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読むために、読まないものを決める

読むと良いと誰かに言われたものを購入して積んでおく。

ともすれば、どんどん積まれていき「いつか読もう」がストックされて、一向に進まない。そんなことはないでしょうか。僕もやりがちです。

悪いことではないけれど、人に勧められた本をあまり構えて熟読する必要はない。精神がすり減ってしまいます。


ではどうやって読むのか。

「自分の読むべき情報か判断するために攫い読む」のが良いと僕は思う。読書の好きな人や得意な人はたぶん当たり前にしていることかもしれません。

読む本は自分基準でいいのです。

いまの時代、ネットでも紙でも情報が氾濫している。でも、すべての情報を得ようとしても不可能。「知りたい」情報だけに絞ったとしても、世界中に興味の向く本はいくらでもあるでしょう。

そんな中で、自分の必要な情報だけを得るためには、選定する必要があります。選定するために速読、あるいは攫い読みをします。


読む必要のある本を選別する必要性について、“知の巨人” と言われる、作家で元外務省主任分析官の佐藤優さんは「読書術は知の技法のいちばん初めに位置づけられる」と言い、次のようにわかりやすく説明されています。

なぜ、読書術が知の技法のいちばん初めに位置づけられなくてはならないのだろうか。それは、人間が死を運命づけられている存在だからだ。そのために、時間が人間にとって最大の制約条件になる。少し難しい言い方をすると、人間は、制約の中で、無限の可能性と不可能性を同時に持って生きている。――『読書の技法』(東洋経済新報社)


読みたい本を速く読むのではなく、読まないものを決めるための速読術。それを、佐藤優さんはこの本で具体的に紹介されています。

人の一生の時間は限られているからこそ、読むべき本、知るべきこと、知りたいことを選び、不要な部分を除外していく作業において、「自分基準」を持っておきたい。

たんに「あの人が勧めていたから」読むのではなく、本当に必要な本なのか、情報なのかを自分基準で一つひとつ選定しながら、時間を節約しないと、得たかった情報が得られず人生が終わってしまいます。

それを意識すると、すべてを熟読する必要はないし、すべてを熟読していてはいけないことがわかります。

熟読する必要のある本を選別するために、排除する本を決めていく。そんな読み方に慣れてくると、「読まなければ」と気負いしてしまうこともなくなってくると思います。


僕もこれを自分に取り入れてからずっと楽になり、インプットがとてもスムーズになりました。読まない本を排除するための読書術を知ると、インプットの量、密度、スピードとも格段に変わります。


ライター 金藤良秀(かねふじ よしひで)


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