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「3」は俺の番号だ! 誰にも渡さねえ!

こんにちは南仙台の父です。
今回は数字に纏わるお話です。
皆さんも何となく好きな数字・番号ってありますよね?
いつもこの番号のロッカーを使っているとか、クジを引くのにこの数字の
クジだといい結果になるとか、誰もがそんなものがあるのではないでしょ
うか。
今回の話はそんな話です。

今から20年くらい前の話です。
地方にある工場へ出張で行った時のお話です。
その日、私は工場入りが少し遅くなってしまい、来客も多くあって下駄箱
の空きがなかなかありませんでした。
たまたま、空いていた「No.3」の場所に自分の靴を入れ、中に入っていた
上履きに履き替えました。
とりあえず仕事も終わって帰ろうとした時のことでした。

私が下駄箱から靴を取り出して履こうとしていた時、後ろから私に声をか
ける人がいました。
「おい、なんで3を使ったんだよ!💢」
ちょっとムッとした感じでした。
「ここしか空いてなかったんですよね。」(だって本当だったんだもん。)
「あのなあ、いつも俺は3を使うって決めてるんだよ。 どうして使った?」
(どうしてって、空いてなかったんだもん。)
「ここしか空いてなかったから、ここに入れるしかないですから。」
「俺が3が好きだってこと知らなかったのか?」(知らねえよ。)
「どうして3じゃなきゃダメなんですか?」(少しイラっと来てます。)
「俺は長嶋の熱狂的なファンなんだよ!💢」(はぁ?)

そう、この人は私よりも一回り以上も年長者で、この年代の人たちにとっ
ては「巨人・大鵬・卵焼き」の時代でした。
その中でも、長嶋茂雄は特にファンも多く、昔は銭湯や学校のロッカーな
どで3の場所を奪い合っていた、そんな時代の人でした。
それにしても未だにそんな過去を引きずって今を生きているとは・・・。

「長嶋ってそんなに凄い人なんですか?」
私も長嶋茂雄という人は知ってますけど、野球ファンではないのでそれほ
どの知識はありません。
プロ野球の実績よりも、破天荒なエピソードの面での伝説の印象が強過ぎ
ますけど。

「お前、長嶋茂雄を知らねえのか?」(本当に日本人かよって目で見る。)
「プロ野球のことはよくわからないですから。」(適当に答える。)
「長嶋って、日本の生涯ホームラン数の記録とか持ってるんですか?」
「馬鹿言ってんじゃねえよ、それは王だろ!」
「じゃあ、王貞治の方が凄いってことですよね。」
「そんな訳ねえだろ、長嶋の方が凄いんだよ!💢」(目が殺気立ってる。)
「あっ、年間のホームラン数の記録を持ってるんですか?」
「それも、・・・王だよ!💢」(口が尖がってきました。)
「それじゃ、甲子園で活躍したとか、優勝したとか?」
「長嶋は甲子園には行ってねえよ、行って優勝したのは王だ!」
「そうか、やっぱり王貞治の方が偉いってことですよね。」
「馬鹿言うな、王なんて長嶋の足下にも及ばねえだろ!」
でも、これだけ記録と実績を持つ王貞治氏の方が凄いのは誰の目から見て
も明らかですが・・・。
「長嶋はな、東京六大学のホームラン記録を持ってるんだぞ!」
「何本打ったんですか?」
「それはな、8本だよ!💢」(かなり切れている。)
「ところで今の東京六大学のホームラン記録って何本なんですか?」
「高橋由伸の23本だよ!💢」(かなりご立腹の様子。)
「えっ、それじゃ長嶋は3分の1しか打ってないってことですよね?」
「それがどうした!💢」(爆発寸前か?)
「結局長嶋って何の記録もないってことになりますよね?」
どうだ、自分の土俵に引っ張り込んだと思っただろうが、逆にどツボ
に入りやがったじゃないか。
「あっ、長嶋って右バッターでしたっけ、左バッターでしたっけ?」
「長嶋は右バッターに決まってるだろ、そんなことも知らねえのか?」
「じゃ、長嶋は右バッターの生涯ホームラン記録を持ってるとか?」
「何言ってんだ、・・・・それは・・・野村じゃねえか。」
「えっ、あの野村さんよりも長嶋ってショボいってことですか?」
「馬鹿なこと言うな、長嶋は数々の伝説を持ってるんだよ!」
だんだんと顔色が悪くなっていき、少~し青味がかってきました。
「息子を球場に置き忘れて帰ったとか、試合用のソックスを忘れてマジ
ックで黒く塗って使ったとかってやつですか?」
「何言ってんだ、そんなのは伝説じゃねえだろ?」
「四打席連続ホームラン打ったってやつですか?」
「それも、王だよ、そう王だよ!💢」
「そう言えば、長嶋って監督もやってましたよね?」
「やってたよ、優勝もしてんだぞ!」
「それじゃ、縁起もいい監督の背番号の下駄箱を使えば良かったんじゃ
ないですかね?」
「90番なんて下駄箱がどこにあるんだよ!」
そうでした、下駄箱は40くらいまでしかありませんでしたよね。
こんなやり取りの結果、ついに撃沈してしまいました。
「もうお前とは野球の話なんて絶対にしねえよ!」
「じゃあJリーグの話でもしますか?」
「俺はなあ、・・・生粋のジャイアンツファンなんだよ。」
そう言うと、がっくりと肩を落として工場を去っていきました。

後日、その部署の社員から呼び止められました。
「〇〇さんが、あいつは長嶋のことを全く知らねえって言ってましたけ
ど、何があったんですかね?」
3の下駄箱が使えなかったために駄々をこねて、私に文句を言ったので
、長嶋茂雄でボケトークしたことを話ました。
「あの人にとって、長嶋茂雄って本当にヒーローで、伝説の人なんです
よ。 それなのにそんなことしちゃったんですか?」
そう言いながらも目が笑っている。
「だって、日本中が長嶋茂雄知ってるっていう自信はどこから来るんだ
ろうね。 俺は野球ファンじゃないし、長嶋ファンでもないし。」
「それはそうですけど、もうがっくりと肩落としてましたよ。 長嶋って
伝説はあるけど、記録がねえなって。」
こうして、私は二度と社内でプロ野球の話をすることはありませんでした。

長嶋茂雄って凄いエピソードだらけです。
これだけ見ても本当に価値がありますから、ぜひ見てください。
抱腹絶倒のエピソードがいっぱいですから。


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