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ファンコミュニティの民度という概念

最近、歌い手界隈やゲーム実況界隈、vtuber界隈等、色々な場面で「〇〇リスナーの民度が悪くなった」、というコメントを見る。
思ったことをつらつらと書いていく。

結論から言うと、よくわからない架空のものに悩まされる必要はない、と考える。
念の為断っておくと、民度が悪くてもいいという話ではない。


はじめに

「〇〇リスナーの民度が悪くなった」と聞いて、まず初めに浮かんだ言葉、、それは
「それってあなたの感想ですよね?」。
某H氏が残した有名なネットミームであるが、この場合割と正しい使い方と思える。
というのは、この場合の民度という言葉、十中八九"検証"されていないと踏んでいる。

①検証 : 民度が悪い、とはどういう状況?

■民度とは"集団"のレベル

前提として「民(たみ)」は1人の人間を指して言う言葉ではない。
ということは、民度が悪いと言い切るには、ある程度その集団が平均的に"悪い"必要がある。
では、フリマアプリの出品者について考えてみよう。

■フリマアプリユーザーの例で考える集団のレベル

世の中には、希少価値が高かったり新商品で注目が高い商品の買い占めを行って、値段を吊り上げて転売するという、悪質な転売ヤーがいる。
ここでは悪質転売ヤーと呼ぶことにしよう。
フリマアプリは本来の「不用品を適正な価格で売る」という正しい使い方をしているユーザーも多くいる一方で、悪質転売ヤーの温床になっている側面もある。
では、例えば100人のフリマアプリユーザーがいたとして、そのうち何人が悪質転売ヤーだったら、フリマアプリユーザーという集団が"平均的に悪い"集団だと言えるだろう?
悪質転売ヤーがたった1人なら集団が悪いとは言えないだろうが、10人、20人、30人なら?どこから"悪い人が多い"と感じるだろうか?

同じように考えていくと、ファンの民度を語るには、ファン全体のうち何人が悪いかを考えることになる。が、実際問題ファンのうち"悪い"人が何人いたかなど数えた人はいるのか?
恐らくだが、いないだろう。
というか"悪質"の基準をどう定めるかにもよるし、仮に"違法行為をしたことがある人"と定めたとしてどうやってカウントするかも謎だ。

以上のことから、〇〇ファンの民度が悪いという言葉を使う人のほとんどが、印象論で決め打っていると思うのだ。

②印象論のはらむリスク

勿論、印象論の全てを否定はしない。
なんとなく、の"勘"は人生経験から基づく合理的な判断材料だ。
ただし、大きな事件や炎上につられて、大げさに考えてしまう可能性には留意しなければならない。
また、母数が増えれば"悪い"人間の人数が増える確率が上がるのだから、以前よりファン起因の炎上の件数が増えたとしても、一概に民度が悪化したとは言えないのである。
(全国から無作為…テキトーに100人選んだ場合と、10000人選んだ場合、犯罪歴のある人がヒットする件数は全く違うはずだ)

正直、大半の普通のファンは目立たないので、トラブルを起こす人が数人でも増えると一気に民度が悪くなった体感があるのだが、その実たった数名が大暴れしていただけ、なんてこともある。

更にSNS上においては、復数アカウントを用いて意見を水増ししたり、印象操作を行う人もいるぐらいだから、印象での決め打ちにも慎重になるべきなのだ。

③鶏が先か?卵が先か?

そもそもだ。
ライブ会場で窃盗が起きたとか、有料配信を無断で複製して売った人がいるとか、広告と自撮りするときに道を塞いだ、とか。
確かにショッキングだが、では仮にその人たちが〇〇ファンでなければ迷惑行為をしないのか?を考えなければならない。
"自分のしたいことが人に迷惑がかかるとしても我慢できない"人は、どこへ行っても本質は変わらないのではないか? 

すなわち、〇〇ファンだから悪いのではなく悪い人がたまたま〇〇ファンになっただけではないかということである。

仮に、それまでいい人だったのに〇〇ファンになった瞬間に迷惑行為をするようになったとか、迷惑行為をするような性格の人が〇〇ファンになりやすい、ということが明らかになっていれば、それは〇〇ファンの民度が悪いと言っても違和感がない。
がしかし、実際は窃盗はどこでも起きているし、違法アップロードは残念ながらありふれているし、インスタ映えを狙った若者が乗ってはいけない場所に乗って撮影することだってあるのだから、その説を推すのは厳しいだろう。

④低年齢層のユーザが永久に増え続ける

インターネットが広く普及したことにより、最近は小学生や中学生も推し活する時代であり、おそらく親の目の届かないところで若気の至りでやらかしまくっている人たちがいるだろう。

その人たちの大半は学校等の集団で、またはインターネット上で痛い目を見ながら成長していくだろうが、ファン全体として見ると毎年毎年新たな低年齢層のファンがやってくるので、どうしても集団としては習熟しにくい側面があるはずだ。

※勘違いしないでほしいのは、低年齢だと必ずしも悪いわけではないし大人になっても進歩のない人など私も含めていくらでもいるのだが、やはり生きた時間=経験がものを言うところはある。

あらためて結論

これらのことから、私は民度という指標は計測しにくく曖昧な上、1つのファンコミュニティに負わせるような言葉ではないと感じる。

【おまけ:集団同士のファンコミュニティの比較】

ここまでは民度の悪化、という観点を主に話してきたが、集団同士の差についてはあるだろう、とは感じている。
まず極論、迷惑系YouTuberのファンコミュニティと比べたら大体のファンコミュニティは相対的にマシに見えるだろうとは思う。
言ってしまえば類は友を呼ぶ、あるいは同じ穴のムジナ。要は"悪い"推しを許容できる人間しかファンになれないので正常な判断のできる人間が入口からふるいにかけられるからである。

また、推し本人がある程度常識を持っていても、一部の過激なリスナーを放置した結果まともなリスナーが離れた場合にも、同じことが起こり得る。

ただこの場合、1ファンに何ができるわけでもなく、気にするべきはファンの民度というよりは推しの対応力だろう。

そういう意味でも、やはり1ユーザがファンコミュニティの民度を気にすることは、不要ではないかと思う。


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