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『ミュータンス・ミュータント』百景episode7…「偽りなき虚偽」

「何だって!殺人ミュータンス菌!?」
自宅のダイニングで夕食の下ごしらえをしながらテレビのニュースを見ていた柿井沙羅は、速報のテロップに目が釘付けになった。

1998年12月18日、年の瀬。
色とりどりの飾りに彩られたクリスマスツリーが灯りを点滅させているリビングでは、息子の悟がジグソーパズルに夢中で、ニュースは耳に入っていないらしい。

しかし、沙羅の驚きの声にはさすがに反応したようで、「ママ、何なの、それ。さつじんみゅー…何とか」

沙羅は手を止めると、悟に向き直った。

小学4年の悟にはまだ難しいかな…と思いつつ、沙羅は「殺人ミュータンス菌ね。さとしちゃんは虫歯をつくるミュータンス菌というバイ菌って知ってるよね?」と質問してみた。ミュータンス菌については、悟がまだ小さい頃、夜の仕上げ磨きをしてあげる時に、何度か話し聞かせたことがあった。

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