お腹のはなし

わたしのお腹のなかには、産まれてこないナニカがあるらしい。「一万年に一人の確率でそれは産まれてきません」そんなことを医者は宣うのだ。

わたしは腹のなかで「おまえさん、いつから生きてるんだ」とその医者の腹づもりに訊ねた。どうやら医者のお腹のなかは既に空っぽらしく、もうそのナニカは産まれたあとだった。

なるほどなと、なるほどに問ふ。

なるほどは謂ふ。
「腹に据えかねるね」嗚呼、強勢か。

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