上額の3%(※2)を乗じるとされています。
※1 違反事業者が相当の注意を払っていたと判断された場合は賦課しない、課徴金額が150万円未満となる場合は賦課しないといったルールがあります。
※2 対象期間は3年間を上限としています。

不動産広告も景品表示法の規制対象ですので、こうした事例が起きないよう、私達も不当表示の調査・是正に努めなければならないと改めて強く感じました。

■今日のまとめ

✅「景品表示法」とは「不当景品類及び不当表示防止法」の略称!
✅不当な景品類を規制するだけなく、不当表示を防止する為の法律!
✅ 不当表示とは、消費者に商品・サービスを「実際より著しく優良または有利である」と誤認させる表示のこと!
優良誤認表示・・・実際よりも“良い物”と誤解させる表示のこと!
有利誤認表示・・・実際よりも“有利に取引できる”と誤解させる表示のこと!
「おとり広告」は不当表示の一つ!
 
次回は「おとり広告」についての記事です。
お楽しみに!

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