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娘のフォトウェディング用「ネイル」をオヤジモデラーがつくってみた!

 noteの世界のみなさま、こんにちは。オヤジモデラーのきんぐじょーです。ご無沙汰しています。さて、ここ何回かの投稿では過去に手がけたキットについてご紹介してきました。それというのも、あらたな「制作物」に苦戦するあまり、新しいキットに手をつけられなかったためです。今回は、その「制作物」について、ご紹介しようと思います。タイトルの通り「プラモ」のお話ではありません。なお、一部記憶のあいまいな部分があるため、記事中の「会話」に関する表現など、私の思い込み等による脚色も含まれております。あらかじめご了承ください。では、始めます。


「あのさ、作ってほしいものがあるんだけど」

 今年2023年のGWのことでした。数年前に愛知県内に就職、お付き合いしていた方と昨年入籍を済ませた娘が数日間、帰省した際の話です。

 その帰省前から、この秋、9月の中旬に「フォトウェディング」を計画しているとの話が娘からありました。簡単に言うと「素敵なウェディングドレスを着て、結婚写真を残す」企画だそうです。なんと、舞台は空港(!)。「飛行機好き」の娘のために、旦那さんが探してきたサービスだとか。駐機中の旅客機をバックに、あるいは機内などで、結婚衣装の2人の姿を撮影してくれるそうなのです。いろいろなサービスがあるものですね。

 ここ数年のコロナ禍により、結婚式や披露宴等ができないままだった娘夫婦。私たち夫婦が結婚した際には、双方の家族が集まっての簡単な式と会食、記念の結婚写真は撮りましたが、一般的な披露宴・パーティー的なことはやっていません。なので、娘夫婦についても、「2人の好きなように自由にしたらいい」くらいで考えていましたし、そのような形での「結婚式」も「全然あり」で、むしろ「それは良き、良き」と。

プラモのパーツみたいなネイルチップ

 さて、帰省してきた娘が「作ってほしいものがあるんだけど」と旅行鞄から取り出したのが、透明の「ネイルチップ」のセット。100円ショップで売っている、指の各サイズ120枚分がセットになっていて、プラモデルのパーツみたいに〝ランナー〟から切り離し、好きな色にデザイン・着色してオリジナルネイルを作ることができるものでした。

「飛行機が入ったネイルがいいかな」

こんな感じに、両面テープでくっつけるそうです

 娘も、私のここ数年「プラモ作り」に励んでいることや、今や各種の筆・塗料等も揃えていることも知っています。
 「いろいろ塗料とか道具はあるでしょ。プラモ作っているパパなら、できるんじゃないかと思って」と娘。「娘の頼みなんだし、作ってあげなよ」と妻。「面白そうだし、やってみるかな」と、私も引き受けることにしました。このときは「組み立てとかないし、楽勝、楽勝」と考えていました。
 「で、どんなデザインがいいのよ?」
 「飛行場でフォトウェディングだから、飛行機が入ったのがいいかな」
 「なるほど」
 まずは娘の各指の爪に合うネイルチップのサイズを確認。どの指にどのサイズを使うかをメモしておきました。

 チップサイズを合わせてメモ

 さて、そこから、参考にするために、さまざまな「ネイルデザイン」を画像検索してみました。「こんな感じかな」と見つけたのが〝青空を飛んでいく飛行機〟的なデザイン。5つのネイルのうち1つだけに飛行機を描き、尾を引く飛行機雲や、白い雲があちこちに浮いている-というものでした。

「どんな塗料で?どう作業したら?」

 さて、まずは背景の青空をどう塗るか。自分なりに考えたやり方として①本物のネイルと同様にUVライトで固まるネイルジェルで塗る②プラモ用の塗料で塗る-でした。

まずは、こんな感じで塗装準備

 まず空色っぽいネイルジェルを100円ショップで購入して試してみましたが、ひとつのネイルについて、塗ったジェルをカチっと固めるには時間がかかります。この機会にと新しい高出力のUVライトも買いましたが「これでは厳しいかな」と、ジェル+UVライトは早々に断念。「やっぱりプラモ塗料でいこう」ということに。
 ただ、プラモ塗料の調色がなかなかうまくいかず、思うような色が出せません。そのときに近くのドラッグストアで、ちょうど良い色具合の「ネイルカラー」、いわゆるマニキュアを見つけました。

こんなブルーも試しましたが「青空」っぽくないのでボツ

 試しにチップに塗ってみると、細かいラメが入っていてなかなかの出来。ただ、どうも思ったような「空色」の深みが出ません。そこで思いついたのが「プラモのスカイブルーを下地に塗って、その上から重ね塗り」という方法でした。

水性アクリルで下地塗りしましたが…

 しかし、これもまた、うまくいきません。私が使っているプラモ塗料は基本的に「水性アクリル」なのですが、ネイルカラーを上塗りすると、下地を浸食して表面に滲みが出てしまうのです。なので、同色のラッカー塗料を買ってきて同じ工程をテスト。何とかきれいに重ね塗りができました。
 こうした試行錯誤を繰り返す中で、最初に娘からもらった「ネイルチップ」は使い果たし、2つめを購入することになりました。まあ、100円ですから大きな出費ではないのですが。

今回試した各種塗料。後列中央がラッカーの空色、前列左が表面を仕上げたマニキュアです。

「どうやったら飛行機がうまく描ける?」

 この手順で背景の青空は何とか完成。次は、チップのあちこちに空に浮かぶ雲を描きます。これは割とすんなり描くことができました。ちょっと数が多かったかもしれませんが。続いて、親指から薬指まで航跡となる飛行機雲を白い線で描きます。
 「親指から薬指まで」としたのは、「やっぱり飛行機を描く場所は指輪をつける薬指だろうな」と。出発点は親指にしましたが、「『親』元を離れて嫁ぐ」デザインになっていたことに、後になって気づきました。
 さて、その飛行機雲の起点になる親指には、ハートマーク形のネイル用シールを4つ並べて「四つ葉のクローバー」をつくり、そこから飛行機雲が伸びていくデザインとしました。
 小さなシールをピンセットで剥がして貼り付ける作業は、まるでプラモのデカール貼り。いつも書いていますが「老眼にはキビシイ」作業だったことは言うまでもありません。

右の親指。ピンがいまひとつ(泣)ですが、クローバーっぽく見えますか?

 そこまで出来上がったネイルですが、薬指に飛行機を描く段階になって、またもいろいろと考えてしまいました。
 「カッコイイ機影の飛行機ってどうやれば、表現できるだろう?」
 最初は、描くよりは簡単にキレイにできるのではないか、と「飛行機」形のネイルシールを探しましたが、なかなか良いモノが見つかりません。いつもプラモ購入の際に頼りにしているAmazonさんでも適当な品は見つけられず。
 では、と銀色のテープを飛行機型に切り抜いて貼ってみることを思いつきましたが、これも、上手い具合には切り抜けず、断念。「飛行機型にくり抜いた型紙をつくってエアブラシで」も考えましたが、同じ「切り抜き」ですから、うまくいきそうにありません。

失敗作あれこれ。どれもこれも…(涙)

 「うーん、やっぱり筆で描くしかないか…」と結局、ネイルに直接描き込むことにしました。ジェルボールペンでざっくり下書きをして、銀色のプラモ塗料を使い、いつもお世話になっている極細の面相筆でおそるおそる描いていきます。ところが…
 「意外と目立たん…」
 白い飛行機雲と銀色の区別がつきにくく、「飛行機」とはなかなか分からない。というわけで、今度はゴールドで。
 恐る恐るチョコチョコと色を置いていきます。
………なんとか、かんとか、それなりに見える「飛行機」を描くことができました。妻に見せてみます。

中央が、金色で描き直した薬指

「できたんだけど、見る?」

 「あら、すごく良く出来てると思う。いいんでしょ~」
 一応の完成に至りましたが、制作者としては娘本人の反応が気になります。完成品をスマホで撮影して、画像を送ってみることにしました。自分的には「こんな感じで大丈夫かな? どうかな…」とも思っていて、娘の反応次第では再度チャレンジするつもりでもいました。
 「できたんだけど、見る?」
 「みーるー!!」

 返事が返ってきました。「おー!!素敵」とのこと。ひとまずやれやれです。数日後、フォトウェディング当日の10日ほど前に〝厳重〟に包装をして、レターパックで娘の元へ送りました。 

左手用。親指のRは旦那さんの、小指のMは娘のイニシャル。ここはシールを使用
右手用。親指には、ハート×4=四つ葉のクローバーです

 大まかな爪のサイズはチェックしていましたが、細かいところは実際の爪に合わせてヤスリで削るなどの調整が必要なためです。結構ぎりぎりになってしまいました。

割れたら困るので、厳重に梱包

 数日して、「デザインとかは写真で見るよりいい!!」との返事。
 ……ひと安心です。

「娘の指に似合ってくれてるだろうか?」

 さて、フォトウエディング当日。2日間の撮影で、初日は小牧空港の格納庫でFDA機と一緒に、2日目は中部国際空港セントレア内のセンターピアガーデンや展望デッキなどが舞台だそう。私たち夫婦は朝一番の飛行機で小牧入り。旦那さんのご家族と合流して、娘夫婦を出迎え、オレンジ色のFDA機が待つ格納庫へ。さて、オヤジモデラー作のネイルがちゃんと娘のドレス姿に似合ってくれているのかどうかー。

 「ほらー」と娘が見せてくれたネイル。出来上がった個々の〝パーツ〟では正直なところ「どうかな…?」と思っていたのですが、実際につけたのを見ると、思っていたよりもちゃんと、娘の指先を綺麗に飾ってくれていました。
 結婚式には「何か古いもの、何か新しいもの、何か借りたもの、何か青いもの」の4つを取り入れると花嫁は幸せになれるーとか。「あーでもない、こーでもない」と言いながら、娘の指先にうまく収まってくれた「青い」ネイルチップ。本職のネイルアーチストさんだと、もっと素敵に仕上げるのでしょうが、娘の嬉しそうな姿を見て、ようやく肩の荷が下りた思いがしました。 

当日〝装着〟されたネイルチップ
思ったよりちゃんとしています

 翌日の中部国際空港セントレアでの〝挙式風景〟撮影には、東京から長男も参加。過去の記事でも書きましたが、私がプラモ制作を再開したきっかけをつくったのが、この長男。「おぉ、なかなかいいじゃん」と言ってくれました。
 式場での撮影では、もちろん「指輪の交換」シーンも。金色の飛行機が描かれた娘の薬指に旦那さんが結婚指輪をはめる様子を、専属のカメラマンさんがアップで撮ってくれていました。
 実はその写真を、まだ見ていません。なので、少しだけ心配な父です。

◇  ◇

 「娘のフォトウェディング用『ネイル』をオヤジモデラーがつくってみた!」はここまで。いつもとは勝手の異なる制作物にオヤジモデラーが苦戦した様子が伝わりましたでしょうか(笑)。
 私の暮らす札幌も、この夏の異例の暑さを経てようやく涼しくなってきました。ようやく、次のプラモキットに取りかかったところです。完成しましたら、またご紹介したいと思いますので、読んでいただければ幸いです。
 では、また。

 
※こちらは後日談↓ です。よろしければどうぞ。


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