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番外編【野良猫のTNRについて】

今回は何のボランティア団体にも所属してない私が個人的に経験した野良猫のTNRとその経過についてです。

このTNR実施は特に誰かに依頼されたりしたわけではなく、私が気になったので行った活動といった感じです。

すでにご存知の方もいるかもしれませんがTNRとは…

Trap・Neuter・Return(トラップ・ニューター・リターン)を略した言葉で、捕獲器などで野良猫を捕獲(Trap)し、不妊・去勢手術(Neuter)を行い、元の場所に戻す(Return)ことです。望まれない出産をなくし、殺処分数を減らすのに有効な手段と考えられています。 参照:公益財団法人どうぶつ基金

さくらねこTNR

より詳しく知りたい方はお調べください。


さて、どうして今回TNRを行ったかというと、去年の夏頃から近所に子猫が6匹も増えていてる事に気付いた事がきっかけでした。

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まずは真夏前に3匹産まれ、秋頃にまた、3匹!

どうやらすぐ隣のお家のご婦人(ご高齢)がご飯をあげている…でも飼ってる感じではない。

タイミングよくそのご婦人と話すことができて、猫について聞いてみると、やっぱり野良猫で可哀想であげてしまっているとのことでした。

すでに6匹も産んでいて、このままだとまだ産まれる可能性はある。

いや、発情期来たら間違いなく産まれる。

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避妊手術した方がいいんじゃないかな…と思い、ご婦人とも話してやってみよう、となり、いろいろ調べていきました。

私もその時まで知らなかったんですが、住んでいる市で野良猫への避妊、去勢手術への補助金を出す制度がありました。申請と審査がありますが、無いとあるとじゃ大違いです。 

どの地域にもあるかは分かりませんが、一度調べてみるのはいいと思います。

そうこうしていくうちに今の地域でTNRを主に活動しているボランティア団体の方に辿り着きました。(Aさんとします)

Aさんの団体はその時点では様々な事情により新規の依頼や活動はお休みされていました。

自分達(パートナーと二人)で出来ることはやるつもりでしたが、そもそもTNRは知っていても実際の活動経験もないし、捕獲器もないし、捕獲器を買ったところで使い方や、捕獲の手順もよく分からない。。

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やはり聞くしかないと思い連絡して、しっかりと話を聞いてもらい、自分でやれる事はやる前提でサポートしていただくことになりました。

*費用面では当初は自分たちで持つつもりでしたが予定より野良猫が多くなってしまったので、捕獲器設置やその他でも主に協力してくださった地域の方々にもご負担していただきました。どうぶつ基金のチケット申請も検討しましたが、様々な事情により自己負担としました。

まず私がやることは野良猫の数の確認と飼い猫の確認、TNRの告知、チラシなどの広報活動。


①対象となる野良猫の確認と対象地域の決定。

自分で確認した猫以外にも、近隣の方に、どんな柄の猫をよく見るか? いつ頃から見るか? 猫を飼っているか? など聞き込み調査していきました。 そして見かけた猫たちは可能な限り写真を撮っておきました。

結果、最初は子猫入れて4匹くらいと思っていたら 最終的には成猫4匹、子猫3匹の計7匹となりました。(6匹いた子猫の内、1匹は飼われ、1匹は行方不明、1匹は交通事故)

猫の目撃情報からだいたいの行動範囲、縄張りを予想して自分が動ける範囲で、対象地域を絞りました。

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私は自分が歩いて回れる範囲のかなり狭い範囲で調査しましたがそれでも7匹もいたのはビックリでした。

②近隣へのTNR実施の説明。

聞き込み調査の際に、TNRについてのパンフレットや、市のHPの野良猫への手術費の補助金についてのページを印刷した物等を持参し、TNRを何故やるのか、TNRを実施することでどんなメリットや変化があるのか等、説明と実施の告知と同時にご理解をお願いしていきました。

特に気にしてない方もいれば、フンが気になってるという方もいて、しっかり話を聞きました。

顔を合わせて話をすることでお互いどんな人かが多少は分かるのでチラシを入れたりするだけよりスムーズだったかなと思います。

③近隣へのTNR実施日の告知。

頭数の確認ができ、TNR実施の予定が決まるとそれをチラシにしてポスティングしていきました。 

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いつ頃、どの地域で、どんな理由で、どのように、そのメリット等記載した自作チラシをポスティングしていきました。専用の連絡先も用意して記載しておきました。(この際、Aさんに原稿チェックしてもらってますが、なかなか自作って難しかったです)

そのおかげか、家に住み着いてる猫がいて可愛いけど どうにかしたいとは思っているから協力します、と嬉しいご連絡もいただけました!

④TNR実施当日。

いよいよTNR実施日。

捕獲器は餌をあげているお宅と住処にしているお宅といくつかに分けて設置させてもらいました。

Aさんと一緒に捕獲器を設置していきます。特製のご飯を用意して、設置の仕方や手順、捕獲器の扱い方などを聞いていきます。

初めての事に緊張しつつ準備していると 匂いにつられて、どこからか にゃご~っと声が! 最近怪我だらけでやってきたオス猫が真っ先に入ってくれました。ホントにボロボロでよほどお腹減ってたんでしょう。

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この時にどんな風に捕獲器が動いて、その後の入ってからの流れも把握できたのでちょっと安心しました。

⑤待機!

その後、改めて捕獲器を設置したら、あとは待つのみ。

夜から夜中にかけて数時間おきに捕獲器を見に行きます。

1回目のTNRは成猫からの手術だったのでうっかり入った子猫達は出して、もう一度設置し直します。

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凄く怒ってます! 小さいけど力いっぱいシャーしてました。

この後、母猫も捕獲器に入っていました。

しかし別の捕獲器にはイタチが入ってたりも!(しかもめちゃくさい!)

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初めてこんなに近くでしっかりとイタチを見ました。

そして朝。

イタチの激臭と緊張であまり寝れませんでしたが、とにかく二匹の成猫を捕獲できたので病院へ。(諸々の事情により病院へはAさんが行ってくださいます)

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1日病院で過ごし手術を終え、耳カットをし元の場所に戻します。

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肝心の耳カット部分写ってない!

このように1回目のTNRは無事に終わることができました。

その後、2回目、3回目と続きますが、実施前にはチラシにて日程と注意点、前回のTNRの結果報告を記載してポスティングする事を繰り返しました。

さすがに3回目の子猫達のTNRの際は 皆 私にも、捕獲器にも警戒しまくって全然入ってくれず、かろうじて1匹だけ捕獲できました。

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そして4回目のTNRでは、夜ではなく、ご飯時のお昼からに時間帯をずらし、捕獲器設置のお家の方々にも協力してもらい作戦変更しました。

その結果、無事に残りの子猫2匹も捕獲、手術でき、元の場所に戻して、これにてTNRは終了となりました。

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ざっくりとした感じではありますが、経過はこのような流れでした。

私が経験したTNRはとてもラッキーな状況だったように思います。 

対象となる猫たちは一軒家のお家の庭先で餌をもらったり、一軒家のお家の倉庫で寝泊まりしたりと公共の場ではなく個人の敷地内がメインの縄張りでした。

ビッグ・ママな母猫を筆頭にその娘猫と子猫達が血縁関係で縄張りを持っていました。なので費用面も含め様々な事を個人間でスムーズに話し合うことができたのです。 

これが公共の場だったらちょっと違っていたんだろうなと思います。他にも立地的にも、協力してくださった方々も、タイミングも、様々な事が本当に恵まれていました。

そして、やってみて感じたことなのですが、TNRは最善ではなく、何もかもを解決するわけではないけど、最悪の状況の中で個人が出来る最善の方法なのかなって事です。

どんなボランティアでもそうだと思うんですが、何がどこまで出来るかは人それぞれで、あの人はあんなに出来てるから自分も同じくらい出来なきゃ…みたいに思わず、確実に自分が出来る範囲でやることが大事なのかなと思いました。

やればできる!それも大事だけど、どこまでならやれるのかが分かってないと自分が潰れてしまうんだろうなと。体力もだけどそれ以上に頭数、金銭的、時間的、敷地的に。

自分の様々な容量の把握と線引、自分の感情と外へ向けてのアプローチをごっちゃにしない。

その判断は、時には残酷な選択をすることにもなるかもしれません。 

その覚悟も大事なのだと思います。 

でも、とても小さい活動でも増えていけば、大きな活動をしている方々にすべて負担が行くような事も減るのではないかなと思います。

TNRも誰もが肯定的ではないでしょうし、いろんな考えがあると思います。

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猫を捨てるも世話焼くのも人間の勝手だなと思います。

それでも! 私はあの子達に事故にあってほしくないし、できることなら少しでも屋根があって、ちゃんとご飯をもらえる環境で暮らしてもらいたい! 私の勝手な感情だけど。

だからTNRを選んだんです。あの子達がずぶ濡れになって凍えて、飢えていくのを見たくはないんです。繁殖出来ない事と引き換えに、その地域で暮らすことを意識して認めてもらう。

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まー、いろんな事を考え、思いましたが結果やって良かったと思います。

今回は野良猫でしたが、自分の住んでる地域でどんな活動をしている人達がいるかを知るのも大事なことだと思うし、何かイベントがあれば行ってみて実際に見て話を聞くのもいいと思います。

まずは知ることだなと。

でもあまりに辛い状況を無理に自分の中に受け入れようとはしなくてもいいとも思います。 知ることは大事だけど、自分の心の状況でその時受け入れられる事からで耐性をつける感じでもいいんじゃないかなって。私はそうでした。


あとは意外とご近所の方々との交流も楽しく、子供達とも仲良くなれました。

この後、私はこの地域から引っ越しなので、猫とも子供達ともお別れでちょっと寂しくなりますが、皆 元気に大きくなってほしいですね。

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オマケ

猫好きさんならご存知でしょう、ジャクソン・ギャラクシー。 海外でのTNRが実際どんな感じか見れるし、彼のTNRの活動動画で、猫の賢さとそれに悩み解決していく人達の変化が見ていて励まされるようでした。

この後半がTNR。

他のシリーズでもあるかもしれません。

追記

この回はTNRの難しさもちゃんと説明されています。

猫への対応は言うまでもなくジャクソンの人との会話やアプローチが凄いなって毎回思います。

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