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【メンタル強め美女 白川さん(漫画)bookレビュー】

Kindle Unlimitedで読んだ本の #bookレビュー 2冊目。とうもろこしを齧るネズミのように気になったタイトルを片端から読んだので1週間で8冊ほど……全部はレビューしきれないなぁと思いつつ、この本はぜひおすすめしたいな、と思ったので。

周りから嫌なことを言われても、ハミられてボッチ飯を食べていても、いつも背筋を伸ばして自分の美意識に忠実に生きる白川さん。とても素敵だと思った。

中でも特に涙が出て止まらなかった一場面。

町田さんというアラサー女性。最近白川さんと仲良しでよく一緒に帰っている。

そんな2人の横を男子高校生が「ゲェー、お前あんなブスに告られてやんの」「ブスの上にデブとかさすがにねーよ」と下品な話を大声でしながら通り過ぎる。

それを聞いた町田さんは心臓がドクドクして過呼吸みたいになってしまう。

「どうしました?」と心配する白川さんに「私も中・高男子からブスブスデブデブ言われてたから…」とトラウマがあることを明かす町田さん。

「白川さんはないでしょう?」と言われた白川さんは「ありますあります」と過去のシチュエーションを披露。「それは傷ついたでしょう…」と涙ぐむ町田さん(いい人!!)に、でもそんな悪口は全然気にならない、と返す白川さん。


「だってそんな失礼な人間の美意識とか、信用するに値しなくないですか?」


ああ、同じだな、と思った。

私も人と違うことで子どもの頃から1人になることが多かったし、そらーもう色々あって傷つくことが多かったけど、紆余曲折あって最終的に行き着いたのが白川さんと似た考えだった。


「自分が尊敬できない相手から何を言われたとしても、その言葉には傷つかない」


私はオシャレやメイクに興味がなかったから「美意識」という言葉ではなかったけれど、内容的には同じだと思う。1人で上を向いているためには「数」に負けないだけの鎧が心に必要だった。

おお、こんなところに同じ価値観の仲間がいた……と思ったら、その瞬間に百億光年の孤独がどっと押し寄せて涙が止まらなかった。

やっぱりどうやったって、一番仲間が欲しい思春期の年代に味わった孤独はいつまで経っても消えない傷で、移動教室で誰も居なくなった教室、組む相手がいなくてポツンとなった体育館、ひたすら校庭をゆっくり歩き続けた昼休み、いつ思い出してもずっくりと血が滴って寂しい。

私の一体何か気に障ったのかグループの子達とすれ違いざまに言われた「ムカつく」という言葉、睨みつける目、ヒソヒソ声、こちらに目線を向けて聞こえよがしに響かせる高笑い。

全てがサーっと流れていく。変に目立つタイプだった私は、「同質」を好む思春期の女子の集団では浮いてしまう存在だった。人への興味が薄かったのと感性が鈍かったのが幸いしてそこまでひどい傷にはなっていないけれど、それなりに傷ついた。そんな中で私が気がついたこと。

私を本当に傷つけられるのは、私が好いていて尊敬できる相手だけだなと。そこにはもちろん愛してやまない自分も含む。(むしろ自分自身からの的確なツッコミが一番自分を傷つけるんじゃないかと思う。)

だから私は周りのどんな相手よりも厳しい一生離れられない自分の目を気にするし、自分に好かれるためだけに、ズルをしないで正々堂々と面白くていい奴で居ようと思う。いくらズルをして一時的に得をしても後で自分に嫌われるのはすごく損だから。自分の目は誤魔化せない。

逆に自分にさえ信頼に足ると思われていれば、他の人から多少誤解されても、それは別に構わない。その人にとっては私は「そんな奴」なんだろう、と思うのみ。その人に見る目がないのか、私のプレゼン能力がないのか、たまたま偶然の間が悪かったのか……誤解の理由はわからないけれど、その人と私が親しくなれば不当な誤解はいつか解けるだろうし、親しくないなら実害がなければ究極誤解されたままでも構わない。そもそも私の評判なんて集団の中でずっと低かったのだから。いまさらそれが1人ふたり増えたところで全体的に見ればそう変わらない。

それはそうと、白川さんのこの場面で最後に、(私の学生時代に白川さんがいればなぁ)と町田さんが涙ぐむのだけど、その場面がすごく「3月のライオン」のヒナちゃんが零くんに手を差し伸べる場面を思い出させた。
https://netkatu.com/post-416

現実には私にはヒナちゃんも白川さんも現れなかったけれど、たくさんの本たちが孤独を埋めてくれたし、その頃親しんだ物語はたくさんの人間の美しさを見せてくれたし、たくさんの知恵を授けてくれた。

私にはそれで十分だと思う。

大人になってから、子どもを産んでから、SNSを通じてたくさんの友人と呼べる人ができた。

大人になってからも相変わらず喋るのは苦手だし(黙るか変なことを言うか喋りすぎてしまう)、実際に会っても何も面白くない私だけど、文字のやり取りでならゆっくり言葉を吟味して相手を気遣ったり返事をしたりできる。

表情や声色や間の取り方まで加味して瞬時に判断し続けるお喋りの間合いは私には速すぎて複雑すぎてついていけないので、無理せずに私のペースで文字のやりとりができるSNSはとても便利なツールだ。

(「いつもスマホばかり見ている」と旦那からは不評だけど。)


私の味わった深い孤独は私だけのもので、それは誰にも奪うことができない私の血肉になっている。

だからこそどこにも似たタイプのいないネズミくんの育児にも、その他色々な場面で味わった理不尽にも、耐えることができたと思うし、これからも前を向いて歩いていけると思う。

自分と似た仲間(それがフィクションでもリアルでも)を見つけて心から嬉しいと思うけれど、混ざり合うことはない。私は私で、その人はその人。別々の人間で、でもその人が美しい光を放てば、その美しさを讃えたいし愛でたい。

それは息子たちにしても同じで。

輝きながら流れていけと思っている。みんな百億光年の孤独と共に、隔たって、でも隣り合って、生きていく。

そんなようなことを、この「メンタル強め美女 白川さん」を読んで思った。

たいへん良いお話でした。この本は私の友達だと思う。

#雨の日のうた ……雨が降ってる、私の人生となんら関係なく……周りで起こる色んな出来事のほとんどは私とは関係ない。そして関係ある出来事の中で私がなんとかできる出来事はさらに少ない。どうせなら笑って過ごそう、冷たい雨の後に綺麗な虹が出るのを待ちながら。
https://youtu.be/WpLzkzKOjuw


追記・ヒナちゃんも白川さんも現れなかった私の人生だけど、5年くらい前にDJあおいさんは現れた(信者)。あれからずいぶん私の中で心の整理整頓ができたと思う。

DJあおいさん流、「傷つくことを言われたときの対処法」のリンクを貼っておきます。必要な人に届きますように。

(一緒にランクインしているブルゾンちえみさんの言葉もとても素敵でした。ダイアナ妃の言葉も。時間がある方はぜひそちらもどうぞ)

https://www.google.co.jp/amp/s/wotopi.jp/archives/95853/amp

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