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勝負師~episode4藤崎智【文・荒正義】

藤崎は秋田県出身である。高校は仙台三校。同じ高校の後輩には、佐々木寿人がいる。
そのせいか、2人は仲がいいのだ。
藤崎は旅行が趣味。したがって連盟の世界大会では全部参加である。世界大会は約一週間の日程である。時間も取られるし、費用は自分持ちだ。
なので、私は一回目で挫折。2回目のラスベガスも3回目のヨーロパも参加はできなかった。
彼は、麻雀は守備型というがそれはあり得ない。
彼は他団体のタイトル『日本オープン』で、3度優勝していたのだ。
3・5・6回である。
プロが200人以上出る大会で、守備型ではこの成績は出せるはずがない。
藤崎が東京のリーグに入ったとき、先輩に言われた。
「麻雀で、てっぺんを目指すなら東京に出てこい!」
このとき藤崎は仙台で働き、大好きな麻雀を打つため東京のプロリーグに毎月通っていたのだ。
この先輩が、沢崎誠である。藤崎は決心して上京する。
すると、沢崎はまず、自分が勤めていた店を紹介する。その店は新宿。歌舞伎町にある、東風戦の店だった。
沢崎は、麻雀は辛いが面倒見のいい優しい男だったのである。
その店には石崎洋もいた。藤原もいた。皆、連盟のプロの打ち子である。
メンバーだけではアウトオーバーとなり、店が持たないからである。
プロの打ち子なら、そう簡単には負けない。藤崎はここで10年近く働き、頑張った。
このとき彼は、『日本オープン』を3度獲得したのだ。
私との戦いはこの後だった。
それは25年前の『マスターズ』の決定戦。
第1戦の東1局。私は河に自信があったので、リーチをかけた。

この河で、受けがこうだ。

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