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旅の記録 22日目

3月3日は旅が始まって22日目、なんかぞろ目が続いていい気分になった朝です。
昨日の楽しい飲みの余韻はありますが、お酒は残っていません。
あんまり覚えていないのですが、カプセルの枕元にヘパリーゼの瓶が転がっていたので、たぶんこれのおかげでしょう。一生ヘパリーゼ愛してます。

この日はちょっとした離島に行く予定です。
しかもまた炭鉱です。
長崎、離島、炭鉱……といえば、軍艦島を連想するかもしれませんが、軍艦島は観光客多すぎて嫌です。僕なんて所詮は逆張りクソオタクなので!!

というわけで僕が行くのは軍艦島ではありません。
長崎には第二の軍艦島と呼ばれる、「池島」という島があります。
こちらは軍艦島の人気の影に隠れているため、まだ認知が浅い観光スポットです。

1.池島について

知ったような書き方していますが、もちろん知りませんでした。
この旅に出るにあたって、マイナー観光スポットをいろいろ調べてる最中に見つけたくらいですから。

軍艦島との大きな違いは以下の通りです。
    炭鉱ツアー 住民
軍艦島  なし   無人
池 島  あり   有人

時代背景なども結構違うようですが、軍艦島についてあまり知らないので、比較できませんでした。

池島は周囲が約4km程度の小さな島ですが、炭鉱の最盛期には約8,000人もの人が住んでいたそうです。
エネルギー改革により採掘規模が減るとの同時に人口もゴリゴリ減っていき、2001年に炭鉱が閉山する頃には2,700人、2021年では100人程度だったようです。

池島までのアクセス方法は神浦港、瀬戸港、佐世保港の3つあり、いずれもフェリー・高速船になります。
僕は一番値段が安い神浦港にしました。
これでも値段が上がったらしいのですが、今までのフェリーに比べたらサーチャージレベルの安さ!

安すぎて逆に心配。

2.いざ、池島!!

グダグダと解説書いても退屈なんで、そろそろ出発です。

休憩に寄った「道の駅 夕陽が丘そとめ」からの景色。
たぶん奥に見える島が池島。たぶん。

日本一走りづらいと僕の中で有名になった出島を抜け、目的の神浦港まで走らせること1時間程度、ちょっと休憩です。
13:46のフェリーに乗る予定なので、時間調整も兼ねてお土産とかを眺めていました。

先ほどの道の駅から20分も走れば、神浦港に到着です。
到着した時点で12時。完全に時間を持て余しました。どうしよう。

いざ乗船!
船内はこんな感じ。
乗客は僕含めて10人いなかったと思います。
近づく目的、池島!!
うおおおおテンション上がる!!

島が近づくにつれてテンションと期待値がめちゃくちゃ上がります。
僕は炭鉱ツアーを予約していたので、上陸するなり電話しようとしたのですが、
「炭鉱ツアー予約の方ですか」
と声をかけていただき、車で炭鉱ツアーの受付まで送迎していただきました。

炭鉱ツアーでは先に料金を支払い、池島の歴史を学ぶビデオ(VHSだった、しかもビデオ終わったら自動で巻き戻してた。マジで貴重)と、炭鉱内での安全に関してレクチャー。トータルで15分くらいだったと思います。
炭鉱まではトロッコで移動するということで、トロッコ乗り場まで移動し、ここからはヘルメット着用は義務です。

実際に使用していたトロッコらしい。めっちゃ揺れる。
炭鉱入口。
結構天井低いし、すのこの上以外は地下水によりぬかるんでいた。
実際に使用されていた削岩機!!
これの刃が回って石炭を切り崩しながら進んでいたみたい。
実際の石炭の塊。
たぶん石炭触ったの初めてかも。軽石みたいに軽かった。
非常時用の空気供給設備。
一酸化炭素とかの有毒ガスが検知された際はこれに身体を入れるらしいけど、池島炭鉱では一度も使われたことがなかったようだ。
石炭の砕石をトロッコに入れるためのホッパー。
砕石って言っても、たぶんクソでっかいんだろうなぁ。
無線ケーブルとかいう矛盾した日本語。
黄色いケーブルを黒いケーブルに巻き付けると、監視室みたいなところに連絡できるらしい。
たぶん変圧器と同じような原理なんだろうけど、無線ケーブルのインパクトのせいで考えがまとまらない。

19日目の万田坑は竪坑(垂直に降りるヤツ)だったけど、今日の池島は斜坑と竪坑のハイブリッドみたいな感じらしいです。
この炭鉱ツアーは斜坑部分しか見れませんでした。

ものすごいぶっちゃけると、この内容で2,720円…?万田坑は410円だったよ?
という気持ちもありますが、閉山した炭鉱を後世に残すための投資だと、割り切る気持ちが大事です。知らんけど。高いわ。

炭鉱ツアーも終わり、フェリー乗り場まで送ってくれると申し入れがありましたが、池島を散策したいので結構ですって丁寧にお断りしました。
「松島(池島から6kmくらい離れた島)からイノシシが渡ってきたので、イノシシには気をつけてください」
なんて言われましたが、イノシシって海泳ぐの…?結構な距離あるよ…?
あと気を付けるって、どうやって…。

とりあえず木の棒で武装しつつ、池島散策開始です!

クレーンじゃないよ。
でも遠目にはクレーンにしか見えなかったよ。

これは石炭船に石炭を積み込むための機械、トリンマーというらしいです。
ベルトコンベアで石炭を運搬し、船に降ろすためのローディングアームみたいなものです。
至るところが風化している池島の中で、これだけが今にも動き出しそうな雰囲気がありました。

ベルトコンベアの土台部分。
コンベアどこいった。
右側の施設はわからないけど、左は知らない。
蔦まみれのアパート。
上のアパートから見える住宅群。
窓ガラスが全滅した建物。
ヤバいくらい蔦に覆われたマンション。
どこまで行っても蔦まみれ。
歩道橋の上も草生えるwww

住宅群の辺り、すっごい静かでした。
人の声や車の音などの人間由来の音がなにもなく、動物の声と風の音だけ。
世界から人間が突然絶滅してから30年くらい経った世界とか、たぶんこんな感じなんだろうな。
人工物が自然に還ってる最中の風景でした。

盛者必衰の跡。
小さな集落。おそらく現在の住民はここに住んでるんだと思います。
なんかヤギいた。ちゃんと飼育されてるヤツ。
発電所跡です。
右がエアフィンクーラー。冷水機の残骸です。
一番上に復水器が見えます。火力発電ですね。
採掘して発生した残土の処理は、ここから先に埋め立てていたらしいです。
そのため、炭鉱開発の前と現在では島の形状が違うそうですが、写真が残っていません。
ネッコ、島にいがち。
あまりにもホラーすぎる。

というわけで、池島一周完了しました。
金曜日ということもあってか、この島内で出会ったのはツアーの人を除けば4人くらいでした。

軍艦島は部分的に立ち入り禁止になっている場所があるようです。
それは崩落の危険性があるためです。
ということは、ここ池島の住宅群もいつ崩落の危険性が出てきて、立ち入り禁止になるかわかりません。
そんなすぐにはならんやろーwwwと思いますが、地震で倒壊したら?巨大台風が来たら?
そう考えると、見れるうちに見れてよかったと、心から思います。

そんな風に感慨に浸りながら、帰りのフェリーに乗り込みました。

1988年、まだ採掘されていた時代に作られた池島の全景です。
帰りはこれなんですが、行きの時とはすげぇ違いだな!?
グッバイ池島。すげえいい島だったぜ。

3.宿泊地へ

フェリーから降りて、今日の宿泊地、「道の駅さいかい」へ向かいます。
道中、夕日がすっげぇ綺麗だったので思わず撮影。
池島もチラリと映っています。

肉眼ではもっときれいな夕日だったのに!

車中泊の準備をし、ふと夜空を見上げると、煌々と輝く月。
月齢11(満月は15)くらいだったのであまり期待していませんでしたが、周囲が真っ暗だったということもあり月がすっごく綺麗で、月でもハロって出るんだなぁと感心しました。

月ハロ。初めて見たかも。

今日一日で感情がめちゃくちゃ揺さぶられたので、普段より疲れたような…いや、明確に疲れてる。
翌日は土曜日なので、どこ行っても人多い…どうしようかな。
ぼんやりと考えながら就寝しました。

寝る直前まで、無線ケーブルがあんまりにも引っ掛かっていました。
wireless cable……存在しない英語……
無線電線……存在しない日本語……

22日目走行距離:75.4km
総走行距離:2,941.5km

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