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その世界なりの当たり前 〜2019年のこれまでとこれから〜

11月10日は、23歳の誕生日。

偶然にも、この日から私の新生活がはじまりました。

木曜日にある企業でインターン生として採用していただいて、人事の方へ「月曜から出社できます!」と伝え、スピード入社することに。

週に1回、同志社(京都)でゼミがありますし、住まいの当てもありませんでしたが、「何とかなる(というか何とかする)」という気持ちで模索してみると、幸運にも友人の紹介で1ヶ月だけ家を安く貸していただけることに。

そんなこんなで、しばらく東京で生きていきます!







未知だったイランは、現実世界の延長となった。

「ああ、激動だな」と思いながら振り返ってみると、ちょうど2ヶ月前は、2019年4月8日から始まったイラン留学を終え、帰国している最中でした。

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この留学は、2019年の4月から9月までの5ヶ月間、イランでペルシア語とイランの文化、そしてシーア派イスラームについて学ぶプログラムでした。
(大学の職員さんがスマホで撮ってくれた写真。画質わるすぎて好きです)



「メディアで偏向報道がなされ、世界中から嫌われているイスラームの人々は、どのようなことを感じ、なにを思って、日々を生きているのだろうか」



「どうやっても想像しきれない、まだ向き合えていない世界を見てみたい」


私はそんな想いから、留学を決意しました。


「留学前までの経緯をもっと知りたい」と思ってくれた方は、こちらをご覧ください(とても長いです)。

私にとって、この留学はいろんな意味を持つことになります。

ただ、5ヶ月の経験は整理しても、とんでもなく長くなるので、特に興味深かった経験と、そこから生まれた学び・気づきを綴ります。
※イランの国境である、イスラム教シーア派12イマーム派について取り上げており、他の国や宗派とは異なる部分があります。



圧倒的に浸透したシーア派イスラームと向き合う。

国民の90%以上がイスラム教シーア派を信仰するイランでは、日本人の私からすると馴染みのない文化や宗教的儀式、規範がたくさんありました。

日常的なところで言うと、まず日本人にもよく知られているのは、豚と酒の禁止です。禁酒は人によってはかなり厳しいですが、豚については、「どうしても豚が食べたい!」というより、「日本食が食べたい!」となるので、意外とあまり気になりません。

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普段は、羊と鶏の肉をよく食べています(こちらは鶏のケバブ)。

ですが実は、犬も豚と同じく不浄とされていたり、牙や爪をもつ虎や猫などの動物、鱗のない魚などなど、様々な生き物が禁じられています。
※宗派によって、また宗派の中でも変わってきます。



次に、断食も有名ですね。断食は数日・数週間単位で絶食すると誤解されがちですが、実際は毎日たくさん食べます

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ムスリムが食事を断つのは、ラマダーン月※の夜明けから日没まで。

夜明け前にたくさんご飯を食べ、日没まで耐え抜いたら、その後は毎日ごちそうが待っている。ラマダーン月はこんな日々を繰り返します。

敬虔なムスリムは唾液を飲み込むことさえ我慢するそう。

※イスラーム世界で用いられるヒジュラ暦で、断食月を意味する月。ヒジュラ暦は年間約354日なので、西暦から毎年時期がズレます。ちなみに、日照時間の長い夏に近づくほど、長く飲食を禁じられる厳しい断食になります。



そして、もっとも興味深かったのが「アーシュラー」という宗教行事。

西暦680年、預言者ムハンマドの孫で後継者アリーの次男イマーム・ホセインが、3,000人のウマイヤ朝軍を相手にたった72人で挑みました。この「実質的な虐殺」とも言われるような状況下で果敢に戦い、最後は教友たちとともに果てたと言われています。このホセインの死を追悼するため、毎年2週間ほど国民の多くが黒服に身を包み、追悼行事を行います。
(参考・引用:Wikipedia「カルバラーの戦い」)

2週間ほどある期間中、町は黒や緑の横断幕と屋台で溢れます。

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こちらは、ある集会所の入り口。町に何箇所もあり、男女別になっており、中ではスイカなどの果物や花のジュース、お水が無料で配られています。


アーシュラーは日本で言うところのお祭りのように映りました。

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町中でラクダに乗った男性たちがタイコを打ち鳴らすパレードをしたり、



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ホセインの殉教(死)を想起するため、支えが何人もいる形ではありますが、男性が1人で100kgほど(だったはず)の大きな飾りを背負って町を歩いたり、


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夜の集会所では、前方の男性が読む詩をみんなで聞く行事があります。
(女性は会場に入れないので、外にあるスクリーンで中継を観ます)

この行事が本当に衝撃的でした。

途中、詩がハイテンポな曲のようになるタイミングがあるのですが、ホセインの痛みに共感するため、両手を交互に使って、自分の胸を叩き、モッシュのようになるんです。

昔は、鎖を体に打ちつける手法も普及していましたが、ケガ人や死者が出るため、イランでは禁止されたと聞きました。

私はムスリムではないので少しの見学になりましたが、小さな子どもたちが何時間も叩き続けたアザまみれの身体を父親に見せ、褒めてもらえるようなこともあるそうです。


これを見る数日前、ネットで「宗教はロジックを必要としないので、対象の人々が賢くなくてもできる、ある規範を広めていく上で最高の手段である」という話を知って、それが頭の中で結びつき、すごく腑に落ちた感覚がありました。

それまで、なにかを信仰している人が、それをどう根拠づけて信じられているのか理解できなかった私が、「信仰は、それを信じたいと思う心さえあれば、他のなにも必要としない」ということを、リアリティを持って知ることができたのです。



他にも、「イスラエル、アメリカ、イギリスに死を!」と叫ぶデモ行進や、日本よりさらに顕在化している性暴力被害の問題、大不況による低所得層の苦悩、黄金のモスクの前で礼拝する2,000人のムスリムなど、印象的な出来事はたくさんありましたが、詳細はまた今度お伝えできればと思います。


〜ツイートでざっと振り返り〜
(長いので飛ばしていただいても構いません)


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マシュハドにある黄金のモスク。数十個モスクを見てきた中で、最も美しく、2,000人が同時に礼拝する様は、非ムスリムの日本人留学生が「改宗したいかも」と言うほど荘厳なものでした。



また現在、社会学部の卒業論文で「イランの女性像」を研究しています。

イランはジェンダーギャップ指数が下から8番目で、「男は仕事、女は家庭」が根強い、一見すると昭和の日本のような社会です。

しかし、「信仰心が強ければ男女格差があっても幸せそうだし、一概に否定できないなあ」と思うところもあり、(というか全体的には男性も女性も日本人より幸せそう・・・)、その背景にある宗教的規範や歴史をもっと捉えていきたいです。




これから。 〜3つの歩み〜

帰国してから2ヶ月間は、言い表しづらいのですが、トランジット先の空港で待ち続けているような気持ちでした。

秋の花粉症で頻繁に体調を崩しながら、4年目になったアイセックで短期の活動をしたり、アルバイトに行ったり、卒論を書いたり。

ですが、11月は3つ新しいことを始めます!

2つ報告と、1つ告知をさせていただきます。



1つ目!

認定NPO法人D×Pが行う、通信/定時制高校生向け授業「クレッシェンド」のボランティアスタッフになりました!

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あらゆる多様性を尊重して、世界をより inclusion(=人々が好き嫌いに関わらず、あらゆる存在を受け止めていける)にしていくため、自分が「よく知らない」かつ「将来、知ることがむずかしい」領域に踏み出します。

「私のネガティブな想いのある人生経験について話し、対話する」ことを通じて、キャリア形成に問題意識をもつことの多い高校生の方々が、実際にどんなことを考えているのか、またどうすれば、より自分らしく生きていけるのかを考えてみたいです。

各高校のカリキュラムと私のスケジュールが合わないと参加できないので、いつから参加できるかはわかりませんが、とっても楽しみです。



2つ目!!

②株式会社Branding Engineerのインターン生になりました!!

「Break The Common Sense」 「Make Engineers Happy」をMissionに、 エンジニアのキャリア支援事業を複数展開する渋谷のベンチャー企業です。

私はメディア事業部の一員として、この2つを得たいと考えています。

①メディアをビジネスとして継続的に発展させる手法
②100人規模の組織で、いろんなメンバー、部署、企業、ステークホルダーと協働しながら事業を発展させていく手法

まだ3日しか働いていないので感想は言いづらいですが、気持ちは7ヶ月遅れの新入社員なので、社会人の先輩方からお話を伺いたい気持ちがとってもあります!応援してください!



そして、最後3つ目!!!

③ 11/25(月)、帰国後初のイベントを開催します!!!

体験的に死ぬ

3月に立ち上げた常識を見つめ直し、人々がインクルーシブになる「きっかけ」をつくるメディア inclueで、イベント「体験的に死ぬ」を開催します。


「体験的に死ぬ」とは?

現代の日本で、「死」は日常から隔離された、忌避の対象となっています。

介護施設の普及による老人と死の排除、死を遠ざける医療技術の進歩、死体の一部とは連想しづらいスーパーの切り身やブロック状の肉・・・。

しかし、「死」は万人に対して訪れるものです。
そこで、「体験的に死ぬ」では、ストーリー形式で自らの死を体験することで、死に対する向き合い方や、本当に大切なものを探求します。

人生でどのような道を辿って、「死」に至るか、一緒に考えてみませんか?

■こんな方におすすめ
*心から大切にしたいものを知りたい
*自分や身近な人の「死」について考えてみたい
*いろんな人の「死」に対する考えを聞いてみたい

興味を持ってくださった方は、Facebookのイベントページ(URL)から、お申し込みください!

また、inclueはしばらく休止していますが、着々と仕込み中なので、これからも応援していただけると幸いです!





慣れない東京ライフ(と1ヶ月後に出す卒論)に、毎日ひーひー言ってますが、今はこの、「学生と社会人のはざま」「キャリアの理想と現実のはざま」のような時期を目一杯やり切りたい気持ちが強いです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

これからもよろしくお願いします!

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2020/1/5追記 〜3つ歩んでみた結果〜

春か夏までインターンを続けるつもりでしたが、想定より早くキャリアの転換点が訪れたため、改めてご報告です。とっても前向きな気持ちです!

D×Pの通信/定時制高校生向け授業「クレッシェンド」未参加
こちらはまだ活動していません。高校授業という形式のためスケジュールが合いづらく、「その時がくれば」と今後もチャンスを伺っていきます。

②株式会社Branding Engineerのインターン退職
こちらは期待値のズレにより、今月でやめることにしました。ただ、ベンチャーへの新卒入社を疑似体験できたので、「就活をしない」意思決定をする上ですごく良かったです。やはり採用においては画一的な「優秀さ」など存在せず、企業とヒトのニーズがマッチするか否かでしかないですね。

③イベント「体験的に死ぬ」から事業立ち上げへ!!!
「体験的に死ぬ」の初回は大好評でした!参加者インタビューがあるのでぜひご覧ください。また、1/19には名古屋でも開催します!(イベントページ)

そして、本イベントを通して、とても大きな気づきが得られました。長くなる&思考しきれていないので詳述しませんが、今後は「死」へ向き合うことをテーマに事業をつくります。

要素のかけ合わせ方とビジネスモデル的に、とても先進的な取り組みになると思います。新たな世界を切り拓いていくので、ご期待ください!

いつも読んでくださり、ありがとうございます! サポートは、読書やnoteの購入に活用させていただいております。