【着眼の技法】
あの人は意見は鋭い、どうしてそんな点に気が付くのだろう。
仕事が出来る人に対して、そんな疑問を抱いたことはないだろうか。
単純に頭の良さや、才能ではなく、その違いとは着眼点にある。
同じものを見ても、同じものを聞いても鋭い着眼点を持つ人間は
”どこからその発想が生まれたのか”
といつも感心させられる。
それではその発想を生み出すために彼らはどのような着眼点で物事を考察をしているのか、またその技法について解説していくこととする。
まず優れた着眼点を養うためには、
好奇心を持ち、常に疑問を持つことである。
簡単そうではあるが、根源にあるのはこの要素である。
着眼点とは目の付け所が全ての成り立ちである。
目の付け所とはそれを表面的に見るのか、断片的に見るのか、どこに注視するのということである。
その目の付け所を養うことで、見えてくるものは全く異なり、革新的なアイデアや、物事の本質に近づくことが出来るのである。
その基礎となるのがこの好奇心と疑問である。
そもそも好奇心が無ければ疑問も生まれるわけもなく、意図的に何にでも挑戦する好奇心が何より新たな着眼に最も近づくための第一歩である。
次に重要なことは
固定概念を壊し、独自の視点を持ち、人とは違う切り口で目の前の現象を捉えることである。
私達は理性的な判断で物事をこれまでの自分の常識や経験の公式に当てはめがちである。
そもそも人間というのは毎日の繰り返しを効率的に省略化するために、これまでの経験の公式に落とし込み、判断をしている。
例えば、存在は見えなくとも鳥のさえずりが聞こえたとする。
ではなぜそれが鳥だと分かったのか。
私達は過去の経験から瞬間的に何に当てはまるのかを分析し、その正体が鳥であるという答えを導き出している。
このようにパターン化された認識を無意識のうちに私達の脳は情報として処理している。
しかしその一方でこの認識は変化を捉えるためには大変重い足かせとなってしまう。
そこでまずやっていただきたいことは固定概念を壊すことである。
これまで当たり前としてきたものが本当に正しいのか、逸脱言動を自ら起こすことが新たな着眼には必須である。
視点や視野を固定してしまうと、新しいものは見えてはこない。
例えば以下に記した文字を読んでほしい。
”エ場”
これは”こうじょう”と呼ぶのが一般的であろう。
しかし今回はカタカナのえと場を組み合わせた。
つまりこの読み方はえじょうかもしれないし、えばかもしれない。
少し極端な例だったかもしれないが、固定化した視点を壊し、視覚と繋がる脳の情報伝達と処理の経路を変えてあげることが、新たな着眼を生み出すうえでは非常に重要なのである。
また私達は様々な目には見えないルールに沿って行動している。
それら会社や社会、そして自分自身、これらのルールを疑い、自らブロックを外してみるのも固定概念にとらわれない為の手段である。
また一概に固定概念と言ってもその人自身の経験によって、導き出される答えの幅、質は大いに変わる。
例えば多くの知見があり、実経験も豊富な人間は
一般的にA→B→Cと導き出す答えを、A→C、あるいはA→Dなど、通常だと導いにくい革新的なアイデアを、少ない情報量からあらゆる視点で考察し、関連付け、多くのアウトプットが可能になる。
このように群を抜いて経験を重ねている人間以外は、自分自身のモノサシだけで考察することは非常に危険であるとともに、どうしてもコモディティ化した答えしか出てこないのは当然なのである。
ここでいう危険とはその人自身が仮にこれまで誤った方法で、偶然的にうまくいってしまっていたという成功体験があるとする。しかし、それは客観的に見ると明らかな間違いであり、必然的な成功ではない為、主観に頼りすぎた考察はさらに誤った答えを生み出す可能性が高い。その為経験が浅い人間にとっては主観的に判断するということは非常にリスクの高いものであるということだ。
逆に先ほど言った経験豊富な人間で、正しい方法、誤った方法、どちらも理解した上で考察するのとは全く別問題である。
それでは経験が浅い人間はどのようにして独自の視点を持ち、人とは違う切り口で現象を捉えるか。
それはまず自覚的に多くの失敗をし、それと向き合うことである。
そしてその失敗をよく研究することが重要である。
これを意識的に取り組むことで、少ない経験からも多くの学びを生み出し、自分自身のアイデアや着眼の基礎となる情報量を拡張することが出来る。
次に多くの歴史に触れることである。
あらゆるミュージシャンや、芸術家、その他多くのヒット商品を生み出してきたデザイナーも過去の礎があったからこそ新しい世界を生み出すことが出来たのである。
よく新しいアイデアは過去に見てきたものや聞いたものなどがあらゆる形で脳内で混じり合い、その化学反応で新しいアイデアが生まれるなどと言われるが、まさに歴史を学ぶことによって未来のあり方に着眼できるのである。
その積み重ねが多くのひらめきを生み出す。つまり礎があってこそ新しい世界を生み出すのである。
以上が着眼点を磨く技法である。
あらゆる角度で考察し、アイデアを量産させる為には日々の積み重ねが重要となる。
是非、意識的に取り組んでもらいたい。
それではまた!
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