インボイス、確定申告と消費税

確定申告の時期ですね。
例に漏れず我々も納税...
と言いたい所ではありますが
我々、いや私の場合は
「還付申告」です。

私の場合はと書いたのは
たくさん稼いでおられる方は
還付なんてありませんので
それなりに高額な税金を
納めておられるかと思います。

我々は前もって「源泉徴収」で
出演料の10.21パーセントは
所得税を前払いで納税済み、
それを返してもらうのが
還付申告になります。

覚えておられますか?
前は10パーセントだったんです。
私の記憶が正しければ
東日本大震災復興の為に
0.21パーセントプラスになりました。

そもそも落語家は
ちゃんと納税しているのか?

仕事の内容にもよるかと思いますが
例えば所属事務所からの仕事の場合は
会社の経理で出演料から源泉の
10.21%が引かれて振り込まれます。

繁昌亭の昼席に出演した場合は
主催者は上方落語協会ですから
同じく源泉が引かれて入金されます。

問題はここからです。
例えば繁昌亭昼席は
上方落語協会主催ですが
朝席、夜席は協会員である噺家個人が
会場費を払って繁昌亭を借りて
自主興行を行なっている訳なんです。

という事は出演料は
個人から個人に支払われます。
個人から個人に支払われた場合に
源泉徴収されるような事はありません。

いや、本当ならば
個人から個人であったとしても
源泉徴収しなければいけないのです。

払う側としては10.21%を引き、
(引く=預かる)
それを税務署に収めないといけません。

が、そこに逃げ道があるのです。
個人から個人に渡された出演料は
出演料をもらった噺家自身が
申告して納税して下さいねとなり
申告する義務が発生するのです。

個人でどこかの場所を借りて
自主的にやっている落語会は
たくさんありますが、
税金を納めたという話は聞いた事も
見た事もありません。

もし落語家がこの納税義務を
ちゃんと果たしていたとしたら
仕事として成り立たないでしょうね。

今年の秋から始まる
「インボイス制度」は所得税ではなく
消費税を納めなさいという新しい制度です。

今までは売り上げ1000万以下の
小さな商いをされているお店などは
消費税を納めなくてもよかったのが
今年からちゃんと納めて下さいね
となるのです。

もちろん我々も今度から
消費税を納める事になりますが
消費税を納めないのであれば
主催者側から出演料を支払う際に
源泉と同じように前もって
消費税を引かせてもらいますよ〜
という事になります。

どちらを選ぶかは自由ですが
どちらを選んだとしても
今までよりは多くの税金を
納める事になります。

それなりに稼いでおられる方は
あまり変わらないと思います。
しかし、売り上げが
1000万未満の落語家は
10%ほど収入が減る事になります。

仮に売り上げ300万円だとすると
消費税で30万円納めたとすると
270万円になってしまいますね。

この30万はデカいですよ。
1ヶ月の収入が消費税で
目減りしてしまいますから。

でも先程書いたように自主興行の場合、
主催したとしても
呼ばれて出演したとしても
どこにも報告しないのであれば
源泉も消費税も納めないので
所属事務所からの仕事と
協会からの仕事...
いわゆる表に出ている仕事だけ
納税しておけば、そんなに収入が
落ち込む事はないと予想します。

落語家もちゃんと納税する為には
落語協会が税務署とタッグを組んで、
自主興行であっても
消費税を入場料に加算する事、
出演料から源泉徴収し納税する事、
もしそれらが出来ていない場合は
場所を出来ないようにするなど
業界全体での取り組みが必要だと考えます。

え、私ですか?
自分で自分の首を
絞めているんじゃないか?
私の場合はちゃんと法人化してますので
大丈夫です(笑)


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