越境するデザイン Designship 2018

12/1,2の二日間、日比谷ミッドタウンで開催されるデザインカンファレンス「Designship」に登壇します。当日のスライドとスクリプトを、事前公開しますです。

こんにちはタガワです。

今日は「越境するデザイン」というテーマでお話できればと。

そもそも、なんで自分がデザインの仕事するようになったかというと。

「エンジニアリングとデザイン、一緒にやるの無理だから、どっちか選んでねー。というか、悪いこと言わないからエンジニアになっときなさい」という、とある大企業のアドバイスに悩んじゃったのがきっかけ。。

「Aなの、Bなの、どっちなの?はっきりせいよ」と言われて、だけど、どっちかに決めれなくて。。悩んじゃったんですね。で、半年悩んで結局結論だせなかったんです。こんだけ考えて、選べないってことは、もしかしたら選んじゃダメなのかも。。

それで、いろいろと経緯はあるんですが、デザインエンジニアリングという「選ばない」=「両方やる」=「それ無理だから」と言われた未知の道を行くことになりました。。

いまは、僕みたいな不適合的な人たちが集まっちゃってTakramというデザイン組織になってます。「無理だから」と言われた、その言葉に抗うように、日々仕事に取り組んできました。

こんな仕事を通じて、そして沢山の方々との会話を通じて、イノベーションについて考えるようになりました。

デザインとイノベーションの関係を考える際に、僕は「BTCモデル」で整理して考えるようにしています。

デザインという領域には、様々なタイプの職域がありますが、歴史を俯瞰すると、すべてのデザイン手法は産業革命に呼応する形で生み出されてきたことが分かります。プロダクトデザイン・グラフィックデザイン・UIデザイン・デザイン思考・ビジネスデザイン・スペキュラティブデザイン、などなど、それらを生み出した人たちが、どのようなタイミングで何を考えてきたのか、探っていくのは面白い作業です。現在は第4次産業革命の時代。この時代にどのような新しいデザインが生み出されるのでしょうか。

Takramでは「越境」という言葉が、組織のVALUEとして明確に定義されています。みんな、自分の領域を大切にしつつも、近傍領域にどんどんジャンプしてチャレンジするんですね。そうすると、徐々に多眼的なマルチリンガルな人になっていきます。なんで、そんな面倒なことに取り組むのかというと。

デザイン駆動型のイノベーションって、ヒューマンファクターを組み込んだ全体的アプローチになってこそ、意味があるからなんですよね。イノベーションが実際に起こるためには、必要なら何でもやんなくっちゃいけなくて、テクノロジーもビジネスもデザインも、必要なら、その引き出しを開けないといけないんですね。

逆の見方をすると、これまで大半のイノベーションって、ビジネス×テクノロジーで作られてきたんですが、インターネット以降の世界では、ビジネス×テクノロジー×デザインが3つそろうことが必要条件になっちゃいました。これは一時的なバズではなく、インターネットによって引き起こされた大きな地殻変動です。

経営の視点から見たデザインについて、今年、政府が「デザイン経営」宣言というものを出しました。仮に、イノベーションの実現にデザインが必要だとしたら、その前提はどのように整えることができるのか。細かい話は沢山ありますが、背骨になることとして、2点を挙げました。CXO(チーフ・エクスペリエンス・オフィサー)やCDO(チーフ・デザイン・オフィサー)を置くスタートアップが増えています。それはとても大事なことだと考えています。

「DESIGN THOUGHT LEADERSHIP」という言葉を聞いたことがありますか?

イギリスのロイヤル・カレッジ・オブ・アートという大学に、イノベーション・デザイン・エンジニアリングという学科があります。ここでは、「DESIGN THOUGHT LEADER」を熱心に育てています。

日本でも、こういう教育拠点があったらいいな、ということで、去年から東大の中にデザインラボが立ち上がりました。テクノロジー×デザインの文脈で、次世代のBTC人材の輩出のきっかけができれば素晴らしいと思います。

僕が今のスタイルで仕事をするようになったのは「君のような人の居場所は、ここにはないよ」と言われたことがきっかけです。当時は相当つらかったですが、今となっては、早い時期にそのようなシリアスな問いかけをしてくださったことに感謝しています。

経営学者のピーター・ドラッカーの言葉で、すごく気に入っているフレーズです。”私たちはイノベーションの時代に生きている。このような時代にあって、実際的な教育が育てなければいけないのは「まだ存在していないような仕事・はっきりとは定義されていないような仕事」にこそ取り組むような人間なのだ”

この中にも自分と社会の間の不適合感を感じている人が沢山いると思います。だけど、それはとても貴重な感覚かもしれません。それは単に「まだ認められてない価値」なだけかもしれません。

僕らは、この違和感を社会課題の解決と直結させるために「越境」という言葉を考えました。越境を繰り返すことで、新たなフィールドを生み出し、社会の進化に少しでも貢献できるなら、それを使命にしようと考えています。

もうひとつ、気に入っているフレーズがあります。ホメオスタシスの概念の基礎を作ったフランスの生理学者のクロード・ベルナールの言葉です。「私は芸術である。私達は科学である。」これは、デザインの仕事をする上で、個のクリエティビティやセンスと、プロセスやチームワークを、高いレベルで昇華するためのヒントです。この言葉に、僕は次の世代のデザイナーが正面から取り組むべきテーマがあるように思います。

Takramでは「DESIGN THOUGHT LEADERSHIP」を磨いていくために、つねに、自分たちが考えていることを、おおっぴらに公開していこうと思っています。できるだけ、広い視野でいろんな人たちとディスカッションがしたい。Takram Castはポッドキャストという形で、それを表現したものです。よかったら、これも聞いてみてください。

カンファレンストークの事前ネタバレでした!当日、Designshipに参加して頂ける方々。当日は多分このスクリプトどうりにしゃべります。(もちろん、倍の解像度になります)が、はたまた、全く違う話をする可能性もあります。いずれにしても、会場でお会いすることを楽しみにしています!


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