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大洋ホエールズのくま

このところずーっと、AirPods proのカバーが外れているのが気になっていた。
本体を買ってすぐ、カバーは楽天で買ったもので、ホワイトのシリコン製のやつを選んだ。
その時の私は、AirPods proはかっこいいものだと思っていて、カバーは極力シンプルであるべき!という妄念の元に、楽天で探して難なく購入したものだった。

AirPods は持ってるだけでなんかイケてる感じになれる気がする。
可愛い女の子とか、スタバでイケてる風に仕事をしている若い男の子が使っているのを見て憧れがあった。
しばらく、その、コロンとしたフォルムの曲線美と、ノイズキャンセリングという機能性に惚れ込んで、”AirPodsのある暮らし”を楽しんでいた。

仕事に行くにも、遊びに行くにも、どこに行くにもお供だった。
見た目だけで選んだものの、なかなか、音もいいのだ。
それに、イヤフォンのぷにぷに部分が耳にきちっとフィットしてくれる。電車内などでも支えて音漏れもしにくい仕様で、助かる。電車の中で爆音が漏れたりすると、睨まれるからね。

定価3万円ほどで購入したからには綺麗に愛用したく、うっかり固いコンクリートの上で落としてもドキドキしないように、カバーをつけて安心感を享受しながら、大事に使っていた。

ところが購入から1年ほど立つと、シリコン製のカバーが本体から浮いてくるようになった。
最初は本体の蓋の部分が、ペロンと本体から剥がれていて、かろうじて首はつながっていたのだが、1年くらいかけて今度は胴体の部分もカバーが剥がれ始め、本体とカバーは鞄の中で完全に分離していることが多くなった。
2年の歳月を経て、カバーは本体から外れるようになってしまった。

シリコンって、経年で伸びてくるのか〜
うん、考えてみれば、弾力性が失われてきたら、そりゃ伸びてくるよね〜

カバンの中で分離している彼らを見つけたら、「君はここが住所なんだよ」とAirPodsにカバーをかぶせてあげていたのだが、しばらくしてようやく横着している自分に気付き、嫌気が差し、お気に入りの新しいAirPodsカバーを探す旅に出ることにした。

そして、すぐに見つけてしまった!
中国通販(SHEIN)で、AirPods proのケースを!

ふわふわのクマがキャップをかぶっているようなデザインで、AirPods全体をぬいぐるみのように包みこみ、本体の蓋部分がキャップになっていた。
そして、そのキャップがまさに、大洋ホエールズのそれなのだ!
現在は横浜DeNAベイスターズである前身の大洋ホエールズのキャップをかぶったクマのケース。見つけた時は「なんで君がここに?」という気持ちになった。中国通販で売られていたので、絶妙な需要をAIがキャッチしているのだろうか。
(ちなみに同じものは楽天市場で1980円で売られていた。SHEINでは646円)

以前ここで買い物をしたことはあるから、自分の氏名や住所、クレジットカードは登録されていたままだったし、カートに入れるところまでは数分もかからなかった。

問題はそのあとである。
さて、私はこの子をカートに入れたまま、そのまま2ヶ月も放置した。

ちょうどたまたま母と話していると中国通販の話になり、母から使用を控えるように言われてしまっていたのだった。
母の主張によれば、中国通販は使うべきじゃない、クレジットカードの情報を抜き取られて不正利用をされるとのこと。私も控えた方がいいのかな…という気持ちでいながら、たびたびSHEINのアプリにアクセスした。
以前カートに入れたものの、購入されないまま時間が経つと中身は空になるシステム。それを何度もカートに入れて、空にして、と大洋ホエールズのクマちゃんと私は2ヶ月間戯れていたのだった。

やっとうちに迎える決意をしたのは、やっぱりあの子が忘れられなかったからだった。
たかが646円。されど646円。2000円で送料無料になるラインがあるので、そこまで他の商品をいれ、決済した。そして、2週間ほどすると、簡易包装で届いた。

さて、肝心の製品だが、低価格ながら、使い心地は良好である。
結局シリコンに布が縫い付けられている製品だったので、この子もいずれは弾力性がなくなり、カバーとしては大きくなる日が来るかもしれない。

ちなみに、この子を手に入れてから夫に自慢をしたが、
「大洋ホエールズって俺あんまり詳しくない。なあに、それ?
あと、中国通販には気をつけなよ。」
と言われただけだった。

その場で、私はSHEINの登録クレジットカードの情報を消した。

AI活用によるマーケティング戦略は、
コンセプトから製品化までを最短3日で行うらしい。
小ロットでの繰り返し生産を重ね、試し売りをしながら売れるものの制度を上げていくという。
1日3000点もの新商品が追加されるとのことで、恐ろしき商品数である。

その中で再販を重ね、生産中止になることなく売れ続けてくれているため、手元にあるクマさんカバーに愛着が湧いてきている。

ま、2年ほど楽しんで、また他のケースを買うのも良きかな。

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