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ワタシと小さなあの子の物語④ワタシが強い女に憧れた理由

教団の保育施設にガーデンと呼ばれるところがあった。そこにはいつも5~6人の子どもたちが預けられて、信者のお姉さんがひとりでお世話をしていたのだけど、その中に月子ちゃんという大柄な女の子がいましてね。強くて乱暴なところがあって、今も昔も小柄で気の弱いワタシはいじめられた苦い思い出がある。だから彼女と関わる時はいつも怯えていたような気がする。

ひとつだけ記憶にあるのが土管のこと。

近所に耳をあてるとたまに水が流れる音がする土管があって、それを聞くのがブームになっていた時があった。

せまいところなので一人づつしか聞けなくて、とろいワタシはいつも順番待ちしていたのだけど、その日は一番に聞きたくて公園からの帰りに小走りで
土管を目指したワタシは、見事先頭でたどり着くことができた。

耳をあてて
あ、今日は聞こえる!と自慢げに言ったのがいけなかったのかなんなのか
いきなり彼女がワタシをつきとばしてですね、自分が土管に耳をあてたわけです。

押されたワタシは転んでギャン泣き。
たぶん信者のお姉さんになぐさめられて、月子ちゃんは注意されたと思うのだけどお姉さんはなにぶん資格を持たない素人で、ワタシは謝ってもらっていない。

そういうことが繰り返されていたのだけど!
なにぶん信者のお姉さんは(以下同文)でいじめられているという話は母に伝わっていなかった。

しかし月子ちゃんが強いという話はなぜか伝わっており、弟が弱い姉よりも強い彼女を慕っているという話だけが聞かされていて、その話が母の中でツボったらしい。

ことあるごとに
男の子ってあの年頃は強い女の子が好きなのねえ、実の姉よりも月子ちゃんを慕って

とワタシの前で嬉しそうに他の大人に話すものだからワタシはめっちゃ傷ついたのですが!

弱い女だから弟にさえ慕ってもらえないというこの屈辱。

そういう経緯があるせいか、ワタシは昔から強い女に憧れていた。
はきはきと思っていることが言えて、声も大きくて強くて物怖じしないそんなできる女に。

実際は小心で声は小さく(またしゃべり方がちびまる子ちゃんみたいなのよ)
あがり性で本番で失敗するタイプのワタシは

ああワタシは弱い女、弟にさえ(以下同文)という劣等感を抱えて生きてきた。

パパの妹ちゃんみたいな頭の切れるバリバリのキャリアウーマンだったらどんなによかっただろうと。

でもカウンセラーのミカ先生のおかげで少しづつ自分を愛する努力を始めて
今では
このカピバラみたいなのそのそ感も
聞きようによっては癒しと言えないこともないこの声も
過去の出来事を覚えているこのねちこさも
それに対してねちねちと考察できるところも

まあいいんじゃないか、と思えるようになりました(ビバ!)

そして親になったワタシは、憧れるのはいいことだけど、あなたも捨てたもんじゃないよとににくんんに伝えながら、自分にもそう語りかけている。

強さに憧れていたあの小さな女の子に。



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