武器のない中年ドビー

わたしは嘱託社員である。
仕事の内容は、正社員がやらない「仕事」を全てが仕事。
「雑務」というのか?
正社員がスマホで漫画を読んでるときも
ショッピングしているときも
新聞読んでるときも
わたしはその「雑務」をしている。

仕事をしないでくれてるから、わたしのようなものが
働けるのかもしれない。

間に合わないので、勤務時間の30分から1時間早く出勤し
同じく30分~遅く退勤。
正社員が帰り、ひとりで残業することも、もちろんある。

いわゆる「仕事が出来ない人」「昇進出来ない人」も
わたしという、自分より身分の下がいるお陰で
威張ることもできるし、優越感に浸ることもできる。
わたしはそういうプライドというか
その人の尊厳を守る役目も果たしている。

大変だね。ひどいね。なんでここにいるの?と聞かれることもある。
わたしは見の程を知っているのだ。

ただここは、概ね人間関係が良好だし
ちょっとした嫌なことも、ネタとして昇華する能力がわたしにはある。
以前、転職したとき人間関係が悪くて心身ともに苦労したから、
大変ありがたい。
こればっかりは、お金に代えられない。

武器のないわたしにあるのは、愛嬌と仕事の速さだけ。
そこそこに愚痴はいうけど
正社員様が働きやすいように(仕事をせず遊んでいれるように)
わたしは今日もせかせか働くのです。
昇給しなくとも。(悲しい)




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