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ライドシェア、怒りのゼロ回答(確かにタクシーは不足してるけど)

 結論から言えば、タクシーがただ不足しているのではなくタクシー料金が安すぎるのでタクシードライバーさんの参入が減っているだけです。タクシードライバーを営んでいても喰えないのであれば人が増えないのは当然です。

 副次的に、タクシードライバーさんの接客技術が地方ほど低く、顧客満足度がクソ低いのは地元の運送会社が地方財閥化している側面があるんですが(地方企業は人材教育にカネをかけない傾向が強い)、実のところこれもタクシーの運賃が低く抑えられ過ぎているからです。タクシー会社も儲からないのだから人材に投資をする意欲も湧かないわけで、廃れて当然と言えます。地方の需要に見合った柔軟な運賃体系にするべきですが、今度はタクシープールでの会社選別や運賃差の問題(後ろに並んでるタクシーのほうが運賃激安なら前の車両を飛ばして後ろに乗っちゃう問題)はあるんでしょう。ただそこは配車アプリでどうにかしろや。

 もっと言うと、地方に観光客がぁぁぁ、地方に外国人がぁぁぁぁという議論がありますが、残念なことにタクシードライバーさんとは無関係にこいつら地方の観光にカネを落としません。はっきり言って、ライドシェア容認だドライバーさん増員だなどと対応するだけ無駄です。収益を上げられない地方の観光に投資するべきじゃありません。

 そもそも、日本の観光業はインバウンドだぞぉぉと言っても競争力のある東京京都大阪以外は福岡奈良石川ですらサービス収支が微妙です。北海道にいたっては札幌とそれ以外で雲泥の差がつき過ぎていてライドシェアどころではありません。それ以外の地方は言わずもがなです。

 要は「カネを落とさない海外からの旅行客のために制度変えても生産性の低いライドシェアが少し増えるだけで、出前館UBERの無駄競争と同じジレンマを引き起こすため考えるだけ無駄」になりかねないよって話です。

 なので、日本としてはまずタクシードライバーさんの運賃を自由競争とし、日本に観光目的で訪れる外国人には観光税を多めに取りましょう、というところからスタートなんじゃないですかね。

 で、小泉進次郎さんがどっかから担がれてこんなことを書いてました。

最近「ライドシェア」の議論が盛り上がりつつあります。タクシー不足の現状を考えれば当然です。 今日の横浜での講演でもこの話題に触れました。 私の地元選挙区の三浦市では夜7時以降タクシーはありません!そんなタクシー不足の中、タクシードライバ...

Posted by 小泉 進次郎 on Friday, August 25, 2023

 ハードルを下げて地理試験通らんような(安全運転技能の低い)ドライバーさんを野に放って増員しても迷子になり遠回りするタクシーが続出して観光評価が下がるだけじゃないのかという議論も出ますし、小泉進次郎さんの気持ちは分かるけど政策における問題はそこじゃありません。

 当たり前ですが国土交通大臣もその辺は分かってるので、経済団体などからの煽りで質問ぶつけられても塩対応となっています。

他方、いわゆるライドシェアは、運行管理や車両整備について責任を負う主体を置かないままに、自家用車のドライバーのみが運送責任を負う形態を前提としており、安全の確保の観点から問題があると考えています。

https://www.mlit.go.jp/report/interview/daijin230825.html#gm8

 一度白タクが増えたら二度と戻せないのに運行管理の法規制もまともに審議せずライドシェアなんて進められっかバーカという話でございまして、そりゃそうですねって話です。

 本件焚き付けの一翼が、俺たちのガースー・菅義偉御大であります。

 私が日本にいない間に不思議な檄文が飛んできたようですが、なにぶん日本にはおりませんでしたので読んでおりません。最近日本語の読解が不得手でございまして、どうにもなあと思うところですが、どういうわけか、同じ文面が日本維新の会方面にも矢文として8番キャッチャーの眉間に刺さっていたようなのですが、何故なのでしょう。

 もしかして、どこぞの岸田文雄さんがやぶれかぶれで総選挙に打って出て自公で過半数割れして維新が連立に入るときのお土産として用意しているものだったりするのでしょうか。国土交通大臣の斉藤鉄夫さんは公明党なんスよね。良きところでガースーパワーが炸裂するのでありましょうか。

 そんなわけで、私の立場としてはすべてが円安、量的緩和のお陰で安い日本が叩き売りになっており、それを見越して外国人がわんさとやってきている状況で「タクシーが地方で(場合によっては都市部でも)不足している」と言われても、そりゃ激安で働くタクシードライバーという職の魅力がないからだよ兄貴ってことで、これはもう燃料費補助も打ち切ったままにしてインフレ起こしましょう。まだ間に合うから金利も上げてさ。

 あと、ベンチャー界隈が筋の悪いロビー活動をしてくるたびに、いちいち政策論争が起きて取りまとめしないといけないの激しく面倒くさいので、政治家から省庁に我田引水まんまの業界ネタ持ち込んでくるのやめてください。論点整理して道筋付けるの大変なんだよ。

(追記 17:56)

 なんで出前館なんだよって話が出てますが、ベンチャー界隈のロビー活動はLUUPもそうですがお前らがそうしたいから甘利明さんところに出かけて行って何か不思議な力学が働いてできることになっちゃったけど安全性とか全然検証してなくて事故ってから考える的な流れになりやすく、これってロビー活動の結果、モルモットになってるのは国民ってことじゃないですか。

 出前館の例にしても、ビジネス自体は好きにやればいいですが過当競争になって構造的にクソ赤字なのに広告宣伝費だけは猛烈に積み続けなければならない状況で、コロナだからって容認してみたけど蓋を開けてみたら投機家の賭博場みたいな構造になるのはよろしくないと思うんですよ。

 同じことは薬局の対面販売もオンラインで済ませようという流れになって、それはまあ仕方ないかなと思うのですが、それ以前にジェネリックも含めてコロナ以降二年越しでまともにお薬が調剤薬局に届かないとか、院内処方からの分離で薬局チェーンがバブってる割に薬剤師はこき使って全体的な給与が伸びないとかそういうのって政策の失敗でもあるわけですよ。

 官邸も党本部も所轄省庁に難題吹っ掛けて政策的譲歩を引き出すところまではやっても、そこで起きるハレーションや副反応には手当てしないから、前回のリーガルテックの法務省見解みたいに弁護士による契約書「鑑定」業務が定義明確化されたように見えても実際の運用についてはやっぱり弁護士法人にちゃんと委託してねって流れになるのと同様なんじゃないかと思います。法務省少しは頑張れよ。

 法務省と言えば、先日のこども家庭庁の教育現場ロリコン対策で私立保育園や学童、学習塾も対象にするかどうかとかいうデリケートなところで緩い対応をしている話がそのままになっています。

 あと、タクシーのライドシェア問題で行政上の課題があるとすると、いわゆる外ー外というか、民泊のように、外国人旅行者(例えば中国人)が日本在住の外国人(例えば中国人)の所有車を外国のサービス(例えば中国)で配車し、おカネを払って日本国内を乗り回す違法な白タクが横行していることもあります。そういうのもあるから日本も解禁しちゃいなよってのは議論としてあるはあるんですが、ぶっちゃけ割と事故ってるんで、外国人旅行者向けの保険でどうカバーするねんという意味も含めて金融庁とも議論しないといかんところですし、まあ進まんでしょうね。

 ありがとう、斉藤鉄夫先生。

 画像はAIが考えた『ベンチャー企業に利益誘導したいがために、とりあえず規制緩和して構造改革すれば生産性が上がるだろうと安易な主張をして、最終的には国民が実験台になってるだけの雑な政策議論をする会議』です。


神から「お前もそろそろnoteぐらい駄文練習用に使え使え使え使え使え」と言われた気がしたので、のろのろと再始動する感じのアカウント