個展のテーマとタイトル

昨晩、ネットサーフィンをしていたらとても気になる記事を見つけた。

『鯨やイルカなどの海上で生きる哺乳類は、溺れずにどうやって眠るのか』というものだ。


生まれたときに吸い込んだ空気が身体のどこかに残っていて、

どうしたって探してしまう。

私にとってはそれは海だ。

生まれ育ったのは海と山に挟まれた土地で、校庭にはカニが歩いていたし、放課後はテトラポットで跳んで遊んでいた。

海は私の庭で、秘密基地だった。

キラキラとした海には、たくさんの死がある。テトラポットにも、砂浜にも。

波に揉まれて遊んでいるときにも、ひっそりと『死』に足首を捕まれている。

死んだことがある人に、まだ会ったことがない。死ぬとどうなるのか。どうもならないのか。生きるのをやめることと死ぬことは一緒か。ちがうか。

物心ついた頃からそんなことを考えて過ごしていた。


海に溺れずに、どうやって眠るのか。

イルカや鯨は、意識的に呼吸をしているらしく、完全に眠ってしまうと呼吸を忘れ窒息してしまうそうだ。

生きていることは、死に逝くことだ。

生まれたら、死ぬ。

この瞬間も一秒ずつ死に近づいている。もちろん、眠っている間も。

イルカや鯨は、夢を見ながら死んでしまう恐怖に怯えながら、それでも呼吸をするために半覚醒の状態で眠る。

半覚醒の頭は、現実と混ざりあいイルカや鯨にどんな夢を見せるのだろう。

幼い頃から眠りの質が悪く、明け方の悪夢や現実との混ざりが多かった私には、わかる気がする。

死と混ざりあったその夢と眠りは、きっと、とても甘くて穏やかだ。






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