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今週のkinologue【7/10-16】

梅雨明け前に、全国的に大雨か猛暑の過酷な日々。梅雨の概念は変えた方がよさそう。長い夏を覚悟せねば。今年は屋根をカバー工法でリニューアルしたし、断熱効果が高まっていることを期待。冷房のない(冷風扇二つとサーキュレーターあり)部屋で、フィンランドに行くまで耐えられるかなー。

「今日は昨日より暑くないね」という日に三軒茶屋まで繰り出し、生活工房ギャラリー初訪問。終了間近の牧野伊三夫展「塩と杉」に滑り込む。糸島の塩男、かなり面白い。牧野さんの細かい取材メモが特に面白い。父親もあんなメモを色々書いていたなと思い出したり。牧野さんを知ったのは日田シネマテークリベルテの原さんの投稿からだった。劇場にちらりとご挨拶のつもりが、原さんが色んなところに連れて行ってくれて、夜ごはんを食べた寶屋さんでヤブクグリの話も聞いたのだった。その時の話が今回の展示で立体的に見えてきた。原さんに連絡すると、ちょうど牧野さんが日田入りして、これからヤブクグリ会議!というタイミングだった。日田杉のお風呂のフタを導入するか、真剣に検討中。うちのお風呂は長いので、定型の5枚じゃ足りないはず。非常時に備えて、水を張ったままにしているが、杉のフタはその上に置いたままに出来ないらしい。うーむ。しかし、杉の香りがするお風呂なんて最高じゃないか!発注決めたら連絡してね、と原さん。うーむ。

巻いてある紙のグラフィックが素敵すぎる♡

今年1月公開の『ドリーム・ホース』で、プレスやパンフレットに原稿を書いて頂いた中谷先生がサバティカル先で急逝し、お別れの会にお誘い頂いた。公開延期で2年も待ってくださったお礼を直接伝えられず、こんな形で「お会い」することになるなんて、まだ信じられない。この日は印刷していなかったプレス資料を5部だけ印刷して持参。先生を紹介してくださった元キネ旬の川井さんのお店、オブライエンズ・アイリッシュパブにての会には常連さんだった先生と仲が良かった方々がたくさんいらしていた。この日は先生のお誕生日で「きっと今日なら戻ってきてくれると思って」と川井さん。涙。

ムーミンも大好きだったそう。この隣には大きなムーミンが座っていた。

先生はギリシャ文学の研究者でウェールズに留学をされていて、最初の赴任地が鹿児島、ということでギリシャとウェールズと鹿児島の味が詰まったスペシャルプレートが用意されていた。どれもムチャクチャ美味しく、先生への愛がいっぱいの料理に本当に感動した。先生もきっとお喜びだろう。

ウェールズのシェパーズバイ。最後にウェルシュケーキのお土産もいただく。

公開後、先生にスマッシュヒットを伝えるメールを送らなかったことは、今年最も後悔したことのひとつ。すぐに『マイヤ・イソラ〜』の来日を控えていて、あの頃はものすごくバタバタしていた。しかしそれはただの言い訳。この仕事を始めたときから、公開前にお世話になった全ての方にお礼を伝えること(結果が出る前に済ませておく)、当たったときには喜びを分かち合うことを続けてきたはずだったのに、初心を忘れた愚かさ。この仕事はたくさんの方々に支えられていることを忘れてはならない。だから、何度もお世話になったパン・オ・スリールさんの一時閉店前には絶対行きたかった。ご近所のイメージフォーラムで上映した『YARN 人生を彩る糸』では糸紡ぎのワークショップをやったり、『〈主婦〉の学校』ではコラム取材だけでなく、たくさんお客様に紹介いただいた。

移転先はもっとイメージフォーラムに近くなる。また何かご一緒したい!

やっとやっとの『aftersun / アフターサン』。20歳差くらいの父娘ってこんな感じなのか。父が40歳越えしたときに生まれたので、とても新鮮に見えた。10歳上は想像できる未来だと思ってきたが、20歳上は実際になってからつながりを感じる未来なのかも。40歳上は自分と重ねられることがなかなか難しい。対象との距離の取り方が柔らかな映画だった。ビデオカメラを挟んで父親の繊細さと娘の大胆さが交差していく。90年代のメディアである磁気テープのビデオカメラだからこその記憶の再現。30代の監督がギリギリの知っている世代か。総じてやさしくてイマドキ、余白が多い映画だ。同じ映画館でこの夏はラース・フォン・トリアーのレトロスペクティヴを上映することになっているそうだが、圧倒的に絶望させる作風はイマドキ、どう映るのだろう。救いがあるのか、ないのか、それも楽しみだ。

四つ折りみたいな線が入っているビジュアル。面白い。A24だから大島さん?と思ったらやはり。

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