【非公式】2020年期補習所考査「リスク評価及び評価したリスクへの対応」解答例

注意事項

・内容の正確性について
 本ノートの内容が正確であることについて、筆者は最善の努力を尽くしますが、必ずしも正確であることを保証することはできません。
 また、本ノートの内容が不正確であったために利用者が何らかの不利益を被った場合、筆者は責任を負いかねますので、各自の責任でご利用ください。
・本ノートの著作権について
 本ノートについて著作権者の許可として私の許可が必要な利用を行う場合、以下の条件を全て満たす限り、私の許可があったものとみなします。(ここで言う利用には、編集および再頒布を含みます。なお、引用その他の著作権者の許可を必要としない利用については、以下の条件に拘らず当然に可能です。)
1. (コピーレフト)
 二次著作物について、本ノートと同等の条件を満たす利用の場合、著作権者の許可があったとみなすこと。
2. (無償提供)
 二次著作物を他者に提供する場合は、無償で行うこと。
3. (不適切な編集の禁止)
 著しく不適切な編集等を行わないこと。当該編集には、明らかに誤った内容への編集や利用者に不利益を与えることを目的とした編集を含みます。
4. (盗作の禁止)
 二次著作物の提供に際して、原著作者が自身であるかのような表現を行わないこと。
5. (法令等の順守)
 原著作物が規制の対象となる各種法令や契約等について、二次著作物の提供に際しても当該法令・規則等を順守すること。これには、原著作物中の適法な引用について、二次著作物についても同様に適法な引用を行うことを含みます。

参照したリソース

特段の記述がなければ、最終アクセスは最初の投稿日(編集によって追加された項目は、追加された日)です。

考査以後投稿日までに改正があった基準については、基本的に最新の基準に準拠して解答例を作成しています。

監査基準委員会報告書200「財務諸表監査における総括的な目的」
https://jicpa.or.jp/specialized_field/20220622fdd.html

監査基準委員会報告書220「監査業務における品質管理」
https://jicpa.or.jp/specialized_field/20220622fdd.html

監査基準委員会報告書300「監査計画」
https://jicpa.or.jp/specialized_field/20220622fdd.html

監査基準委員会報告書315「重要な虚偽表示リスクの識別と評価」
https://jicpa.or.jp/specialized_field/20210609fac.html

監査基準委員会報告書330「評価したリスクに対応する監査人の手続」
https://jicpa.or.jp/specialized_field/20210609fjh.html

公認会計士・監査審査会「監査事務所検査結果事例集(練和2事務年度版)」
https://www.fsa.go.jp/cpaaob/shinsakensa/kouhyou/20200714/2020_jireisyu.pdf

監査・保証実務委員会報告第83号「四半期レビューに関する実務指針」
https://jicpa.or.jp/specialized_field/publication/files/2-8-83-2a-20160226.pdf


問1

答え
①固有 ②統制 ③分析的実証手続
④業務への適用 ⑤重要な虚偽表示 ⑥内部統制
⑦取引種類 ⑧アサーション ⑨防止
⑩発見 ⑪監査 ⑫虚偽表示
⑬誤謬 ⑭不正

根拠
①②、⑤~⑭

(10) 「重要な虚偽表示リスク」-監査が実施されていない状態で、財務諸表に重要な虚偽表示が存在するリスクをいい、誤謬による重要な虚偽表示リスクと不正による重要な虚偽表示リスクがある。
 アサーション・レベルにおいて、重要な虚偽表示リスクは以下の二つの要素で構成される。(A12-4項参照)
 ① 固有リスク-関連する内部統制が存在していないとの仮定の上で、取引種類、勘定残高及び注記事項に係るアサーションに、個別に又は他の虚偽表示と集計すると重要となる虚偽表示が行われる可能性をいう。
 ② 統制リスク-取引種類、勘定残高及び注記事項に係るアサーションで発生し、個別に又は他の虚偽表示と集計すると重要となる虚偽表示が、企業の内部統制によって防止又は適時に発見・是正されないリスクをいう。

監基報200 12項10号

(2) 「実証手続」-アサーション・レベルの重要な虚偽表示を看過しないよう立案し実施する監査手続をいい、以下の二つの手続で構成される。
① 詳細テスト(取引種類、勘定残高及び注記事項に関して実施する。)
② 分析的実証手続

監基報330 3項2号

「内部統制システム」-企業の財務報告の信頼性を確保し、事業経営の有効性と効率性を高め、事業経営に係る法令の遵守を促すという企業目的を達成するために、経営者、取締役会、監査役等及びその他の企業構成員により、整備(デザインと業務への適用を含む。)及び運用されている仕組みをいう。監査基準委員会報告書においては、内部統制システムは以下の五つの相互に関連した要素から構成される。

監基報315 11項12号

問2

答え
①適合性 ②十分制 ③適切性
④職業的懐疑心 ⑤要求事項

根拠
事例集p.75参照。

問3-1

解答例
おかしいと思う点
1. 2020年4月以降開催の取締役会議事録を期末時にまとめてレビューしている。
2. 売掛金の残高確認状の差異分析が分担に含まれている。
3. 売掛金の残高確認を12月末基準で行っている。

なぜおかしいか、あるいは、あるべき
1. 取締役会議事録の閲覧はリスク評価手続であり、また、遅くとも四半期末時点ではレビューすべきである。そのため、期末時に一括してレビューするのは不適切である。
2. 売掛金は特別な検討を必要とするリスクであり、その検討には豊富な経験を持つ監査チームメンバーが当たるべきと考えられる。そのため、経験の浅い新人を配置することは不適切である。
3. 売掛金の期間帰属の適切性は特別な検討を必要とするリスクであるから、発見リスクの水準を低く設定するべきである。その点、残高確認を期末日前を基準として行うと、期末日を基準とするよりも発見リスクが高まるから、不適切である。

根拠
1. 監基報315のA32項。また、実務指針83号の31項より、四半期レビューでの議事録の閲覧が求められている。
2. 監基報315の11項10号より、特別な検討を必要とするリスクは、固有リスクの重要度が最も高い領域に存在すると評価された重要な虚偽表示リスク等であり、重要な虚偽表示リスクの程度が特に高いと考えられる。
監基報300A8項1号より、重要な虚偽表示リスクの程度が高い領域に関しては豊富な経験を有する監査チームメンバーを配置すると考えられるから、少なくとも最も経験の浅い監査チームメンバーを配置すべきではない。
3. 監基報315の11項10号より、特別な検討を必要とするリスクは、固有リスクの重要度が最も高い領域に存在すると評価された重要な虚偽表示リスク等であり、重要な虚偽表示リスクの程度が特に高いと考えられる。
監基報200A41項より、重要な虚偽表示リスクの程度が高ければ発見リスクを低く設定する必要がある一方、期末日前を基準として実施し残余期間に対して追加手続を実施しない場合には、発見リスクは高まる(監基報330A55項)から、不適切である。

問3-2

解答例
決算速報値を踏まえ、予期していなかった出来事の発生や状況の変化についての最新の理解を監査チーム内で共有することで、リスク評価の改訂とそれに伴う監査計画およびリスク対応手続の修正が必要かどうかを検討するため。

根拠
監基報300A15項より、リスク評価の改訂とリスク対応手続の修正が必要な場合があることを踏まえてミーティングの意義を記述する。

A15.監査人は、予期しない出来事が生じた場合、状況が変化した場合、又は監査手続の実施結果が想定した結果と異なった場合には、改訂されたリスク評価の結果に基づき、監査の基本的な方針及び詳細な監査計画並びにこれらに基づき計画したリスク対応手続の種類、時期及び範囲を修正することが必要な場合がある。
 監査手続を計画した時点での利用可能な情報と著しく異なる情報に監査人が気付いた場合がこれに該当する。例えば、内部統制の運用評価手続から入手した監査証拠とは矛盾する監査証拠を実証手続の実施過程で入手した場合である。

監基報300 A15項

問3-3

解答例
統制環境等を理解し、不正又は誤謬による財務諸表全体レベル及びアサーション・レベルの重要な虚偽表示リスクの識別及び評価の適切な基礎を得るため。

根拠
監基報315の12項1号およびA15項参照。

問3-4

解答例
E工場を2021年9月に閉鎖し、その設備を最も大きいA工場に集約してE工場は早期に売却することが取締役会で決議された旨を主査等に共有する。

根拠
監基報220A36項より、監査チームの経験の浅いメンバーには頻繁かつ適時により経験のあるメンバーに助言を求めることが期待される。
そのため、最初に行うべきことはより経験のあるメンバーへの情報共有である。

問4

本問は収益認識基準の適用前を前提に作成された問題です。収益認識基準適用の影響は重大であり、その適用後を前提とすれば本問は(少なくとも大幅な改変なしには)成立しないと考えます。したがって、本問については解答例を作成しないこととします。