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小川保雄『鳥人戦記<未来編>』

 雑誌に一回きりしか載らなかった作品を紹介しようと企画の2回目。今回の場合は事情が少し違って、雑誌『Mr.アクション』に昭和53年頃に掲載され、その後、ほるぷ平和漫画シリーズ22『大空のかなたに』に収録され以後それきりと思われる、小川保雄『鳥人戦記<未来編>』を紹介したい。
 

 198X年。領空侵犯しようとするソ連機を警戒するために、北海道のとある基地から出動する自衛隊のF-15戦闘機だが、ソ連機はいつもと違う様子。

 それもそのはず。ソ連は新型機を投入しており、F-15相手に一戦交えようとし、それを受けて立とうとするF-15のパイロット鷹野一尉。鷹野はアメリカでも認められた腕前の持ち主のようだが、ソ連機の方は妙に自信満々。

 逃がすものかと追尾する鷹野だったが、ソ連機の性能は高く急降下からくるG(加速重力・遠心力)をものともせず見事に逃走。上官から叱責されるも、ソ連機にはいくつかの不審な点があり、また鷹野の10Gという圧力に耐えられるのは相当なパイロットなので、負けるわけにはいかないと闘志を燃やす。

 というわけで重力加速器に入り特訓を開始した鷹野。死んでも知らないといわれながら、鼻血を流し意識を失いそうになりながらも、勝ちたいという一心のみで特訓を続けていく。

 後日、再びやってきたソ連機。からかい半分のソ連機だが鷹野の事を随分高く評価している様子。そんなソ連機をピッタリ追尾する鷹野。

 鼻血を流しながらも特訓の成果か急降下で逃れようとするソ連機を追尾した鷹野。そんな鷹野の心情は相手パイロットへのリスペクトだったのだが・・・

 なんと鷹野は体当たりによって相手を確かめようとしたところ、実は遠隔操作の無人機。だから無茶な操縦ができたわけだが、人間の限界を超えるような特訓をして見事に勝利をつかもうとした鷹野にとってそれは最後の光景だった。
 戦闘機の性能が向上し過ぎると人間には扱いきれなくなりやがて無人機の時代が来る。そんな皮肉めいた言葉と共に物語は終わる。
 作中の時代設定はともかく、昭和53年の段階で遠隔操作の無人機それも戦闘機が登場するのは相当時代の先を読んでいたとしか思えない作品で、己を極限にまで鍛え上げた鷹野も勝利者にはなれなかったという点では、反戦・平和を掲げるほるぷ平和漫画として収録されるのも当然なのだろう。この作品で一番訴えたいのは、戦争に勝利者などおらず、また戦争により人間そのものが必要とされなくなるという日がくるという警告なのではないだろうか?
 

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