キンカチョウ飼育の基本知識

はじめまして。キンカチョウ5羽の飼い主です。

まだ飼育歴3年目の新米ですが、キンカチョウの飼育情報はまだまだ少ないことや、ネット上で先輩鳥飼いさん達が発信してくれている情報に何度も助けられてきたことから、私自身の経験やキンカ仲間さんから直接得た知識も共有することで誰かのお役に立てればと思い記事を書くことにしました。

※内容の正確性にはなるべく注意を払っていますが、記載している事例についてはあくまでも我が家のキンカチョウの場合であり、全ての個体や飼育環境に当てはまるものではないことを予めご理解ください。

飼育の基本知識ということで、この記事では最低限知っておいて欲しい情報としてキンカチョウ特有の事柄だけでなく小鳥全般に共通した事項も多く記載しています。ただし全てを網羅できているわけではないので飼い始める前に小鳥の飼育書を少なくとも1冊は通読することをお勧めします。

私が参考にした書籍についてはこちらの記事にまとめています。
飼育関連書籍やブログなど

保温

キンカチョウはスズメ目カエデチョウ科に属する鳥で、同じ科の仲間には文鳥やジュウシマツがいます。その他一部の科を含めて一般的に「フィンチ」と呼ぶことが多いですね。ちなみにキンカチョウは英語で「zebra finch」です。

フィンチの大きな特徴として寒さに弱いです。真冬に限らずほぼ年間通して保温は必須です。春先や秋口の急な温度変化は特に注意が必要なので、常にヒーターは入れておくように気をつけています。

保温器具は様々ありますが、やはり一番多く使われているのは小鳥用の保温電球でしょうか。我が家でも常時マルカンの100Wをサーモスタットで使用していて、別に雛や病鳥用として20Wパネルヒーターを併用しています。

※保温は空気全体を暖める必要があります。ご自宅の環境に応じて適切な保温器具を選ぶことが大切です。

我が家では押し入れをまるっと鳥小屋にしているので100Wと大きな電球を利用していますが、普通のケージ(鳥かご)であれば20〜40Wくらいが丁度良いと思います。ケージの場合は暖気が上に抜けてしまわないよう、耐熱性のカバーをするなど工夫が必要です。また保温電球は結構熱くなるので、カバーが溶けたりやけどしないような工夫も必要です。

大きさのイメージとしてはこんな感じです↓

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ブリーダーさん、動物病院、書籍、ネットからの情報と我が家の環境を考慮した結果、冬場は保温電球(放鳥時にはオイルレスヒーターやエアコンも稼働)で22℃以上、夏場はエアコンで30℃以下をキープしている状況です。(うちの子達は全員2歳以下と若いのでやや低めの設定ですが、雛や老鳥、病気の場合などはもっと高い温度にする必要があります。)
なお上記の範囲であっても急な温度変化は厳禁です。

温度と湿度管理にスイッチボットの温湿度計を導入したところ非常に便利!推移が細かく記録され、外出時でもスマホで確認できるので安心です。

食事

飼育当初は殻付きシード(ひえ・あわ・きび・カナリーシード)メインで、青菜(小松菜、チンゲンサイ、豆苗など)、ボレー粉(牡蠣殻)、ネクトン(ビタミン剤)を副食としていましたが、現在はハリソンのペレットメインでシードと青菜を副食に切り替えました。シード派とペレット派は賛否両論あり、ここではどちらが良いという話はしません。それぞれのメリットとデメリット、主治医の意見やご自宅での飼育スタイルなどを考慮して決めるのが良いのではないでしょうか。

ちなみに現在日本ではペレットが推奨されることがほとんどだと思います。これは栄養バランスが良く、食事制限の際にもコントロールしやすいことが理由でしょう。ただ海外のサイトなどを見ると、ペレットはあくまで人間の都合が良いように最低限の栄養素を取れるよう作られたもので昔はこれで良いとされていたが、本来の食事に近いシードと副食をバランスよく与えるのが一番だ、と書いてあったりします。我が家の鳥達の様子を見ても断然シードのほうが食いつきが良く、嗜好性という観点からも圧倒的にシードが勝るようです。自由を奪われた飼い鳥にとって食べる楽しみはQOLの大きな割合を占めており、私個人としてはそれを全く奪ってしまうのはいくら健康のためとはいえあまりにも酷だと感じたので、おやつとしてシードも与えています。

そのほか、季節によってミドリハコベやメヒシバなどの安全な野草を取ってきたり、オーチャードグラスやフォニオパディ(メヒシバの種)、カトルボーン(イカの甲を乾燥させたもの)などを状況に応じてあげるようにしています。

※ボレー粉については喉に詰まらせて入院するという事故があったため、基本的にカルシウム補給はカトルボーンに置き換えました。ただボレー粉を好む子もいるので、乳鉢で細かくパウダー状にしてから与えることもあります。(ペレットメインであれば通常は必要ないのですが、産卵期や幼鳥期などのカルシウムが特に必要とされる時期は特別に追加しています。)

キンカチョウは小さく喉も細いため、ハリソンのスーパーファイン(極小粒)でも大きすぎるのかよく首をクネクネして飲み込みにくそうにしていました。マッシュという粉末タイプも試してみたのですが食いつきが悪く困っていたところ、キンカ飼いの先輩からスーパーファインをさらにミルで細かく砕いてあげると良いと聞き、今ではその方法に落ち着いています。

他のお宅ではりんごやぶどうなどのフルーツもおやつとして人気のようですが、我が家の子達は食べ慣れていないせいか全く口をつけないので特に与えていません。

また、一日に与える量については体重の10%前後と言われていますが、運動量や個体で差があるのであくまでも目安とし、適正体重を維持できる量を与えるべきでしょう。

体型・体重管理

小鳥の肥満度は体重よりも胸筋の状態で判断します(ボディコンディションスコア(BTC)やキールスコアとも言う)。体調が悪いと1日で胸筋が痩せてしまうので重要なバロメーターとなります。

体重は個体差があり、12g程からジャンボキンカになると25g以上になります。胸筋の状態と合わせて獣医師に適正範囲を診断してもらうのが良いです。飢えは命に関わるので、安易に平均体重だけで判断して食事制限するようなことは控えてください。

ちなみに我が家のキンカ達はみんな大体15g前後ですが、うちで産まれて里子に行った雛は18gを超えてすくすく成長しているそうです。骨格自体が大きく肥満ではないので、遠いご先祖にジャンボキンカ系統がいたのかもしれません。

性格

キンカチョウをネット検索すると木の枝に団子になって並んでいたり、仲良く羽繕いしている画像が出てきます。そういったイメージからか、比較的穏やかな性格と書かれているサイトもあったりもします。私も飼い始める前は「小さくて可愛いからきっとジュウシマツみたいに皆仲良しなんだろうな〜」などと想像していましたが、実際は気が強くてケンカっ早いです。もちろん個体差があるので比較的優しい子もいますが、複数飼いでは大体どこかで小競り合いが始まります。発情期は特に激しいですね。ひどい時は追いかけ回して羽を毟っちゃうこともあります。
とはいえ体が小さく力も弱いので、もっぱらクチバシフェンシングだけで怪我に繋がるようなケンカにはならないことが殆どです。

あとは、コミュニケーションとして羽繕いをよくします。ペアではいつも寄り添ってお互いにつつき合っていますし、仲が良ければ仲間同士でもやるようです。ただ不器用な子や愛が深すぎるとハゲてしまうことも。。。

ペアの絆はとても強く常に一緒に行動します。野生では集団で集まって生活しているので、ひとりぼっちでは不安や寂しさを感じてしまいます。一日中人間が一緒に過ごせる環境であれば良いですが、多くの場合は日中お留守番の時間が長くなると思うので、同性同士でもできれば2羽以上で飼うのが理想的です。ベタ慣れにするには単独が良いと言われたりしますが、複数飼いでも手乗りになってくれる子もいますし、ペアで仲良くしている姿を見るだけでもとても幸せな気持ちになれますよ。
(海外の飼育書では必ず複数飼いするようにと書いてあり、1羽だけにするのは虐待とされる国もあるようです。)

動物病院

小鳥を専門的に診られる病院がベストですが、地域によっては近くに専門医がいないこともあると思います。その場合は最低限そのう検査と糞尿検査を行える病院を探してください。小鳥はあっという間に容体が急変するので、すぐに通える範囲でかかりつけ医を見つけることが必要です。
また、医師の方針に疑問を持つことがあるかもしれません。先生によって意見が違うことは実際にあるので、そういった場合にはセカンドオピニオンを検討してみても良いでしょう。

病院や治療内容によって費用は大きく変わりますが、健康診断で大体3〜5千円、入院の場合は1日3〜7千円に加えてCTやレントゲン、注射代などの治療費が別途かかるので合計すると数万〜数十万円になることもあります。キンカチョウ自体の価格は数千円なのに...と思うかもしれませんが、飼育には必要な費用として予定しておいてください。

日光浴

キンカチョウの日光浴の必要性については諸説ありますが、個人的にはビタミン生成や体内リズムの調節などに重要だと思っています。我が家は日当たりが悪いため、小鳥用のUVライトを使用しています。

キンカチョウは首をそらせて羽を広げた独特の姿勢で日光浴をするので、初めて見たときはどうかしちゃったのかとビックリしました笑

水浴び

キンカチョウは水浴びが大好きで多い時は1日に何度も入ります。ケージに取り付ける専用のバードバスもありますが、うちでは洗いやすさから耐熱ガラス製のケーキ型を使っています。すぐに汚してしまうので頻繁に水換えしないといけませんが、一生懸命羽をパタパタさせて浴びている姿はなんとも可愛いものです。

危険なもの

■テフロン加工の調理器具や家電
フライパンやオーブン、電気ポットなどのテフロン加工(フッ素加工)されたものが高温になると有毒ガスが発生します。人体には影響ないほどの微量であっても小鳥では即死したという事故も多数あるので、テフロン加工の製品は一切使わないほうが良いでしょう。

■防水スプレー
フッ素タイプ、シリコンタイプのどちらも有害です。ちゃんと換気扇を回して使用した結果インコさんが全滅してしまうという悲しい事故もあったので、こちらも一切の使用を控えるべきだと思います。

■揮発性の物質
マニュキュア、整髪剤、消毒用アルコール、漂白剤、接着剤等々、身の回りに揮発性の製品は沢山あります。思わぬものが危険になることもあるので、小鳥の周りでは使わないようにしましょう。
(ケージの掃除などでアルコールを含んだウェットティッシュを使うと肝臓を痛める可能性もあるので気をつけてください。)

■人間の食べ物
昔は炊いたお米やパンなどをあげていた時代もあったようですが、そのうにカビが発生するなど病気の原因になってしまいますので小鳥用の餌以外のものを与えるのはやめましょう。塩分や糖分もよくないです。
また、チョコレートやアボカド、コーヒーなどは毒性がありますので誤って口にしないよう充分気をつけてください。

■観葉植物
観葉植物には毒性があるものも多いので注意が必要です。

■コップやマグカップ等の深い容器
足を滑らせて顔が水に浸かると、パニックで肺に水が入り危険です。コップの蓋にとまって水を飲んだりしている様子を見かけることがありますが非常に危険なので、深い容器は蓋をするか近づけないようにしましょう。

■キッチン
火気や刃物、調味料など小鳥にとって危険なもので溢れています。事故を防ぐためにもキッチンにはなるべく入れないようにしましょう。

■紐や糸などの細いもの
絡まって窒息や怪我の原因になります。フィンチの脚は想像以上に弱いため、絡まって暴れると大怪我に繋がります。

上記以外にもヒトの生活環境には小さなキンカチョウにとっては危険なものがたくさんあります。ケージの中に危険なものを入れない、放鳥時は目を離さないが原則です。

我が家の飼育環境

最後に、現在の我が家の飼育環境をご紹介します。DIYで少し特殊なのであまり参考にならないかもしれませんが、こういうやり方もあるということで。(右端の水槽は病鳥看護用です。病気のお話はまた別の記事にまとめる予定です。)

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菜差しはガラスとプラスチックでできた一輪挿しを使っています。金属の剣山は中毒になるので使えないし、一般的な菜差しはキンカチョウだとサイズ的に溺れる危険がありますが、こちらであればその心配がありません。

餌入れは浅めの陶器製を数個使っています。フチはしっかりとグリップできる厚さがあるものがいいですね。

UVライトを使用する場合は小鳥が自分で移動できるよう日陰になる場所を作ります。ライトは必ず小鳥用のものを。爬虫類用は安くて種類も豊富ですが、小鳥の目には適さず白内障の危険があるそうです。設置は横からではなく上から照射される位置にします。スイッチボットのスマートプラグで8:00〜16:00点灯設定にしています。

壁と床には防水仕様の壁紙を両面テープで貼り付け、隙間をマスキングテープで埋めています。以前は床に新聞紙を数枚並べていたのですが、水拭きができるようになったことでより衛生的に。床は滑らないよう漆喰風の凹凸模様があってフンのチェックをしやすいよう白いものを選びました。

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扉は東急ハンズでツインカーボ(ポリカ中空板)と上下レールを買ってきて引き違い戸にしました。簡単に取り外しができるので掃除も楽です。

以上、キンカチョウの飼い方についてのお話でした。最後までお読みくださってありがとうございます。少しでも皆さんの疑問や不安を解決する手助けになれたら幸いです。

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