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2023年 第35戦 伊藤園レディス

 机の横に積み上げられた書類の山が崩れた。
 半狂乱でそれを積み直していたら、昨年行ったコレが出てきた。



 昨年の初日、菊地絵理香、堀琴音、佐藤心結の組に帯同した。3月に通算2勝目を上げて、MRも9位と好調だった堀琴音の饒舌さに驚いたのを覚えている。あれからもう1年経ったのか。まさに矢の如しだな、光陰ってやつは。



 昨年のTOTO終了時点のMR表も添付されていた。そこには、今年も変わらず上位をキープしている選手もいれば、シード圏外へと転がり落ちてしまっている選手もいる。

 我らの菊地絵理香選手。昨年この時期は、7月の大東建託で1勝をあげてMR17位にいた。今年はというと、8月のニトリで優勝して現在MR13位だ。菊地選手だけでなく、特にベテラン勢で上位に居続ける選手たちに対してかける言葉を選ぶ時、「敬意を表する」という言葉ではあまりに足りない。自分の語彙力の無さがたいへん哀しい。

 

 さて明日の初日だが、最注目の組は山下美夢有、櫻井心那、小祝さくらの15組だろう。山下、先週TOTOで申ジエに2.32pt差まで詰められたが、今大会ジエが欠場しているうちに、その差を大きく開くことができるか。(ちなみに昨年今大会で優勝した山下が年間女王を決めた)


 それと14組は、年間女王の可能性を残す岩井明愛に、TOTOを勝ってついに米ツアー参戦を宣言した稲見萌寧。来季はネリー・コルダを破って五輪のリベンジだ。などと盛り上がる稲見と同じ組に原英莉花か……。残酷なペアリングをする。


 菊地絵理香選手は、青木瀬令奈菅沼菜々と11組、9:20にティー・オフ。この3人、雰囲気は良いかもしれないが、菊地選手はスコアを2人に吸い取られないよう気をつけなければならない。キャディは佐藤大輔。年間最高試合と呼び声の高い日本女子オープンで共闘した人だ。


 これは残り3試合、3連勝だな。

 いや、正直もちろん結果は分からないが、

 菊地選手が3連勝するつもりなのは伝わってきた。


 明日はグレートアイランド、1番乗りを目指すことにしよう。


【初日】

 菊地絵理香選手帯同は今季ラスト。

 伊藤園レディスなのでウェアはお茶(濃い)色意識か。「TURN IT ON」とのロゴが。


 4番まで2パットパーが続いたが、5番で3打目をバックスピンで2mにつけてバーディ先行。

 6、7番パーの後、8番2ndが木に当たる(バキバキバキバキって)珍しいミスショット。ここをボギーとし、9番もパー。前半は1バーディ・1ボギーでEVENだった。


 後半まで時間があるはず、とギャラプラを目指すが、前の組がすでに10番ティで待機している。


 え、こんなにすぐやるの?

 すぐ後半が始まった。


 10番をうまく2パットでまとめた直後の11番で、8番に続いて今日2つめのミスショット。2打目でグリーンを捕らえられず、ラフからの20yアプローチ。ボギーやむ無しかと思われたが、驚きのチップインバーディ


 「TURN IT ON」(スイッチを入れろ)


 さあ、これでスイッチが入ったぞ。

 12番、ティーショットは美しい軌道を描いて1mへ。楽々バーディゲット。前半EVENで耐えて後半スイッチオン、これは先日の三菱電機2日目と同じパターンだ。これはこの後ショットが差しまくるぞー。


 と、そんなにしょっちゅう上手くはいかない。おしいパットがいくつかあったが、17番で今日3つ目のミスが出てボギー。バンカーからの2打目がグリーンオーバー。今季のサンドセーブ率の低さを物語るシーンだった。稀に見るその光景に、菊地選手自身何度も首を傾げた。


 3バーディ・2ボギー、today-1は47位Tで初日を終えた。ドライバーはそれほど悪くなかった。ラフに捕まったのは確認できた中では2回のみ。また、3回のミスのうち、2回ボギーを叩いたが、残り1回はチップインで助かった。スコアが作れなかった原因はパター。31パットでは上位は臨めない。いやな雨の降り方だったのでグリーンが難しかったのかもしれない。

 

 だが、心配はない。

 今季後半戦で光りまくる修正力で、明日はきっと別人のように。



最終日最終組でこの風景を見ることができるのは誰だろう


-8って。。また明愛さんか?と思ったら三ヶ島かなさんでした。あ、明愛も-7か



【2日目】 


 今日2日目のリーダーボードである。

 そこにツアールーキーらの名前はない。

 櫻井心那を始め、二十歳そこそこの若手はここまでがむしゃらに突っ走ってきた。その蓄積疲労出たとも言えるのではないか。正直、なんか落ち着く顔ぶれだ。


 西郷真央。勝てば先週の稲見萌寧以上に久々の勝利となる。8月のCATではプレーオフで敗れて、蛭田みな美の引き立て役になってしまったが、昨季終盤のドライバーイップスは長引くと誰もに予想された中、今季も未勝利ながらシードを確定させた。よくぞ、この短期でここまで戻ってこれたものだ。間違いなくツアーの中に何人かいる修行僧のようなアスリートのひとり。


 それを追うのは、先日三菱電機で最終日最終組から出たが、クアドラプルボギーで崩れ去った鈴木愛。前回と違い2打差を追う立場なので、少しは気が楽か。と言いつつ、小祝さくらがさらりと優勝してしまうんだろうなと予想する。


 最後に菊地絵理香先輩である。

 ゴール直前の8番で痛恨のボギー。1打足りず予選落ちとなった。ここは初日もボギーを打ったところ。しかも2ndの“木バキバキバキ”ショットは近年あまり見たことのないミスだった。いわゆる“構えづらい”ホール、ってやつだったのかもしれない。うまく気持ち切り替えて次週へ。次週の大王製紙は昨季3位と躍進し、最終戦へ弾みをつけた大事な大会である。頑張ってほしい。


 しかしまぁ、がんばれ、がんばれとこちらは無責任に言える。この記事の冒頭に若手のツアー疲れなんて書いてはみたが、ベテランの身体疲れは若手の比じゃないっての。経験でなんとかカバーしているのだろうが、ほとほと疲れちゃってるんだろうなぁと心底そう思う。

 

 菊地絵理香選手、並びに多くの頑張っているベテラン選手たち。みなさんがどうか、最後まで無事に完走できますように。


※追記

8番、2m弱のパー逸だった模様

Inスタート前半、バーディチャンスは結構あったが悉く入らなかった模様

パターはもうしょうがないさ



2R、18番のボギーをバウンスバック、そして連続バーディまでは初日の11番からの流れに似て良いムードだったのだろう。そこに上手く乗っかれなかった2日間だった。どんまい、どんまい、こんな試合もあるさ!

 

【最終日】
 首位に立つ西郷真央との差は残り2ホールで3打。4年前の同大会第2R17番(ピン位置もほぼ同じ、グリーン左エッジから2y)のティショットの凄みがこのショットに宿れば、あるいは鈴木愛の奇跡の逆転があったかもしれない。それを解っていた鈴木のティショットは4年前と同様に、まるで左側に池などないかのようにピンに向かっていったのだが……。


 西郷真央、地元千葉で昨年ブリジストン以来、約1年半ぶりの復活優勝。先週TOTOの稲見萌寧に続き、自身久々のVが実現した大会だった。


 個人的には、鈴木愛の17番のティショットのチャレンジに対してもっと拍手があってもよかったかな。


 年間女王ランキングに変動はなかったが、現在MR1位の山下美夢有は33位T、この試合休みの2位申ジエを突き放すとまでは行かなかった。MR3位の岩井明愛は20位Tフィニッシュ、申ジエとの差を僅かに縮めた。


 2023年の年間女王はこの3人に絞られた。


ウイニングパット、天を仰ぐ。辛かった日々が走馬灯のように駆け巡ったのは想像に難くない。よかったね。ほんとうにおめでとう。


岩井千怜、脇元華、原英莉花、同じウェア(笑)


絵理香先輩の居ないリーダーボード。次週はよろしくお願いします


 表彰式、西郷の挨拶のあと、いい余韻に浸れそうな空気だったのに、T氏のインタビューで台無しに……。


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