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魔神の父の麻雀最強戦観戦記 2022年12月11日(2日目)

2ndStage観戦記の前に……

片山まさゆきさん応援

これを胸を躍らせない麻雀ファンは居ないだろう。
プロからアマまで、日本全国すべてのエリアから強者が集う麻雀界最大のお祭りである。
40年前の麻雀界分裂の悲哀を味わった者としては、こうした大会の存在そのものが涙涙だ。
まして渋川がファイナルステージに出場できるなんて。これは夢か。
さてどんな人が出場しているのかと見渡すと、えっ、こ、これは、とんでもない名前を見つけた。

片山まさゆき

C卓に片山まさゆきさんが出場。これは何をさておいても大応援だ。勝ち上がって渋川との勝負‼まさに夢の世界だ‼

我が家には片山さんのマンガはほぼ全巻揃っている。

渋川も小さい頃からいろいろ読んでいた。彼が小学2年生の頃だったか、家族麻雀で負けて箱テンになったことがある。で私が「豊臣君と同じになったから箱をかぶるんだよ」と箱をかぶせた。

彼は最初「そうだね」と楽しそうに笑っていたが、二箱目をかぶる時、急に「イヤダ」と泣き出したのだ。
こんなことはこれまで無かったので、ずいぶん驚いたのを覚えている。
彼の中に「負けん気」があることを、最初に意識した瞬間だった。

この写真を見て頂こう。
片山さんと渋川が持っているのが、片山さんの作品のダイジェストと私の感想・解説から成る「片山まさゆき心ときめく20の物語Ⅰ・Ⅱ」である。
昨年完成させて渋川に頼んで片山さんに渡してもらった。

「片山まさゆき」の名前を見ているうちに、私の心は40年前のJRの車内に飛んでいた。

1984年(昭和59年) 春

1980年を頂点とした麻雀ブームは、その後の麻雀界の分裂で急速に衰えを見せた。
私も麻雀界への熱が冷め、それまで買っていた活字主体の「近代麻雀」「プロ麻雀」も買わなくなっていた。
そんなある日、勤務先の尾道から廿日市の実家に用があってJRに乗った。時間は約2時間。
結構長い。
しまった文庫本を持ってくるのを忘れた。
しかたない、何か読み物を買おうと売店へ。
すると隅っこに雑誌が一部残っていた。
ん?と見てみると表紙に「近代麻雀」の文字が。
何だろうと中をめくると、何とマンガだらけ。
私は顔をしかめた。
当時の麻雀漫画雑誌のほとんどは、無茶苦茶ひどいものだったからだ。
簡単に言うと、正義の主人公と悪人が麻雀で対決し、負けていた主人公が、最後に大三元とか国士無双とかをあがって逆転するのだ。
でもまあしかたないかと、私はその雑誌を買い、つまらなさそうにページをめくった。

しかし、しかしである。
何と言うことか読み始めて5分もたたないうちに、私はこのマンガの世界に引き込まれてしまっていた。
それも一作品だけではない。
次も、また次も。
何というクオリティーの高さだ。
もうあまり覚えていないが、かわぐちかいじさん、来賀友志さん、嶺岸信明さんは居たと思う。
また「哭きの竜」ではなかったが、能條純一さんの作品も有ったように思う。
私は感動しながら読み進む。
そこで片山さんの「スーパーヅガン」に出くわした。
なんだこれは、ああ、どこにでもあるギャグ漫画か。
軽い気持ちで読み進めると、次の場面に出くわした。

私はギクッとする。何だこれは。
何切っても役満テンパイ?そして發?国士十三面待ち?
イヤイヤさすがにフリテンはだめだよな。
それじゃあそんな形あるわけないじゃん。
いくらギャグ漫画でも調子に乗りすぎだ、と怒ってその答を見ると、びっくり仰天。イスから転げ落ちそうになった。
そしてこんな凄いネタを惜しげも無く出してくるこの漫画の作者に参ってしまったのだ。

これが、「近代麻雀」&「片山まさゆきの作品群」との40年に渡る長いつきあいの始まりだった。
そして、この時はまだこの世に現れていない渋川の運命を決める日にもなってしまったのだ。

※答が知りたい人は、「スーパーヅガン3巻」を読みたまえ。一応巻末に答は書いておくが。

※ここでちょっと脱線。この漫画に触発されて片山さんへのオマージュとして私が考えた問題がある。暇な人は考えてみてほしい。
問 豊臣君は今回も「何を切っても役満テンパイだ」とつぶやいた。そして切った牌は今回は8索。この豊臣君に対して絶対に切ってはならない牌とはどれか。プレーヤーの手牌から選びなさい。(答えは同じく巻末に)

これが片山麻雀

さあC卓の闘いが始まった。
片山さんの麻雀理論は素晴らしい。渋川も言っているが、特に「オバカミーコ」は勉強になる。
その片山さんの麻雀をこれから見ることができるのだ。

早速東2局に注目の場面がやってきた。

片山さん、4巡目にこの手牌。

北は1枚切れ。ポンテンの1000点は固いが、何かもったいない。北2枚目も見逃して門前でリーチを打つ手か?

ところが次巡2筒を引くと、何とここから3索打ち。
これはたまげた。1000点のあがりを拒否。

そして7筒をポン。しかし私がさらにびっくりしたのは石川さん。

何とこの手から北を打たずに1筒の対子落としを始めたのだ。なぜ北を打たない?私は初めは親の安牌だからと思っていた。

しかし1筒も親の安牌なのだ。
もしかしたら片山さんの仕掛けを意識した北止め?
片山さんの仕草や雰囲気から、北の対子を推測したのか。そうだとしたら凄いプレー。

そして5筒を引き入れ、ここで北打ち。リーチとゆく。片山さんももちろん北をポンしてテンパイ。

もし石川さんが5巡目で1筒の対子落としをせず北を打てば、片山さんは6巡前にこの形だった。

他家の警戒を誘う上に待ち牌の2筒と5索が4山。
完全に主導権を取れていた一局だった。まことに残念。

このメンバーのミラクルプレイは東4局でも登場。

まず片山さん、この手からドラの8索を処理。

直後、友添さんが、カン8索で白三色ドラ1をテンパイ。まさにぎりぎりの所での処理だった。

この局、菅原さんの打ち筋も光る。

菅原さんはトップ目である。この手、今片山さんが通したばかりのドラの8索を処理しておきたくならないか。

しかしこの8索が最後まで出なかったのである。これがオーストリア仕込みの黒魔術‼?
その間に片山さんは、何とあの手牌を、ピンフで高め三色までに仕上げるのである。

結果安めであったが1300オールのツモ上がり。

更に親で1本場、この手でリーチ。

1400オールのあがりとなったが、しょぼい待ちと言うなかれ。1筒は先行リーチの当たり牌なのである。値千金。

親で二本場は、このテンパイから2筒を切る。

菅原さんの3筒暗刻を感じ取ったのか、3面チャンや一盃口の可能性を見る。
私はこの打ち方が大好きだ。
5筒~9筒すべてOK。このように、毎回毎回学ぶべきところが満載の片山麻雀。この段階で私は片山さんの勝ち上がりを毫も疑ってはいなかった。

しかしこの後、思わぬ落とし穴が。
友添さんが連荘を続ける南1局三本場。8巡目、菅原さんがこの手から1枚だけ8索切り。

片山さんは9巡目に果敢にリーチ。

5・8索は場に4枚切れ。
しかし8索を切っている菅原さんの手牌に2枚の8索が隠れているとは。

更に5索は石川さんに1枚。あがり牌残り1枚。
その1枚が、何と石川さんの所に。

石川さんは7筒を切り、8万単騎で追っかけリーチ。8万が片山さんのリーチに危ないと読んだのか、山に濃いと読んだのか。

実際はどちらも違う(8万は友添さんに2枚)のだが、それでも1対0。

一発で片山さんがつかんでしまった。
「ギャーッ」
部屋に響き渡る私の悲鳴。
渋川対片山さんの観戦記を書く夢は、またの機会にということになってしまった。

楽しみ一つ

でも良いこともあったんだ。今回の「愛の説教部屋」で、片山さん、確か「漫画を描きます」って言ったような。
私の聞き間違え?いや、確かに言われたはず。来年の大きな楽しみができたぞ。

  

クイズの答え


渋川難波の厳しき2ndStage

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