タダシによる稽古場日誌(10)

※ネタバレを防ぐためコントタイトルは「牛肉の部位」で表記。

11月某日 晴れ

稽古場に早めに到着すると、公演スタッフの岡本光央がロビーのソファにちょこんと座っていた。この日は見学として遊びに来てくれたのだ。
「早めに来てしまいました」と岡本。スタッフさんが誰よりも早く来ていることに情けなさを感じつつ、稽古がはじまるまでしばし談笑。

この日も通し稽古であるが、衣装あり、先日完成した劇中音源あり、照明をのぞけば本番とほぼ変わらない状態でやることができる。
段取りに抜かりがないよう、香盤表とウンウン言いながらにらめっこをしていると、岡本に「彼女らに話しかけているみたいですね」と突っ込まれた。彼女らとは欅坂46のメンバーのこと。ホワイトボードに表を留めるために持参したマグネットが欅坂のソレだったので、ファンの人間味あふれる行動のように映ったようだ。稽古場ではさすがにそういうのは自重している。安心してほしい。

転換に於ける衣装面での重要ポイントから押さえてみると、意外とあっさり乗り切ってしまった。ライブを自ら構成しておきながら「これだけ? 今回これだけ?」とやや拍子抜け。やることは多いが、段取りは限りなくシンプルなライブだったようだ。ようだ、て。

準備を整え、通し。少々ネタバレだが、今回、最前列のお客さんには相当な圧がかかる。役者の毛穴がガババッと開く瞬間が何度か見られると思う。「サーロイン」ではあのキャラクターが最前のお客さんを確実にターゲットにする方向性になったよう。「肩ロース」で洋希くんから提案のあった演出もバッチリ決まり、確度が上がる。

各々の細かいミスはあったものの、トラブルなく終了したのだが、ランタイムが95分。これには驚愕した。当初80分の予定が15分も延びてしまった。
想定以上の事態となったのは、作り手として致命的ではあるが、密度の高いコントライブに変わりはないので、お客さんに「あっという間だった」と言ってもらえるよう、引き続き最善を尽くす。

残りの時間で音声コントを二本連続で収録。スタッフにも参加してもらっている特別編の収録には、少ししみじみしている自分がいる。一年に一度のコントライブでは共演できる人間には限りがあって、タイミングとかもあるので、この人とはなかなか難しそうだなぁ、と思う人がたくさん。岡本にも、こういう機会でなければ自分の作ったネタをやってもらうこともなかっただろう。殺陣芝居で培われた台詞の瞬発力を褒めたが、あんまり伝わってなかった。
メンバーのみのネタに関しても、今回の収録でラスト。ハシケンが終始オチに困惑していた。ごめんごめん。

「よってたかって気後れ3」詳細・予約
https://note.mu/kiokure/n/n2db71ad10882

「すいません! 上演時間延びました! でも損はさせません! ぜひ!」と制作さんがひたすらお詫びを入れつつ、予約管理ページを開いてF5キーをひたすら押している。