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ポットスチルが物語るジャパニーズウィスキー余市の魅力

ニッカウヰスキー余市蒸溜所です。

昨年始めて訪れた際、強い思いによって夢は実現することを目の当たりにし、勇氣と氣付きをいただきました。
私にとって、ここは特別な場所となったのです。

前回は雪の中でしたが、今回は真っ青な秋の空の下。清々しい空気の中での訪問となりました。

「マッサン」は終わってしまいましたが、相変わらず人気は続いているようで多くの観光客で賑わっていました。

今回の一番の収穫は、前回見ることができなかった蒸留棟の内部を見ることができたことです。
蒸留棟には銅製のポットスチルが並んでいます。
ポットスチルとは漏斗を伏せたような形をした、先が長く曲がっている蒸留装置です。

実はここ余市蒸溜所では、世界でもここだけという特別な方式で蒸留が行われています。
ポットスチルを石炭で直火焚きする昔ながらの伝統製法です。
本場スコットランドでは廃れてしまったこの方式が、時代と国境を超えて日本に残っているわけです。

石炭直火焚蒸溜は温度調節が難しく職人の熟練の技が必要ですが、芳ばしい香りと力強い味のウィスキーが出来上がります。
この蒸溜所で作られるウィスキーが「余市」として世界中で愛されているのは、効率よりも伝統的製法を選択した結果でもあるのです。

また、ポットスチルの上部には注連縄がしめられています。
竹鶴政孝氏は自然と風土がウイスキーの個性をつくるという信念のもと、スコットランドに近い風土の場所として余市を選びました。
ウィスキーは、発酵という人間が完全にはコントロールすることのできない自然の作用を利用してつくられます。まさに自然という神様の助けがなければできないものです。

ポットスチルから見える竹鶴氏の頑固なまでのこだわりと、自然に対しての謙虚さ。
それがジャパニーズウィスキー余市の魅力になっているのだと感じました。

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