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「協会Mリーガーが語る、赤牌あり麻雀と赤牌なし麻雀で実力の差が出るのはどっち? そしてこれからの二人の道」仲林圭・松本吉弘対談スペシャル企画(3)

近代麻雀note・Mリーガー対談スペシャル企画、仲林圭×松本吉弘(3)。仲林圭(U-NEXT Pirates)と松本吉弘(渋谷ABEMAS)、2人が主戦場としている日本プロ麻雀協会の公式ルールは、シンプルに言えばMリーグルールから赤牌をなくしたものとなる。赤ありと赤なしで、麻雀はどれほど変わるのか。麻雀ファンの考える疑問について、トップの2人に聞いた。(全3回の3回目/#1#2へ)
[文・東川亮]


■実力の差が出るのは赤ありルール

――赤あり麻雀と赤なし麻雀で、麻雀の内容に違いは出るものなのでしょうか。
 
仲林 出ますね。やっぱり赤ありと赤なしだと、打点の作りやすさが全然違ってきます。そして、本手の量が変わってきますよね。たとえば赤ありだと、自分がタンヤオドラ3だったとしても、相手がタンピン赤赤で打点的には五分、みたいなことがよくあります。

 赤のない協会ルールの場合、一方がドラ3の満貫だとすると、それに対抗するのは役役ホンイツとかの手役がらみになりますし、そうなることって少ないわけです。そう考えると、赤ありと赤なしだと全然違う麻雀だと思っていいと思います。

――古くから麻雀界にいる打ち手の中には、赤なし麻雀のほうが難しくて実力の差が出る、という方もいらっしゃるようです。
 
仲林 僕は赤なしよりも、赤ありの方が実力差は出ると思います。相手にドラが多ければ多いほど、アガリに対する嗅覚とかも大事ですし、たとえばドラポンに対して自分が赤3で通る牌のギリギリを読む、というケースなどで実力が問われてきます。

 赤のないルールだと、ドラポンが入ったらほとんど突っ張らないですから。

松本 場がクリアになりますよね。

仲林 でも、難しいですけどね。やっぱり大味な麻雀になるので、「赤入ったもん勝ちじゃん」みたいに思う人もいると思いますけど。ただ、相手にアガらせないという努力も赤ありだと結構大事になってきますからね。

松本 たとえば、赤だけじゃなく裏や一発も偶発的な要素とすると、運というか、偶発的な要素を全て除いた麻雀こそ実力が出る、という考えもあるとは思います。でも、そういう偶発的な要素があるほうが、運の暴力みたいなものに対して何もできなくなることは少ないと思うんですよね。

 一発裏なし赤なしでドラ3の配牌をもらったら強力すぎますし、それって結局は運ですし。だからそういうのはあまり関係なくて、その上で僕は赤ありのほうが難しいとは思います。

仲林 一発も裏も赤もないルールだと、ドラがないと押せないんですよね。他にも、協会やMリーグのように順位点の大きいルールだと、順位を守るための工夫みたいなところの実力も問われてきます。

松本 Mリーグの開幕当初、「赤が入っていてドラが7枚あって、放銃したら大ダメージを受けるから、守備的に行くのがセオリー」みたいに言っている人がMリーガーにもたくさんいたんですよね。僕は全然違うと思っていて、仲林さんはダメなときに赤ありでもかわし手をよくやるんですけど、僕はそれがすごく重要だと思うんです。ドラがいっぱいあるってことは、ツモられて勝手に着順が落ちることが多いので。

 協会のルールは赤がなく打点を作るのが難しいから、一回抜けられると逆転しにくいんですよ。だからジャブはいらないというか、安いかわし手よりも本手のほうがすごく大事。一方で、赤ありは相手にツモらせないとか、アガリの機会を潰しに行くことがすごく重要だと思いますし、だから赤ありって意外と手数が大事だったりすると僕は思うんです。

 ぱっと見は勝ちにつながっているように見えないし、手牌を短くして被弾したらすごいダメージを食らいますからやるのに抵抗がある人はいるでしょうけど、それでもどこかでタイトロープをわたらないといけない。それが赤ありの難しいところだと思いますし、かわし手はめちゃくちゃ重要なスキルだと思います。

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