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Gibsonの安ギター Kalamazoo KG-2

ついにビンテージギターを買ってしまいました...!
1965年製、自分よりはるかに歳上のギターです!


......ビンテージ安ギターなんですけどね。

Kalamazoo KG-2

ギブソンの廉価ブランドです。
れっきとしたアメリカ製品です。ジャパンビンテージなんてケチ臭いものとは違います。

60年代当時、アメリカ空前のエレキギターブームの最中にあり、ギターブランドが乱立し、さらにヨーロッパ日本製のギターも輸入されていました。
輸入されたギターの多くはギブソンに比べて遥かに安価で、概ね50ドル前後で販売されていました。
それに対して当時のギブソンの廉価モデルであるメロディーメーカー150ドル程度と価格面で大きな差があり、より安価なギターを販売することがギブソンの課題になりました。
そこで誕生したのが、カラマズーです。販売時の価格はおよそ100ドル前後と、まだ多少値は張るものの、従来のギブソンのギターに比べると圧倒的に安価です。
ここまでの低価格化を実現するために、カラマズーのギターは大胆にもフェンダーのギターをパクるという手段に出ています。


パッと見はムスタングです。
トレモロの無いムスタング。
あと、変なスイッチも無いです。
つまりデュオソニックです。
図らずも僕は今年に入ってから、デュオソニックみたいなギターを2本も手にしたことになります。


ラップアラウンドタイプのブリッジ。
購入時はバダスタイプが装着されていましたが、弦高を下げたいのでライトニングバータイプに交換しました。安物なのでそのうちモントルーに交換したいです。
フェンダー系のブリッジに交換しようとも思いましたが、年代物だし、何よりラップアラウンドの見た目がこのギターには合っていると思うので、こうしました。


電気部品は全て1枚のピックガードにマウントされており、エレキギターとしてはこれ以上ないほど簡略化されています。
しかし十数年後にもっと簡略化されたギターが登場するのが恐ろしいところです。

もっと簡略化されたギター


ノブの質感がおもちゃみたいです。
ここまでコストカットしても2vol2toneなのがギブソンらしいような。


ピックアップはメロディーメーカーの物が流用されているらしいです。
つまりこのギターはボディとネックの形が違うだけで実質的にビンテージのメロディーメーカーです。
図らずも僕はビンテージのメロディーメーカーを手にしてしまいました。
ボディとネックの違いなど些細な問題です。
と、言いたいところですが、本機のそれはメロディーメーカーとはかけ離れています。
このカラマズーのギターのボディは便座メーカーであるビーミス社によって製造されています。
テレキャスターの発表当初、「便座のフタみたい」と嘲笑されたエピソードは有名ですが、カラマズーは実際に便座のフタなのです。

カラマズーのギターを使う時の姿勢


ピックガードを外したところ。
見たことない形状のザグリです。スケボー場みたい。導電塗料が塗りやすそう。
ブリッジ側に設けられた坂は座繰りを広く取りつつ強度を稼ぐための策でしょうか。
ジャック部分は一段深く掘り下げられています。この部分だけ塗料が載っていないので、ピックガードを取り付ける際に干渉部分を削っていたのでしょうか。
このギターのボディは硬質繊維板です。
名前の通り、こまかく解した木の繊維を固めたもので、端材や廃材を利用できるため、環境に優しく、価格も安いです。さらに水分をほとんど含まず品質が安定しており、また毛羽立ちにくく加工しやすい素材だと言われています。
デメリットとしては重量が重めなことでしょうか。
余談ですが、繊維板を用いたギターは意外と多く、ダンエレクトロは伝統的にボディ材にメゾナイトと呼ばれる硬質繊維板を使用しています。また、日本でも90年代にフジゲンがボディに中質繊維板を用いたギターを特許申請しており、同社が製造したアイバニーズやスクワイヤーのボディ材に使用された例があります。

中質繊維板を用いたスクワイヤーのSST-30。
軽量化のためか大胆なザグリが開けられている。
これでもまあまあ重い。


ネックは自分の手にはとてもよく馴染みます。
ナット幅が40mmと狭いので握りやすいです。

あと指板の見た目がやたら綺麗です。
ここだけ高級ギターみたい。

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