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月夜の烏

簡易書道教室にて、子供たちに小一時間ほど墨を磨らせる。
無論、子供が黙って墨を磨るはずもなく小惨事は免れぬ。
そこに墨と筆があれば描きたくなるもの必然と、しかし自由もいいが折角なので名題をひとつ掲げてみる。

わたしの幼少期に流行った表題といえば月夜の烏だった。そこで、
月夜の烏と耳にしたものは何を思うか。
 
 
拙くも懸命に描かれた月夜の烏たちの様相とは如何に。
みるみると描きあげられたそれの自由に自由を知る。

ひとりが烏の絵を描けば、ひとりは月のなかに烏という字を描く、ひとりがなかなかの筆具合で字を描けば、ひとりは半紙一面を墨で塗り潰す。
 
 
 
烏の雛たちは、孵化を待たない。

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