表現コミュニケーションについて(TEACCH、ABA、おめめどうに関連して)

2020年2月2日版
ある方から教えて頂いて、少し改変しました。

 TEACCH のコミュニケーションサンプルは原則として「自発されたコミュニケーション行動(音声言語だけでなく、クレーンもだし、私は記録したことないけどパニックだって記録していいよね)」しか記録しません。こちらが何らかのコミュニケーション行動(音声での指示だとか、質問だとか)に対するご本人の行動すら記録しません。

 当然これは、相手からの自発されたコミュニケーション行動に対して周囲がどう反応するか、というのは問われます。

 応用行動分析を理論的基盤としているPECSは、まだ適切な要求行動を出せないお子さんに対して、そのお子さんの好きな物、活動を徹底的に調べたうえで、それを要求できる自発要求行動を教えていきます(最初は自分で自発したと「勘違い」させるところから始めることも)。次が離れたところの人への要求行動で、次が選択ですね。

 これも「要求」されたことをかなえる環境を作っておきます。

 またおめめどうの主張する「選択活動」も、選択したことを実現するところから始めます。場合によって即実現できない時にはスケジュールやカレンダーを使って「今はできないけれど、いつならできる」ということを交渉(やりとり。コミュニケーション)するわけです。

 応用行動分析でも「要求」「選択」の重要性を述べられた望月昭さんは「応用行動分析学入門」の中でこう書かれています。


「要求言語行動に文字通り対応しようとするなら(本当に教えようとするなら)、周囲の人間は、本人が選択(要求)できる、現実の物や事(強化刺激)を用意しなければならないのである。
 このように、表現モードを本人の選択を中心に選んだり、あるいは要求言語行動の指導の場面で典型的に示されるように、そのコミニュケーションの本来の機能を満たそうとすれば、指導者は単に障害児者本人とだけ向き合って指導をしているだけではすまない。必要な環境設定を自らが行ったり、あるいは生活環境の変更について、本人に代わって(あるいは本人と共に)要求する必要が出てくる。そして、そうした操作を前提とした場合には、この指導の場でのコミニュケーションの内容も、変化していく必要がある。」

応用行動分析学入門―障害児者のコミュニケーション行動の実現を目指す 山本淳一他著
http://kingstone.seesaa.net/article/174218585.html

 コミュニケーションは常にご本人から自発されるものを大事にしていき、周囲の人の思惑を押し付けるものではない(時には交渉もする)という話でした。

 また応用行動分析はいろいろな技法があるように見えるけれど、結局はおめめどうふうに言えば「ご本人に得になる」ことで適切な行動を覚えてもらっうことじゃないかな。それを「記録をつける」ことで確認していく、と。それは他の実践家と話し合ったり、協力しあったりをしやすくするものでもある。
 ある意味、ただそれだけのことで、技法は枝葉末節のことなのかも。

 これは2018年の(株)ソワサポートの放課後等デイサービス、コッコロのスタッフさんが特殊教育学会で行ったポスター発表です。ここに書いたいろいろなものが入っているのがおわかりになるでしょうか。

 放課後等デイサービスでスタッフが自ら課題を見つけ解決していく研修のあり方の検討(2018年特殊教育学会でのポスター発表)
http://kingstone3.seesaa.net/article/461830092.html

2月2日 改変点
「応用行動分析の一部である PECS は」→「応用行動分析を理論的基盤としているPECSは」
「次が選択で、次が離れたところの人への要求かな?(私の順番思い間違いがあるかも)」→「次が離れたところの人への要求行動で、次が選択ですね。」



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