見出し画像

【第4話】うれしいニュース!!


花子とさくら。親子ですき焼きをつついてたら兄、実から母のケータイに電話がかかってきた。
「みのくん、久しぶりだね。元気?ちゃんとご飯食べてる?」
世間的には28歳の中堅サラリーマン。だけど、花子からみればいつまでも子供、呼び方は「みのくん」のまま。この感覚は親になって、子が成長したその時になってみないと分からないだろう。婚約者・桃子との入籍時期は、一年以内を目処にお互いの家族と顔合わせ済み。結婚して早めにマイホーム買いたいらしい。花子は、良い候補物件でも見つかったかなと思いながら雑談していた。

「ところでさ、今日桃子に病院行かせたんだ。」
「えー、桃ちゃんどっか調子悪いの?」
「うん、つわり。おめでたの体調不良ってことで。」
「わあぁぁ、そうなの!!みのくんがパパ!おめでとう。」

横で耳をダンボにして聞いてたさくらは心の中で「おおーっ!」とうれしい驚き。

市販の検査薬で懐妊を表すサインがでて、ほぼ確定と信じつつ受診したそう。産婦人科でしか、妊娠してるかしていないかを調べられなかった時代とは大違いである。

(4/24さくらの日記)
【お母さんとごはん。ちょうど、兄ちゃんから電話きて歓喜!!コウノトリが新しい家族を運んできたんだって。みんな大喜びだね。予定日は12月か。結婚式どうするんだろう。マイホーム購入を考えてるって言うし、ライフイベントが目白押しねっ♪盆と正月が一緒に来たみたい。美人の桃ちゃんに似てほしいな(笑)ウフフのいえい!】


桃子が正式にお義姉さんとなる日は近そうだ。いちおう実の名誉のために言っておくが、勤めている税理士法人で彼のイケメンぶりは知られている。身内は意外と気づかないものかもしれない。

ーーーーーーーーーーーーーーー

週明け月曜日。はなたば信金新入社員は、ローテーションで複数部署の事務補助と接客見学をする。今日は融資担当の上司につく、住宅ローン相談を見学する日。

兄ちゃん家買いたいって言ってたな。ちんぷんかんぷんだろうけど、内容を聞いとこう。まだ全然現実味なくて、イメージしにくい中でも勉強にはなるでしょう。自宅購入はたいていの人が人生の中で一回で、すごく大きな出来事。それはなんとなく分かる。

会話の中でヒアリングしながら説明していくのね。年収や職業、年齢。これらは借入可能額に大きく関係すると研修で聞いた気がする。返済途中で借換えを検討する場合があるとはいえ、30年・35年は当たり前の契約である。融資担当の先輩が言ってた「必ずしも借りられる限度額までではなくて、月々返せる額で考えることが大事です」が心に残った。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

昼休み。ランチin三階の飲食スペース。はなたば信金は、よほどの小規模店舗でない限り、支店に社員食堂がある。原則、ランチの外食はしない。いや、できないと言った方が正しいかも。これは情報の漏洩防止が関係する。

想像してみて?
社内の人と昼ご飯食べに行った時、どうしても仕事の話題になるでしょ。例えば、午前中対応したお客さまについてベラベラ喋ったら制服姿で目立つ。金庫内独自のルールが丸聞こえになるのもまずい。近所の人が「はなしん(はなたば信金)の窓口の人だ」と分かる状況なので、良くないもんね。

ニュースで、オフィス街の昼食タイムにOLがカフェ探してる映像。学生時代のさくらは密かに憧れていたが、残念ながら今は実現していない。

12:40。お腹いっぱいになった頃、彼氏の菊人にライン。平日だけど、実家の用事で休暇を取ったんだって。千葉の海沿いまで菊人の運転で移動、美味しいお魚料理を食べると言ってた。

そろそろ海鮮丼の写メ来てもいい時間帯。おっかしいなあー、返信こないぞ?普段はクイックレスポンスなんだけど。運転が長いとか、たてこんでるのかな。ま、きっとバタバタしてるんでしょう。
ーーーーーーーーーーーーーーー

六時間後、まだ来ない。いつも反応早いのに珍しい。忙しいといっても長すぎる。

(4/25さくらの日記)
【LINEの既読がつかない。半日以上、携帯チェックしないなんて…なんか嫌な予感。電話もつながらない。心配、モヤるわー】

(次回1/28公開予定に続く)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?