【ポケモン】役割依存度-初心者が扱いやすいポケモン・構築とは

 突然ですが、最近ポケモンを始めたばかりの人にシングルバトルを教えることになりました。構築を1つ勧めるとしたら何を勧めれば良いのでしょうか。これには様々な意見があると思いますが、個人的にはこの構築を強く勧めます。

【USMシーズン12使用構築】楽しくなっちゃいそうなアイディアがあるからさ【最高最終2150/最終6位】-よしこぽけ
 この構築は、ポケモン個々の役割依存度が高く、試合内容が分かりやすいという特徴があります。
 ポケモンが対戦で活躍できるか出来ないかはこの「役割」をきちんと果たせているかが大事な要素になってきます。今回はこの「役割」との向き合い方がポケモンによって異なる、ポケモン単体が相手のポケモンによって立場がどれだけ変わってしまうのかを示す「役割依存度」について言及する記事となっています。一応ですが、「役割依存度」という言葉は元からある言葉ではなく、どのようなポケモン選択をすればいいかを説明するために作った言葉ですので、意味が通じる人は少ないと思います。他の人と話題にする際には注意してください。

・役割依存度とは
 冒頭の通りそのポケモンが活躍する際にどれだけ役割に依存しなければならないかを示す言葉です。ただし、具体的な数字がある訳ではなく、漠然と「大きい」、「小さい」で表します。また、この大きさは型を変えることでも変化するケースがいくらかありますし、その環境や環境によるポケモンの立ち位置によって変化することもあります。曖昧なパラメータであるためポケモン同士で比較する際には基本的に同じ物差しで測る必要があります。

・役割依存度を測る
 それでは、ポケモンの活躍が役割に依存するということがどういう事なのか考えていきましょう。
 まず例として、この「鋼タイプ」の4匹を見ていきましょう。
 ヒードラン、ナットレイ、ギルガルド、テッカグヤ、これらのポケモンは共通して鋼タイプを持ちます。鋼タイプが防御として優秀であることはなんとなくですが分かるかと思います。ですので、鋼タイプは対戦する際に交代戦になる傾向が強いでしょう。味方の不利対面を解消したり、そのままアドバンテージの取得に繋げられる性能を持ちます。
 役割依存度を測る際にはまずタイプを見てあげます。前述の通り鋼タイプは等倍関係が少ない以上役割に依存しやすい傾向があるようです。次に複合タイプを見ていきます。それぞれ、炎・草・霊・飛でありこれらを等倍関係が多い順に並べると、霊>飛>炎>草となります。これが多いほど自身の攻撃が通りやすい、つまりは引く必要が少なく不利対面を取りにくいとした場合役割に依存しにくいと言えます。これを参考にした場合この4匹の役割依存度はナットレイ>ヒードラン>テッカグヤ>ギルガルドの順になります。
 ただし、攻撃面でもポケモンを考えた際に、「タイプ」だけじゃなくて「技」と「数値」という要素があります。ゲームシステム上役割関係は「タイプ」に大きく左右されますが、この「技」や「数値」も役割依存度を測る際には見逃せない要素です。
 最初には出しませんでしたが、メタグロスは「れいとうパンチ」や「いわなだれ」、ハッサムは「バレットパンチ」と「つるぎのまい」を覚えます。メタグロスは自身の素早さが高いため不利を取りうる地面や炎タイプのポケモンに対してこれらの技を放つ事ができます。ハッサムは「先制技」と「つるぎのまい」によって苦手な炎タイプに高火力の技を放つことが出来ます。これは一種の不利対面の解消と解釈できるため「役割に依存しない」とすることができます。
 さて、ギルガルドを見てみましょう。このポケモンも「かげうち」と「つるぎのまい」を覚えます。テッカグヤは「エアスラッシュ」と「ボディパージ」を覚えます。この2匹は自身のステータスを上げつつ不利を取るタイプに対する有効打を得ることができるため「役割に依存しにくい」性質を持っています。ヒードランは一応「ニトロチャージ」を覚えますが汎用性にかけることに加え、ステータスを上げた後に打つ技が無いことから上の2匹より役割に依存してしまうと言えます。ここまで踏まえると上位鋼タイプポケモン4匹を見た際の役割依存度の大きさは
ナットレイ>ヒードラン>テッカグヤ>ギルガルドと並べることができました。

・役割依存度を実践単位で考える
 役割依存度が小さいと「不利対面を作りにくい」説明はしました。ただし、それと同時に「有利対面を作りにくい」性質を持つことになります。例えば先程の4匹で炎タイプ、水タイプ、超タイプの代表的なポケモンと戦わせてみましょう。
 炎タイプにはリザードンXを例に挙げます。このポケモンと4匹を戦わせて鋼タイプを勝たせるためにはどうすればいいでしょうか。ギルガルドやテッカグヤは前述の通り有効打を持つため後出しに対して負荷をかけやすく、勝てる構成を見つけてあげれば勝てます。ヒードランは少し曖昧な部分がありますが「吠える」を使えば流すことはできます。ただしナットレイに関してはどうしようもありません。恐らく何をしても勝てる見込みは薄いでしょう。この関係には「プレイヤーの干渉」が行き届きません。
 次に水タイプです。鋼に通りやすいとされる水タイプに勝つためにはどうすれば良いでしょうか。ゲッコウガはエラーが多すぎるのでカプ・レヒレを例に出します。
 ギルガルドは鋼技を持てるので鋼Zを持たせれば撃ち合い性能を確保できます。テッカグヤも「やどりぎのタネ」を絡めて撃ち合う場面は何度か見たことがあるかと思います。ヒードランは自身の数値と技を利用して「草Z」を持たせる事ができます。さて、ここのナットレイですが、特に何もせずとも余程変なナットレイを使わなければ大体のカプ・レヒレに勝てるはずです。
 次に超タイプを見ます。カプ・テテフが良いでしょう。もともと有利なタイプであるため役割を持っている状況です。よって今回はカプ・テテフ側が型を変えた場合を考えます。
 「めざめるパワー炎」を持てばナットレイはカプ・テテフに対して勝てなくなります。ヒードランも「格闘Z」を放たれると怪しいですし、そもそも型しだいでは「サイコキネシス」で押し負ける可能性を孕んでいます。ただし、テッカグヤやギルガルドはこれら2匹とは比較的安定してカプ・テテフと撃ち合って勝つことができます。

・役割に依存することのメリット・デメリット
 「役割に依存する」ということは「役割破壊」をされやすい事の裏付けとも言えます。本来役割対象であるポケモンが特定の構成であった場合に負ける可能性があることが分かります。役割依存度が小さいと言う事は「想定外の処理ルートを取られにくい」事を示していると言っても良いでしょう。
 ただし、ナットレイとカプ・レヒレとの関係のように役割依存度が大きい場合は特に何もせずともカプ・レヒレを役割対象に指定する事ができます。カプ・レヒレだけではなくアシレーヌやカプ・コケコ、少し妥協すればゲッコウガや霊獣ボルトロスなどとも撃ち合えそうです。このように役割依存度は小さければ良いという訳ではなく大きい場合でもそれなりのメリットがあります。

・構築毎における役割依存度の大小
 さて、次にこれです。ここまで読めばなんとなく分かると思いますが「役割依存度」が小さいとそのポケモンの性能に「プレイヤーが干渉しやすくなる」傾向にあります。つまりは、ポケモンの型次第で性能が大きく変化し、取り巻きと合わせて戦える範囲が広くなるということです。冒頭に例として出したカバマンダとこちらのカバマンダを見比べてみます。

【USM】S7使用構築 カバマンダ ‐えりちか
一般的にこの構築の方が「カバマンダ」として扱われる事が多いです。よしこぽけさんの物もどちらかと言えば「ナットドラン」の性質が強いように思えます。さて、タイプ毎にそれぞれの型を見比べてみましょう。

- カバルドン
えりちかさんの物は木の実、よしこぽけさんの物はゴツゴツメットを持っておりそれに沿った構成となっています。前者は幅広い相手に仕事ができ、後者は物理アタッカーには強く働きますがその分他のポケモンに対して仕事をしにくくなっています。よってよしこぽけさんのカバルドンの方が「役割に依存している」でしょう。

- ボーマンダ
こちらは「りゅうのまい」+「はねやすめ」と「どくどく」+「はねやすめ」の比較です。これに関しては見られる範囲の違いが違いすぎて単純な比較が困難なので割愛します。

- ギルガルド / ヒードラン
ギルガルドが「つるぎのまい」を持っていることに対してヒードランは自身のリソース確保を意識した型となっています。先程の例に上げたようにギルガルドの方が役割依存度は小さいと言えるでしょう。ただ、ヒードランは「ほえる」を持つことで不特定多数の要素に対応出来るようです。これは自身の役割依存度を落としていると見られます。

- ゲッコウガ / カプ・レヒレ
ここもマンダと一緒で比較がちょっと難しいです。ただゲッコウガは役割に依存しにくいからこそのこの構成を選択ができると言っても過言ではないでしょう。そもそもの役割依存度が小さい例です。カプ・レヒレは型によって役割依存度が変化しますが「こだわりスカーフ」を持たせた型は比較的役割依存度が小さい傾向にあります。

- カミツルギ / ナットレイ
もう分かりますね。カミツルギの方が小さいです。

- カプ・コケコ / ミミッキュ
この枠はどちらも役割依存度が小さめのポケモンで構成されていますが、カプ・コケコを出せそうな構築が少し限定されてる以上ミミッキュの方が小さいと言えるでしょう。先程のゲッコウガとミミッキュは役割依存度が究極的に低いポケモンとして私はよく扱っています。

 ここまで見るとえりちかさんのカバマンダの方が全体的に役割関係への依存度が小さいと見られます。ですが、えりちかさんのカバマンダは個々のポケモンがどういったポケモンに勝てるかがよしこぽけさんの物に比べて極めて曖昧な傾向にあります。
 ポケモンシングルバトルは対戦前に選出を決めますが、えりちかさんのカバマンダは選出を決める際に選出するポケモンの役割を指定してあげる必要があります。しかし、よしこぽけさんのカバマンダはポケモンそれぞれが役割を持っている状態でスタートしているためどのポケモンを選出するべきかが比較的分かりやすい傾向にあります。このことから僕は初心者に構築を1つ勧めるとしたらよしこぽけさんの物を勧めると冒頭で述べたのです。

・かと言って極めるのはどちらも難しい
 構築内容が分かりやすい以上、よしこぽけさんの物が扱いに困らないのはそうですが、ポケモン自身が役割に依存していると「四枠選出」が発生しやすい傾向にあります。相手のポケモンの並び次第で選出にポケモンが4匹必要になるケースです。役割依存度が小さい構築だとこの四枠選出が発生するケースは少なくなります。ただし、ポケモン毎の役割が事前に指定されている以上どうしても融通が効かずにポケモンが4匹必要な事態が発生します。だからこそ役割に依存しにくいミミッキュやカプ・レヒレといったポケモンはこの構築において重要なピースであることは明白でしょう。
 ただし、そのようなピースがあっても選出に困るケースが発生しやすい以上よしこぽけさんの構築を極めるのが簡単という訳ではありません。ただし、「ある程度理解する」上ではこちらの方が触りやすいと私は考えています。

・役割依存度から見る環境変遷
 環境変遷を見ると役割依存度が低いポケモンはトッププレイヤーでも理解が難しかったり、扱いに困る傾向にあるようです。
 例えば、メガ進化が登場した6世代はフシギバナが強く評価されていたようです。フシギバナは他のメガ進化ポケモンに比べると役割依存度が大きいと言えるでしょう。やはりそのようなポケモンは触れやすくゲーム序盤において人気の傾向にあるようです。しかし、環境が進むとフシギバナを組み込んだ構築は極一部に限定されてしまいました。
 そして、7世代において環境がある程度進むとカバマンダが出てきます。シーズン7で爆発的に数を増やしたこの構築は役割依存度が小さい傾向にあります。カバルドンの型もこの頃には完全に木の実持ち一辺倒になりゴツゴツメット持ちはほとんどいなくなりました。
 ですが、とあるメガ進化ポケモンは環境が進んでから役割依存度が大きい型が生まれました。ゲンガーです。
 「滅びゲンガー」のテンプレートと言える型の「まもる」+「ほろびのうた」+「みちづれ」ですが、メガゲンガーの中で一番役割依存度が小さいこの型は前作の遺産もあって環境初期から見られました。しかし、環境がある程度進んでから「エナジーボール」や少し早いものだと「10まんボルト」を持ったものが現れました。特定のポケモンや並びに対する奇襲として採用されたこの技を持つと役割依存度は大きくなる傾向にあります。
 そう考えるとここ最近で完成度が高いゴツメカバ入りのカバマンダが現れたのは珍しいケースであることが分かります。

・まとめ
 話を最初に戻しますが初心者にゴツメカバ入のカバマンダを勧めたくなる理由は分かって頂けたかと思います。構築、並び、型の役割依存度が大きいとそれだけ構築を触れやすくなると言えるでしょう。
 ここ最近、ポケモンで上手くいかずスランプですという声がちらほら見受けられます。ここまで環境が進むと構築で差をつけるのが難しく、相手の行動も12シーズン分の統計から選ばれる訳ですから弱いことはしてくれなくなってきます。そうなってくると役割依存度が小さい構築を使うのはプレイヤースキルが顕著に出ることを考えると少し難しいかもしれません。そういう時は構築相性で勝ち切る、役割依存度が大きい構築を使って思考をシンプルにして戦うのがスランプ解消の1歩目になるかもしれません。
 では、今回はこの辺で終わりとさせていただきます。ありがとうございました。今後noteに投稿するものはこれ以上のクオリティを目標にしてやっていく予定です。ですので更新は多くて月一程度かなと思います。

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