西崎憲

音楽:スイスカメラ& dog and me records/翻訳と小説/電子書籍レーベル:惑星と口笛ブックス

十のフォントから書いた十の瞬篇小説

ウェブには信じがたいほど親切な方々がたくさんいて、難しいソフトウェアの扱い方や、楽器の弾き方や、健康的な生活の仕方を教えてくれる。
 だから日々感謝に堪えないのだが、なかでもありがたく思っているのは、フリーフォントを提供してくださる方々の存在である。

 作成にはどう考えても膨大な時間と時間がかかっているわけで、彼ら彼女らこそヴォランティア中のヴォランティアと言えるだろう。

 何かにたいする深い

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ジュディー、現代短歌っておもしろいのか? ――21世紀の岸辺の歌人たち

(原稿用紙42枚)

 小説は読んでも短歌は読まない、音楽は聴くけれど短歌には全然興味ない、映画はよく見るんだけど、短歌ってなに? 教科書にのってるなにか? そういうの読んだり作ったりするのってなんか恥ずかしくない? イメージ的にさ――

 といったところが、たいていの方の短歌観ではないだろうか。自分の生活に必要がないもの、あえて導入する意味がないもの。

 まあ、そうである。短歌は生活必需品では

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海外小説を読まない実作者に薦める海外短篇10選

(原稿用紙換算約24枚)

 短篇小説が好きだ。とても好きだ。ものすごく好きだ。と三度繰り返すくらい、自分は短い小説が好きだ。

 短いものや小さいというのはそれだけでいいものなのだ。小さいものは持ち運べる。自分の行くところ、どこへでも持っていける。大きいものになるとそうはいかない。たいてい自分のほうがそちらに行かないといけないわけで、それもなかなか億劫ではないか。もちろんそれはそれで良さがあるし

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ホルヘ・ルイス・ボルヘスをほどく — われわれはどのように読みそこねてきたか

(原稿用紙換算37枚)

『文学ムック たべるのがおそい』 Vol. 6 に、ホルヘ・ルイス・ボルヘスの短篇小説 El jardín de los senderos que se bifurcan の日本語訳を寄稿した。これまで「八岐の園」という訳題で親しまれてきた作品で、人口に膾炙した題を変更するのは、避けたほうがいいように思うのだが、わかりやすさを考えて「あまたの叉路の庭」とした。しかし、ある

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