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「才能の民主化」という夢と現実

最近、AIと著作権に関する考え方についての個人の部のパブコメが出てて、
全体的に読んでて特に目に止まったものがあったんですよね。

なのでそれをお題にちょろっと書こうかなと。

絵が描ける人は貴族と同じである

さて、「お前何言ってんの?w」と言われそうですが実際にそう書いてあるんですよ、パブコメに。

著作権という物は一市民の私から申し上げますと、遺伝的才能を持った一部の特権階級の為の既得権益でしかないと思っております。

一般市民Aさんのご意見

知ってた?iPadでコピーしたのMacでそのままcmd+Vでペーストできるんだよ
未来だね、ほんと魔法みたい♪
ってどうでもいい話はさておき、こんなことが大真面目に書いてあったんですよ。

まぁそもそも著作権というものがどうやって発生するか、ベルヌ条約とか無方式主義で検索したまえ…ということも思いましたが、そうやら言いたいことは違うらしいんです。

本当ならパブコメ見に行って斜め読みして欲しいですが、流石に面倒でしょうし該当するコメントを段階ごとに原文ママで転載させていただきます。

2022 年頃から今日まで話題となっている生成 AI の登場で、今まで遺伝的才能が無い為に創作活動を諦めていた私含め多数の持たざる人たちに夢と希望を見せてくれていて、
もしかしたら諦めた夢を実現できるかもと思いながら日々を過ごしております。
しかし、そんな中でイラストの創作界隈を中心に『才能を持った俺たちの既得権益を壊すな』と、
遺伝的才能の特権階級の地位を守ろうとし才能の民主化を妨害する勢力が
旧Twitter の中で隆盛している現状、やはり既得権益は怖いなぁと思うと同時に
才能の民主化の火を絶やそうとする勢力の存在に内心憤慨しています。

一般市民のご意見 受付番号 185001345000000112より

全部読みたい方はここから見れます

実際AI絵師の方がよく言っていたことを簡潔にまとめているなと思うと同時に、
一般絵師との対立している根幹がここにあると私は思っています。

私にもああいう絵を作って世に出す「権利」がある

このコメントを読み解くに、おそらくイラストが描けない人も作って出す権利がある。
そう思ってるのかなと思います。

実際その権利はありますし、誰も止めませんし、止める必要もありません。
でも、じゃあなんでそこが戦いのタネになるのか。
「遺伝的才能の特権階級の地位を守ろうとし才能の民主化を妨害する勢力が、才能の民主化を絶やそうとしている!」
と、AI絵師が思っているからです。

つまりは、読みかけるような可愛いイラストを僕も私もシコシコ作り出して、pixivで発表したい。
発表して評価を受けたい。

そんな思いを確実に達成させるためには、一定以上のクオリティのイラストが必要です。
これは紛れもない事実であって、確かにそうです。

一般絵師はいつから始めたのかは人にもよりますが、何年もかけていろんな人の絵を見たり、
カフェで座ってるちょっと可愛いあの子をどう絵として落とし込むか注視してみたり、
あるいはお金を払ってセミナーの受講をしたりと様々。
ある程度の評価を得られるほどの絵を描けるようになるまでには、それなりの時間とお金と精神力と…それと健康を削ってやっています、私の知ってる絵師はそうです。

一方のAI絵師はというと、こっちもまぁ努力がないわけではないです。
エフォートレスでやっているわけではないです。
そこだけは弁明させて…
まずプロンプトをどう練るか、破綻したところを治すためにクリスタとかフォトショでちょいちょい修正。
人によっては絵師になるための本を買って本格的に修正をする人もいます。

いわば、第三者からみるとどちらも努力自体はしてるんですよね。
多少罵詈雑言が飛んでこようがブロックして終わりにすればいい。
所詮は旧Twitterですから、いちいち気を落とすだけ無駄ってもの。

しかしながら、AI絵師はそれを良しとしません。
どこまで行っても今争いが起きていて、その原因は一般絵師が火をつけてきてネットリンチをしてくるから。
その攻撃の目的は、絵師の持つ「既得権益」を壊されたくないからだと、
そう信じてやまないのだから。

「才能の民主化」か「能力の共産化」、あるいはコモディティ化か

さて、なんかまとまりが無い文章ですがAI絵師が目指しているのは「才能の民主化」というものらしいんですよね。

  • 男性がVCで女性の声になりゲーム実況をする。

  • 手が震える私が生成AIを使って自分自身の持つ世界観を出す

  • 音楽のセンスがない人でも音楽を作る

ですが、個人的に思うに民主化とはちょっと遠いところにある理念だと私は思っています。

この文章の背景を読むと、なんとなくわかると思いますが、例えば受ける女性配信者の声ってなんとなく想像できますよね。
何パターンもありますが…

自分自身の持つ世界観といっても、何気にxx似てるってのあったりして
世の中の99.99%は自分は才能があると思いつつ、他者から見ると案外何かと似て見えるものです。
何にも似ていないものってそうそう出せません。
しかも大体出したい絵も想像がつきそうなものです。
見せられれば「あぁそーゆーのね」となりそうではあります。

音楽もある程度決まりがあるので最終的になにかに似やすい分野なんですよね。


そう、ここまで見るに決して求めている「民主化」という理想は訪れないのです。
実際に訪れるのは、大体は後天的に身につけた人が多い「能力」の共有財産化。
いわば「才能の共産化」。
これは民主化というワードを変に解釈した結果ですね。

もしくは、あまりにも煮詰まりすぎて一見「私のセンスはすごい、あまりこういうモノは作らないだろう・出さないだろう」という人がみんな出した結果
結果似たようなもので埋め尽くされる「コモディティ化」

このどちらかだと思います。

個人的にはコモディティ化の方がしっくりきますが…

そもそも似たり寄ったりが多いコンテンツで起きる競争

早速喧嘩を売るような真似になって申し訳ないですが、
いわゆるAI絵師が出しがちなものって割と激戦区になってて既に飽和してるんですよねw

多分部外者が見ると(一般絵師だけで比較して)真面目に差がわからないってことも起きてるんですよね
いっちゃあなんですが。

もちろん分野が分かれてるので一概には言えませんが、その分野内での差別化というのは非常に難しいものです。

音楽もそうです。
この曲あれに似てるとか、あのグループの曲かと思ったら違った!とか
なんならK-POPかなと思ったら日本人が作った日本の曲だったとか。

何が言いたいかというと、それだけ努力をした人たちが集まっても似たり寄ったりになってるんですよね。

この手のコンテンツを生み出すクリエイターって、人の数だけものすごい個性があるとは思えなくて、
結構な数埋もれてると思うんです。
人数が多い=才能がいっぱい集まる
というのは、まぁ計算的にはあってるんでしょうが実際的にはどうなのか微妙なところです。

これはどのクリエイティブなジャンルでも言えることな気がします。

なので個人的に生成AIを持ってしてもその「民主化」とやらは果たせない気がするんですよ。

実は案外みんな見ていたいだけ?

元も子もないですが、あのような理念は何気に少数意見であると思います。
単にAI絵師を批判する意図ではなく、作りたい人そんなにいる?って
そういう意味ですねw

私の周りにパソコン持ってる人とか、美少女ゲームが好きな人とかそれなりにいますが、
案外聞いてみるとコンテンツは「消化したい」のであって「作りたい」とはおもってないんですよね。

というのも作りたいものを考えるのにも猛烈なストレスを感じる人が多いようで、
実際的に仮に民主化されても「別に興味ないわw」って人が多分半数を占め、
結果としてやっぱり民主化は訪れないような、そんな匂いがしています。

むしろ、AIは別の使われ方が多くなると予想します。

AIはコストカッターになる、それがピッタリ

生成AI、特に画像生成に関しては民主化・共産化・コモディティ化よりも「こう言うふうに浸透するだろうな」と思うものがあります。

それはコストカット用のツールです。
例えばちょっとした挿絵を、パンフレットの文章作ってる人が同じPCでそのまま生成できたらどうでしょうか?

人員も時間もコストも節約する事ができます。
クオリティはそこそこに、それっぽいものがあれば良い時って割と仕事してると出てくるもので
そう言う時に非常に便利でした。

...でしたと過去形なのは実際に用いたからです。

まあ社外の関係者に渡す資料で、ちょっとあまりにもしょぼ過ぎたのでイメージ画像をつけておいたってだけなんですが。

AIが単体でクリエイターの武器になると言うよりは、既存のプロセスに組み込まれると言う方が
よりAIの強みを活かせるような、そんな気がします。

似たり寄ったりとか関係が無くなりますからね。

なんか意味のわからない文になりましたが、
今月中にノート書くとバッジもらえるから書いただけです。

おしまい。

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