見出し画像

スペイン旅行記【5日目】

お久しぶりの海外旅行、
行程5日目、滞在4日目の記録です。

【5日目(7/21)】

●6時台に早起き成功。この日は朝からバルセロナに移動するため、朝食会場へ開始時間7:00オンタイムに向かう。料理はあるけど人はいない。「オラーッ!(恫喝ではなく挨拶)」と声を上げるも誰も来ないので、仕方なく勝手にいつものテーブルへ。3日間同じ席だった。
●前日に“卵以外のメニューも注文できるのでは?”という疑念をすぐさま実行に移す我々。遅れてやってきたホテルの人に何にするか聞かれ「サーモン!」「パンケーキ!」やや食い気味に発注する我々。通った。できるんだ。
●というわけで最後の一日まで朝食をタップリ満喫。前日の不調の影響もなく、むしろモリモリ美味しくいただきました。

サーモン&クリームチーズ。添え物がなんだかわからない高菜みたいな何か。

●バルセロナ行きの特急は9:00出発。これもツアーに含まれているので事前に予約済なのはずなので、送られてきたe-チケットがあればちゃんと乗れる。はず。特急に乗るアトーチャ駅はホテルから徒歩15分ほどで、前日足を運んだソフィア王妃芸術センター近くの徒歩圏内。しかし構内が複雑という噂もあるため、念の為早めにホテルをチェックアウト。
●言及を忘れてたけど、スペインのエレベーターは全体的になんというか、運転が荒い。特に泊まったホテルのエレベーターは年代物で、乗ってから降りるまでに決まって必ず5回くらい揺れる。不安な揺れ方で。色んな場所のエレベーター乗りましたが、大なり小なりガタンッて揺れました。
●チェックアウトは一瞬で終了。“タクシー使うか?”って聞かれたけど、“Walking(歩いてくぜ)”と辞退。前日さんざん通ったプラド通りを真っ直ぐ南下、ヌガー屋さんや喫茶店やKFCやバーガーキングをすべてスルーして、アトーチャ駅へ。

●徒歩15分ほどでアトーチャ駅到着。入口がわからない。なんとなく坂を下っていく人の流れが見えたので、キャリーケースをガラゴロ引いて流れをたどり、アトーチャ駅in。入るとすぐワサワサ木が生えている。
●駅のお手洗いは有料だと聞かされていたけれど、言われると気になってくるのが人間のサガ。というわけで一階フロアのお手洗いを捜索、発見。…5ユーロ…お高い…?と思ったらなんかそこはもっと特別なやつだったらしい。通常の有料お手洗いちゃんとありました。1ユーロ。硬貨でもカード払いでも対応してます。
●スペインの列車(地下鉄以外)はどこ行きが何番ホームとか特に決まっていないようで、構内で待ちながら何番なのか電光掲示板に表示されるのを待つ受験生スタイル。行先と出発時間と列車の番号を照合したところ、どうやら1階(スペインは地上階を「0」標記するので日本的には2階)のホームから出るようなので、フロアを一つ上がる。と、そこにはまたまた出ました手荷物検査場。あわただしく水やポケットの貴重品をカバンの中に詰め込んで無事通過すると、あとはまたバルセロナ行きが何番ホーム出発かの発表を掲示板の前で待つ受験生状態。近い時間の特急が10,11番線と標示されたので「8!」「12!」と勝手に繰り広げた我々の予想をしり目に、表示されたのはまさかの1番線だった。


見た目からして新幹線



●指定された先頭車両に乗り込み、予定通り9:00に出発。さようならマドリッド。いざバルセロナ。あっという間に都市部を抜け出して、広がる荒野。乗り込んだ特急は速さも見た目もまんま新幹線でした。

≪バルセロナ市内≫


バルセロナ・サンツ駅。近くにカンプ・ノウ(FCバルセロナのスタジアム)がある。

●列車に揺られること2時間、予定通りBarcelona Sants駅に到着。キャリーケースをガラゴロと引いて下車。…暑い。駅構内と地下鉄ホームはどうやら冷房が効いていない様子。暑い。
●いったんホテルに荷物を預けるため、最寄りの“Plaza de Catalana(カタルーニャ広場)”駅を目指す。方法はいくつかあるけれど、空港線らしきR線(ちなみに地下鉄はL線)だと一駅で行けるらしい。いったん地下に潜って切符を購入。バルセロナの公共交通機関は回数券方式。そういえば15年前もそうでした。細かく駅があるので、10回券(たしか11ユーロくらい)がお得。
●地上に戻ってR線の改札を探す。…なんか“Tutty Frutty”って書かれた看板見つけたけど、アレ、アイスの味じゃないのか…?なんの店だったんだろう?という謎を横目に、なんとなく案内に従って歩いていくと、中に特にR線を示す表示はないんだけど、“ここから入れ”という改札に遭遇。恐る恐る回数券を通し、改札の中へ。改札内には電光掲示板があり、これまた再び受験生方式。どうやらR線がどこから出るかも特に決まってないらしい。ややこしい。
●「(電車来るまで)2min」の表示が一瞬で「8min」に変わったりして翻弄されながら、蒸し暑いホームで待つこと10分弱、無事R線に乗車。すぐ次のカタルーニャ広場駅で下車し、ホテルを目指す。…地上の方が涼しい。
●気候的にはマドリッドが湿度低めの最高気温で35〜40℃、バルセロナが湿度高めの28〜33℃。まるで全く違う国に来た体感。ただマドリッドは最高気温を維持する時間がとても長かったので、バルセロナの方が過ごしやすい印象でした。
●あとバルセロナにくると表示される言語が増える。スペイン語、英語、そして、カタルーニャ語。スペイン語とは微妙に単語や言い回しが異なるようで、ほんのり意思疎通を難しくさせられる。グーグル翻訳の。


カタルーニャ広場



●カタルーニャ広場は空港行きのバスやこのR線、地下鉄、タクシーのロータリーもある交通の要所。広場にはマドリッドでもみたデパートINGLESの大型店舗もあり、ZARA、H&M、ユニクロというファストファッションブランドが鎮座。アクシデントで着替えがなくなってもどうにでもなりそうだ。
●カタルーニャ広場から徒歩5分ほどの場所にあるホテルにチェックイン…には早いので、とりあえずフロントで手続きだけ済ませる。先のカタルーニャ語の問題からグーグル翻訳が若干混乱するも、“部屋に入るにはあと30分くらい準備がいるよ?”と進言があったようで、“Ok, Keep our Baggage, Pol favor.(荷物だけ預けさせてください)”という英語とスペイン語ちゃんぽん言語でこちらの意向を伝える。ふんわり伝わったようだ。
●キャリーケースを預けて荷札を受け取り、いよいよ我々はバルセロナに挑む…前に。このあとの行程で全然食事のことを考慮していなかった我々、日本で“トリップアドバイザー”のホテル口コミを見てたときに“ホテル前のパン屋がおいしかった”という書き込みを見つけたのを記憶していたので、腹ごしらえにレッツパン屋。道路を渡ったところのパン屋は、ちょっと混んでた。
●待ちながら何を頼むか考える我々。しかし難しい注文をすると意思疎通ができないことも経験してきたため、シンプルな手段も考慮しなければいけない。あれこれ考えて前の客の注文が終わる。…けどなんか忙しそう。“オーダーできる?”とカタカナ英語で聞くと“前の客のコーヒーを5つ用意するから、ちょっと待ってくれ”とのこと。やはり忙しい時間だったようだ。
●コーヒー(いわゆるカフェ・コン・レチェ=カフェラテがスペインでは一般的)が運ばれる様子を眺めてオーダー。目の前にあったオーソドックスな生ハムのサンドイッチ…いわゆるボカディージョを2つ発注すると、席で待つよう促される。で、出てきたのがこちら。


スペインスタンダード

●スペインでの食事全般そうですが、パンとかハムとかチーズとか、基本的に一つ一つの素材やパーツが美味しい。評判通り、ここもパン自体がおいしかった。ただどのパンもかなり強度があるので、パンを食べ続けると滞在中かなり顎が疲れます。

≪グエル公園≫

●そんなわけで腹ごしらえを終えた我々、午後からはガウディさんと一緒。グエル公園→カサ・ビセンス→カサ・ミラ(みるだけ)→カサ・バトリョというラインナップ。奇抜なデザインの建物は歴史ある町並みにあっても特に異質で、バルセロナにいる限りは、ガウディの呪縛から逃れることは難しそうです。
●15年前は地下鉄駅から徒歩で公園まで行ったような気がする(うろ覚え)のだけど、当時は駅から坂道を15分くらい登った(気がする)。しかし、バスだとどうやらもっと近くまで行けるらしい。奥様とGoogleのお導きに従い、上りと下りがどちらがどちらか迷いながら、24番線のバスに乗車する。…そう、確かに乗車したはずなんだけど(後日後述)。
●グエル公園はバルセロナの北側郊外に位置していて、バスでの所要時間は30分くらい。進めば進むほどジワジワと標高が上がっていくのがわかる。目的地への中間地点くらいのところがグエル公園の最寄り駅。…え?まだ結構距離あるけど、私本当にこんなところから歩いたんだろうか…?

グエル公園


●随分見晴らしのいいところまでグイグイ登り、グエル公園到着。日本から事前に入場予約をしてきたのだけど、予約していた時間までまだ40分くらいある。その間無料エリアを見て時間つぶそうと思ってましたが、どこが無料エリアなのかがちょっとわからない。公園前は人がたくさんいて、休めるスペースもあまりない。暑い。困った。
●入場ゲートをみると係員の方々がバーコードで入場券をピッピピッピ読み取ってるけれど、特に入場時間を確認している素振りはない。あれ、これもう入れるんじゃない?ということで、予約時間まで全然ありますがもう入場してみちゃうことを提案。やっぱり印刷してきたグエル公園の入場QRコードを見せる。「ピッ」。あっさり通れた。よかった。
●グエル公園はグエルさんっていうガウディのパトロンが作らせた家。他にも「グエル邸」「グエル別邸」がありますが、やりすぎ感はこのグエル公園が最強。とても落ち着いて住める気配がない。事実、あんまり住んでくれる人はいなかったらしい。
●グエル公園は元々人の住処だったとは思えない程度には広大。無料エリアは概ね山みたいなもののようなので、有料エリアに専心する。最初に遭遇したガウディっぽいスペースは、洞窟。うねうね蛇行して心を不安定にする滑らかな作りが如何にもガウディ。なんで人の家に洞窟掘ろうって思ったんだろう。洞窟内でガウディブロンズ像を発見。と、思ったら動き出した。パフォーマーにまんまとしてやられ、悔しい気持ちでおひねりをひねり出す。クッ。


悔しいからポーズは撮ってもらう



●公園の自然を体感しながら、やっぱり見えてくる不思議な配色の邸宅。公園内に「ガウディ博物館」があり、有料エリアの中でさらに追加料金が必要だったりします。時間の都合と、その情け容赦ないシステムに、ここはいったんスルー。それにしてもグエル公園、広大。暑さのピークタイムに差し掛かって、さすがに暑い。
●またしばし歩くと、これまたガウディらしくゴテゴテとタイルで装飾され、やっぱり滑らかなカーブで縁取られた、清水の舞台みたいなスペースが見えてくる。と、その手前に給水所を発見。助かった。日差しでやや温くはなっているものの、無償で水分補給できるスペースがありがたい。


清水スペース(と、私が勝手に呼んでいる)



●清水エリアへは一方通行になっているため、給水エリアに泣く泣く別れを告げて舞台へ。見晴らしも大変いいんだけど、その見晴らしの焦点が当たるところに、やっぱり特徴的ガウディ建築。守衛用の宿舎だったらしいがその建物はヘンゼルとグレーテルの童話をモチーフとしたらしく、通称「お菓子の家」。胃もたれしそう。
●清水の舞台(と勝手に呼ぶ)スペースは色鮮やかなタイルでみっちり装飾が施されている。それぞれのタイルも大まかにちりばめられているようで規則性があり、花などの自然物を象っていて(押しつけがましいくらいに)色鮮やかに視覚に迫る。このやりすぎ具合がガウディイズム(だとやっぱり勝手に思ってる)。
●清水の舞台を降りると今度は少し静かな洞窟風のスペース。天井にはしかし、おなじみタイルの装飾が施されている。ここがどうやら貯水槽にあたるらしい。いかにもガウディらしさがわかりやすいいいスペース。日陰で涼しいし(最重要)。


もはやダンジョン


サラマンダーさん。どのガウディにいってもお土産にいる。


通称 お菓子の家



●我々どうやら裏口から入ったみたいで、貯水槽を降りるとそこが、グエル公園のシンボルともいえる「サラマンダー(トカゲ説、ドラゴン説、オオサンショウウオ説がある)」の鎮座する中庭。サラマンダーはサグラダファミリアとか、他のガウディ作品にもよく出てくるモチーフ。そんな有名キャラクターと一緒に写真の撮れるこの中庭は、ひときわ混雑する大人気スポット。観光客の群がるスペースをかき分け、ここぞとばかりに写真を撮りまくる。
●グエル公園の本来なら入口にあるヘンゼルとグレーテルの家がゴール。片方はすごい列を作ってるけど、片方は空いている。ので、空いてる方のお菓子の家に突撃してみた。ものの見事に売店スペースだった。
●もう一方の列をなしてるお菓子の家に並んでみる。しかしここはスペイン。気づいてたけれど、中々に列が進まない。そして待っているうちに、私が買いたいチケットの販売時間(日本時間22:00販売開始)が迫るという事情でやきもきし始める。30分ほど待って、14:50くらいにお菓子の家に通される。あーこれは家から買う感じだなー、と、WiFiはなんとか上階は通じる。というわけでお菓子の家でしばし待つ。待つ。待つ。…販売開始!と思ったら、開始されない。あれ?電波悪い?と思ったら、私が1日販売日程を誤っていた。やるせない。
●そんなわけで15:00頃にグエル公園を退出。また帰り道を調べてくれた奥様によると、公園前のバス停から麓に降りるバスが出ているらしい。116番線のバスを待って3分ほど、小さめのバスがちょうどよくやってきて、無事下山。遠目の観光スポットを一番最初に攻略出来て、行程に少しゆとりができる。

≪カサ・ビセンス≫

●次なる目的地はガウディが最初に手掛けた邸宅らしい「カサ・ビセンス」。これももちろん世界遺産。あんまり最初興味を持ってなかったけれど、ガイドブックをみたらどうやら中がやりすぎているみたいで一気に興味が湧いた。
●バス停を降りて割とすぐ、品ぞろえの良さそうなスーパーマーケットを発見。奥様に「今ではない」と叱責されながら、フラフラと写真を撮る。市内に他に支店がある可能性もあるので、選択肢は多いほうがいいかと思って。さらに駅から10分ほど歩いた路地に、周りの建物とは一線を画す、異様に赤い意匠。間違いない。アレだ。


カサ・ビセンス



●入ってすぐの受付や階段は明るい白の落ち着いたスペース。しかし、いざガウディが手掛けたという住居空間に足を踏み込むと、そこには異様な世界が、異世界が広がる。どう見ても落ち着いて暮らせない。
●初期の作品になるとのことだけれど、自然物をモチーフとしレンガやタイルを駆使した装飾、いちいち再現性が困難そうな天井や壁にみられる滑らかなカーブ、周りの景観なんかまるで意に介さない著しく目を引く独特の配色はものの見事にガウディのそれ。いっぽうで建築家として実は機能性にも並々ならぬこだわりがあるようで、当時としては最先端の水洗式トイレやバスルームなど、水回りや換気についても充実の設計となっているとか。パトロンの皆様の予算をすごい勢いで吸い取っていったことだろう。
●ちなみに一番インパクトのある部屋がこちら。なんでもここ、喫煙室らしい。お、落ち着かない(私は吸わないけども)。…健康に配慮した設計…?

スモーキングスペース

≪カサ・バトリョ≫

●カサ・ビセンスを見終えて時刻は16:15頃。予定の時刻よりは少々早いものの、余った時間でお茶するか買い物すればいいや、と、この日予定していた最後の目的地「カサ・バトリョ」へ地下鉄移動。相変わらず暑い。「グラシア通り」駅を降りて地上へ上がるともうすぐに人だかり。駅の目の前が、カサ・バトリョ。


カサ・バトリョ。パトロンのバトリョさんに作った家。


●街中にある人気施設のため、ここはグエル公園と違って入館時間が厳密に管理され、時間別の待機列ができている。我々の予約の時間は17:30。待機列もまだつくられていないため、隣の別の歴史的建造物「カサ・アマリェ」へ。読み方あってるか自信ない。ここには何やらの博物館と、奥様が事前に調べていたチョコレートショップがあるというので、ちょっと覗いてみる。入るとすぐに左手に見えるのが「Chocolate Amatller」。日本でもバレンタインの時期なんかにやってくることもある、スペイン最古のブランドらしい(今調べた)。


バトリョさんちのお隣がカサ・アマリェ。お隣をバキバキに意識したらしい。


アマリェ



●イタリアの画家・ミュシャの絵が包みに施された可愛らしいラッピングに程よいサイズ感と値段。そしてちゃんと書いてある「Barcelona」の文字。「お土産にちょうどいい」と奥様が推奨していましたが、本当にちょうどいいので、大半のお土産をここで買うことをなんとなく決める。夏の暑さだけが懸念されますね。ちなみに何故ミュシャかというと、3代目オーナーがパトロンをしていたらしい。
●まだ時間があるので、カサ・ミラの方へ足を延ばしてみる。こちらもガウディ作品の人気建造物。カサ・バトリョからグラシア通りをまっすぐ進むと見えてくる。どこに出てくるかなーと思ったら、交差点の角に、他の建造物の直線とは明らかに異なる異様なカーブ。そして建造物の前には奇抜なモニュメント。間違いない。アレだ。


カサ・ミラ。このモニュメントマドリッドでもみたけどなんだろう。

●カサ・ミラは後日訪れるつもりでいるので外観だけ楽しみ、目的は次なる甘いものに。奥様の案内で「カカオ・サンパカ」に足を踏み入れる。スペイン王室御用達で、日本にも丸の内に店舗を構えるショコラテリア。クマのぬいぐるみを象ったチョコは私も新宿駅かなんかで見たことある気がする。奥様曰く、ユーロ高を差し引いてもここも日本で買うよりお値打ちらしい。なお、コロナ前は店内にカフェがあったらしいけれど、今はやっていなかった。残念。
●グラシア通り周りを見て回ってもまだやや時間がある中、カサ・バトリョに帰還。と、カサ・アマリェの中に先程見覚えのある看板を見つけたことを思い出し、入店。たどり着いたのは「Favorit」。前日体調の悪かった私の夕食。暑さで水分を失ってることもあり再訪、しばしブレイク。なお、奥様はなんか緑色の何かを頼むことに成功する。
●程よい時間になったため、カサ・バトリョ入館待ちの列に並ぶ。我々の前に並んでいたのも日本人のご夫妻でした。バルセロナのほうがなんとなく日本人遭遇率高め。カサ・バトリョは観光客が多いからか“ASK ME”ってデカデカと書かれた看板を持つ係員が常駐。また事前予約でゴールド、シルバー、ブルーなどコースが分かれていて、我々はブルーコース(入館&オーディオガイド付)。そんなにサービスされても困ってしまう。
●時間になり無事入館。受付でオーディオガイドが渡される。ちゃんと日本語対応。でも、なんかとてもポエムな語りが長くて、観覧ペースとイマイチ一致しない。欧米の詩的な語り口をまるっきり日本語に落とし込むと、“語らない”日本語文化とは微妙に違和感が出るのは致し方ないところでしょうか。
●カサ・バトリョはパトロンだったバトリョさんが“YOU、予算好きに使っちゃってよ!”っていう大盤振る舞い(誇張)によってガウディが好き勝手やった結果の作品(意訳)。外壁の配色を見ての通り、中心的なテーマは“海”。相変わらず再現性・量産性をまるで無視した解釈によっては温かみのある滑らかなカーブや、タイル等による装飾等等、らしさてんこ盛り。建物中心部は吹き抜けになっていて換気性もよく、建築家として機能性も拘っていたヤツらしい心配り。予算は心配。


うーみよー



●そんなこんなで人気施設を堪能。順路通りに進むといきなりお土産売店が現れたり、唐突に“フォトスペース”の案内が出てきて記念撮影と写真購入を促されたりと商魂逞しさに面食らったり、順路終わったと思ったら地下の小部屋で立体映像見せられたりと、果たしてこのお金のかけ方はどうなんだろうというコンボが何とも味わい深い。ちなみに全館回った後1階にもお土産コーナーがあり、フォトフレームだけちょっとよさそうだと思ったけれど、値段(45ユーロ)をみてそっ閉じ。

≪LOEWE≫

お店の佇まいがまず強い


●予約していた観光を終えたけど、まだ、この日の行程は終了ではない。チョコレート屋巡りの時間では足を延ばしきれなかった、もう一つ目的のショッピングが控えている。奥様の。そう、マドリッドでは苦悩の末”見”に回った、LOEWEへの再訪である。
●バルセロナではこのグラシア通り沿い、カサ・バトリョからほんのひと区画進んだところにLOEWEのバルセロナにおける本店がある。ちなみにこの店舗は、バルセロナの伝統的な街並みに映えるピンクやライトグリーンの明るい配色が施されるなど建物自体も特徴的で、観光ガイドブックに掲載されていたりするオシャレ店舗。マドリッドからの移動、ぶっ通しの観光でちょっとギトギト感のある状態でこのオシャレ店舗に足を踏み入れる葛藤はありつつ、奥様の意志は固い。いざ、puzzle。
●入店すると、中は半地下のフロア、少し上がった1Fフロア、2Fフロアの概ね3フロアに分かれている様子。マドリッドの店舗同様入店制限がかかってるようで入口で名前を伝えると「ただいま入店制限中で、6人待ちです。順番になったら係員がご接客いたします。お飲み物のご要望等ございましたらお申し付けください。」的なことを店員さんに告げられて1Fフロアに通される。順番しばし物色してろということですね。バルセロナ本店はマドリッド店より広く、奥様のお目当てであるpuzzleは、すぐに見つかった。
●その後男性用の財布や小さいpuzzleや大きいpuzzleなどをブラブラと流し見る。奥様から自分用に何か買ってはどうかと薦められるも、奥様による教育の賜物で大体の値段帯(奥様に気軽にプレゼントであげらるような値段ではないこと)は頭に入っていて、しかも値札が付いているわけではないので、とてもじゃないけど怖すぎて自分になんて買えない。
●フラフラ待つこと15分、男性店員が声をかけてくる。入店時に氏名とともに特徴とか顔とか多分タブレットで共有してるんだろうなぁ。日本人であることを伝えると、どうやら本店には日本語の対応できるスタッフがいらっしゃるらしく、その方の手が空くのを待ってほしいとのこと。買うものは決まっているので別に日本人スタッフじゃなくても、とも奥様が語るのを聞きつつ、どちらにせよまだ順番を待つ必要がありそうなので素直に了承。しばし待機。
●しばし待っていると、女性スタッフの方から聞きなれた言語でお声がけいただく。バリバリの日本人の方だった。「申し訳ございませんが急な対応ございまして、もう少々お待ちください。何かお飲み物はいかがですか?」とおススメされ、高額な買い物を控えて気が気ではない奥様は固辞、私は呑気にコーラをいただき、クピクピ飲み干す。待ち時間が伸びて時間がかかっていることを気に病んでカリカリする奥様。私としては元々来る行程になってたし、高級ブランドの本店探訪なんて社会科見学的に滅多にない機会なので全然気にならなかったのだが。
●またぼんやり待っていると、日本人スタッフの方の手が空いたようで、奥様お買い物タイム。奥様、お名前を聞きそびれたらしいので、ハヤシさんという仮名を勝手につけてた。バルセロナにお住まいらしく、昨今の暑さは近年では見られなかった事態で驚いているらしい。待ち時間はナーバスになっていたものの、丁寧に対応いただき、また免税のシステムや金額の目安、具体的なやり方なんかもレクチャーされ、結果的に良い接客を受けることができたようで満足されていた。
●無事にお目当てを手にして安堵したのか、普段はあまり飲まないのにシャンパン(グラス)をオーダー。ちなみに奥様お酒に強くも弱くもないとのことですが、私と比べれば100倍くらいは強い。そんな感じで気持ちよく、この度の目的を果たす。おめでとうございます。

≪SUPER MARKET≫

●というわけでLOEWEの袋を抱えた緊張感と、軽くアルコールの入ったフワフワ感で足取りが軽いのか重いのかわからない奥様に連れられてホテルへ再訪。帰り際、明日の水分を確保するためにホテル近く、赤い看板の「SUPER MARKET」へ。…これが、まずかった。
●狭いながらも品揃え豊富なスーパーで、1.5ℓコーラと、奥様はマドリッドでハマったネスティ―の別フレーバー・ネスティ―ドラゴンフルーツをセレクト。会計。「7.6ユーロ」って示されてうっかりホイホイ払う。…ん?なんかおかしくない?…そういえば15年前にスペイン行った時も調べた気がする。「SUPER MARKET」の看板には気を付けなければいけない、と。
●「SUPER MARKET」の看板はバルセロナ市内無数に見ることができて、特に観光施設周辺に密集。手軽に飲み物食べ物生活用品を購入できてアイスなども販売している。が、その多くに値段の表示がなく、割高である。…しまった。久しぶりにガードの緩い観光客になってしまった。
●市内には地元民向けで「SUPER MARKET」の表示のない、日本で言えばいなげやとかサミットとかコープみたいな規模の良心的なスーパーマーケットも多く存在する。久しぶりにやらかして傷心する私。早く、手軽に使えるスーパーを見つけなければ。余談ではあるけど、ネスティ―のドラゴンフルーツ味はスペインの飲み物で一番おいしかった。

≪夕食≫

●そんなこんなほどほどにダメージを受けてチェックインを果たした我々、夕食はカタルーニャ広場周辺で捜索することに。マドリッドではバルスペースの使用に悉く失敗した我々ではあるが、それでもタパス(小皿料理)を楽しみたい。というわけで、私が新幹線の中で調べていたのはタパスチェーン店「TXAPELA」。市内に3店舗を構え観光客も入りやすく、日本語メニューもあるという。注文に心理的プレッシャーのかかる異国での食事、そのハードルを下げてくれるのはありがたい。ということで、ホテルを出て再びカタルーニャ広場へ。
●19:30を回ったバルセロナは蒸し暑さも緩和され、過ごしやすい気候。徒歩5分ほどでカタルーニャ広場に再びたどり着くと、目的のTXAPELAへ。人気店らしく店内は混み合っているが、店員さんが空いてる席にサクッと通してくれた。おお、店員レベルが高い。
●席のランチョンマットがそのままメニュー表になっていて、ネットでは別に各言語のメニュー表も公開している。日本語メニューもあるがどうやらGoogle翻訳の直訳のようで「どんぐり豚」や「茨城県産イカ」等、どうも額面通りには受け取れない食材もチラホラ。ちなみにサングリアは「出血」。直訳すぎる。
●飲み物を聞かれ、奥様は念願の出血…サングリアをカップで注文(指定しないと、デカンタですごいのがくる)。ソフトドリンクはどこにも掲載されていなかったけど、「コーク!」っていえばだいたいいける。どこでもオールウェイズ。料理は気になったピンチョスを適当に注文。その他のタパスは、もちろん「どんぐり豚」と「茨城県産イカ」のメニューを発注。メニュー表には商品写真も載ってるので、あまり突拍子がないものが来る心配はなさそう。


左:どんぐり豚のコロッケ 右:茨城県産イカ(自称)とマヨネーズとシシトウの何か
各種ピンチョス


●サングリアとコーラを飲みながら料理待ち。ちなみにサングリアはカップで頼んでも500㏄。容赦ない。ほどなくしてピンチョス、タパスが揃うと、とてもいい感じのスペインご飯に。ピンチョスはどれも2.5~4ユーロくらい。本当はそのまま頬張るんだろうけど、いろんな味を試したい我々は分けていただきます。どんぐり豚はコロッケを頂きましたが、カタルーニャ地方ではおなじみの料理なんだとか。イカも茨城県産かどうかは確かめようもないけれど、いずれも大変美味しくいただきました。
●店内ではお隣の席と、奥の席に日本人と思しき来客を確認。そうだよね、この敷居の低さはありがたいよね、と、日本だと鳥貴族とかつぼ八みたいなところになるんだろうかとか余計なことを考えながら食事を終える。会計はやっぱり必殺の×印とチェックプリーズ。
●帰り道の奥様、LOEWEでのシャンパンと500㏄のサングリアのチャンポンが効いたのか、なんかフニャフニャし始める。まぁ15時間以上活動し続けている疲れもあるでしょう。ということでフニャフニャの奥様を無事宿へと導き、多忙な行程をようやく終了。…この日がどれだけ出来事が立て込んでいたかは、このページの文字数が如実に表している。
※1~4日目まで=約7000字 5日目=約12000字

➡6日目に続く

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?