ブランカ二エベス
「いやあ~~~」
「いやあ~~~・・・・」
「・・・おかずです!」
「・・・ずーこです!!」
「・・・またテンションおかしいわよ。」
「・・・だって~~~・・・」
「・・・2人揃って~~~」
「映画にブクブク~~~~」
「いやあ~~~」
「いやあ~~~・・・・」
「あたしの友達に、ホラー・ファンタジーが何より好きって男がいるんだけどさ。」
「ああ、あの変な人ね」
「そうそう。
その友人に勧められたって訳でもないのに、DVDパッケージの妖しいオーラにやられて手にとったのが、運の尽き!!」
「いやあ~~~」
「いやあ~~~・・・・」
「これ、これ、まさしく
「トラウマレベル」の作品だわよ~~~~!!!!」
「まず、「ブランカ二エベス」はスペイン語で「白雪姫」って意味なのよね。」
「そう、これは、あの白雪姫のストーリーを換骨奪胎した作品なのよね。」
「うんうん。」
「ちょっとか前「ほんとは怖いグリム童話」とか、そういうの
流行ったよね~??」
「流行った、流行った。
「ほんとは怖い」ってシリーズね。」
「昔昔、あるところに・・・っていう物語って、
実はとても残酷で、とてもセンシュアルな内容だったりするじゃない??」
「お子様に、道徳的教義を教えるために存在する・・・ってだけじゃなかったりするわよね。」
「まずこの作品、モノクロです。」
「そうそう。」
「しかも、サイレント。」
「そう!
モノクロでサイレントって聞くと、ちょっと「あーもういいや」なんてさ」
「ねー!!!
あたしもさ、「え?」って最初はとまどったんだけど、すぐにノレたわよ!
な~~んせ「画力」!
画面の「画力」が半端じゃない!」
「そうね。」
「ヒロインや継母の美しさ!
特に継母役のマリベル・ベルドゥの、ちょっとあくどいくらいの美貌は
一見の価値アリよッ!!。」
「ほんと、ちょっとあの美貌は、日本人では・・・だわよね。」
「アジアじゃ無理だわよね~。」
「それにね「誰も見たことのない物語」と謳うだけはあるわよ。
確かにこんな物語、あたしには想像もつかなかったもの!!」
「言ってみれば、白雪姫プラス赤ずきんプラス眠れる森の美女プラス闘牛!!」
「いやあ、すごいわ。
最近でのサイレントムービーって聞くと、オスカー取った「アーティスト」が頭に浮かぶ人、多いと思うけれども、あたし的には、断然ブランカ二エベスに軍配!!!」
「そうねえ。あたしも、こっちに軍配あげちゃう!!」
「誰もが知っている物語がベースにあるのに、ストーリー展開に既視感がないっていう、この凄さね!」
「天才闘牛士と名高き父を持った娘、カルメン。」
「その出生と同時に、彼女の母は死んじゃうの。」
「同時にカルメンの父も闘牛の際、
手足の感覚を無くしてしまう大怪我を負っちゃうのね。」
「栄光と愛の絶頂から奈落に落とされたカルメンの父は、深く絶望しちゃって
母の命と引き換えに生まれたカルメンを、遠ざけてしまう。」
「カルメンには、何の罪もないのに!!」
「そして看護婦をしていた継母と再婚。」
「ありがちー」
「弱ったところに優しくされてーってパターンは王道よね。
ところが、この継母がと~~んでもない奴でさあ~~」
「もー!!よく観察してから一緒になりなさい!!」
「数々の失敗を誇るあーたに言われたくないと思うわ。」
「その言葉はそっくりそのまま、回転レシーブ!!」
「・・・で、継母は再婚して、カルメンの父親の莫大なお金を手中に収めるや、介護ネグレスト。」
「酷い!!」
「酷いわッ!!」
「そして引き取ったカルメンも虐げ、こき使う。」
「カルメ~~ン!!!」
「大きな大きなお屋敷の中、出入りを禁じられた部屋の中、孤独に生きる父親と、やっと巡り合うカルメン。」
「遠ざけてしまったことを詫び、闘牛の技術をカルメンに伝える父。」
「良かった。良かったわ!」
「でも2人の幸せな時間は、そうそう長く続かない。」
「やーめーてー!!」
「美しく育ったカルメン。
だけど結局、父は殺され、カルメンもまたある日、継母の策略で命を奪われかけるものの、「小人闘牛士団」の面々に救われ、一緒に旅をすることに。」
「あー、やれやれ。」
「いつしか「白雪姫(ブランカ二エベス)」と名づけた
「小人闘牛士団」の見世物巡業は、大きな人気を博することになるの。」
「良かった、良かった。」
「と・こ・ろ・が」
「えーー!またあ~~??」
「そう!またもや継母の策略で、毒りんごを口にしたカルメン!
そして物語はラストへ!!!!」
「いーやー!!!
・・・・でも、白雪姫って、ラスト、めでたしめでたしだったわよね♪」
「・・・このラストシーンで、あたしマジで鳥肌たちましたの。
怖かった~~~~
ほんっと、ここ最近観た映画の中で、こんなに「怖い」って思ったことは、ないかもしれない。」
「えーどういうことッ??」
「とにかく実母がカルメンを出産して、すぐに絶命するシーンとかさ、小人達の存在とか、繰り返すけれども、この作品、画力が半端ない。
「生」と「死」と「性」が、みごとに交差しているのよ。
カルメンは、美しく魅力あふれる存在なのだけれど
でも「純粋」という名の「無知」
そこから引き寄せられる「不運」
そう、「不運」。
その内容がさあ~~~~」
「そうねえ。女性だったら、このねっとりとまとわりつくような恐ろしさは、
「クル」わよね~~。
身体の芯から「嫌だ~」って感じてしまうっちゅうかさあ~~~。」
「自分の美しさを守るには、「無知」ではいけないのだわよ。」
「う~~ん」
「とーにかく
このラスト!!!!
わたくしマジ、トラウマになりそうざんす。」
「怖い!!!」
「怖い!!
しっかし、見事な「ダーク」ファンタジー
見事な見事なラストシーン
トラウマレベルの、ラストシーン!!!!!!!!!」
「いやあ、脱帽。」
「ラストシーンのために、ぜひ!」
「貴方も、きっと、トラウマ~~!!!」
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