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明日はないかもしれない物語(花しは枯れるか種となるか)


雨は降っていた。



無論、海のなかに雨音など届くはずもなく。ただ地表から流れ出した土が視界を暗澹とさせた。ここは恐らくに内湾岩礁、所謂珊瑚礁だろうことがわかる。この様な場に生息するわたしのような貝は岩に殻を付着させ安定を図る構造になっている。だがどうだろう、


どうやらわたしは周囲のオオヘビガイやキクザルガイのそれとは少し違っているようだった。身体を岩に固定させようとするも上手くいかない。なぜだろう。わたしは、どこからかやってきた余所者なのだろうか。暫し考えるも

それは当然のことながら、わたしが毛布の隙間からやってきたことを誰が言うまでもなく、なぜ貝になっているのかということすら今以て知ることが出来ていないのだから、余所からきた貝だろうが、石ころだろうが不具合とすらいえないのだった。なにか、



記憶の中にこのようなことがあったようにも思う。そして
その日も雨が降っていたはずなんだ。


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